カメラ・オブスクラ 9

一眼レフカメラで楽しむピンホールカメラ

これは以前に「虫眼鏡の一眼レフカメラ」で紹介したもの。

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ナビスコチップスターの筒を使って、虫眼鏡のレンズを取り付けたもの。一眼レフのカメラのマウントと使っているので、ピッタリと組み合わさっている。
前回作った牛乳パックの虫眼鏡のレンズを使ったカメラのデジタル版である。
一眼レフに取り付けているので、直ぐに結果を見ることが出きる。オートフォーカスではなく、手ぶれ補正もないが、なんとも味のある仕上がりになる。
この虫眼鏡のレンズを使ったカメラの詳しいことは、キャノンのホームページで。

http://cweb.canon.jp/showroom/personal/umeda/

ここまでは、虫眼鏡のレンズを一つ使ったカメラ。
では、ピンホールカメラは可能だろうか? 

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さて、これはどうやっているかわかるだろうか。
レンズを取り外し、レンズの開口部を台所で使うアルミホイルでおおったもの!
そして、そのアルミホイルの中心に、ぬいばりでちょっとつっついて穴を開ける。
穴は小さければ小さいほどよい。

これで本当に写真がうつるのか?
自分でも半信半疑でうつしてみる。
カメラ本体をシャッタースピード優先モードにして、入ってくる光の量を調節する。
さてその結果は。

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シャッタースピードは上から、
2秒、1秒、0.6秒、1/4秒、1/8秒、1/10秒、1/20秒、1/80秒となっている。

アルミホイルに開けた穴の大きさによって変わると思うが、
この結果からみると、1/4秒から1/8秒あたりが見やすい。
時間が長いと光の量が多くて白くなる。反対にシャッタースピードを早くすると光の量が少ないので暗くなっていることがよくわかる。
アルミホイル一枚をレンズ口のまわりをおおっただけだけれど、ピンホールカメラとしての役目をはたしている。
一眼レフだから、すぐに結果を見ることができるので、楽しい。

アルミホイルではなくて、カメラのボディキャップを加工してピンホールを取り付ける方法がインターネットに投稿されていた。
機会があれば、その方法も試してみたい。

 

 

 

カメラ・オブスクラ 8

ピンホールカメラ

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カメラの原点に戻って、ピンホールカメラを作ってみた。
写真を見ただけで、どのように作ったのか、わかると思う。

材料は、
牛乳パック
厚紙
トレッシングペーパー
虫眼鏡
内側を黒く塗るための墨汁など
以下にイメージ図を描くので、写真と合わせながらみてほしい。

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牛乳パックとそれに入る直方体を作りはめ込む形式になっている。厚紙で作った筒に虫眼鏡のレンズを取り付ける。
①の図は、レンズの付いた部分を動かして、ピントを合わせる「レンズ付きのピンホールカメラ」。
②の図は、レンズ無しの、文字通りのピンホールカメラ。牛乳パックに針穴のカバーをつけたもの。

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前面のピンホールの部分は、フードのような形でカバーを作った。カバーの前面にピンホールを開けている。 

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スクリーン部分は、牛乳パックの底の部分を厚さ1cmぐらいで切って、中を切抜きトレッシングペーパーをはって作っている。 このままでは、本体と同じ大きさなので入らない。そこで一辺に切込みを入れて、少し折れるようにしてある。押し込んで中で止まるように手作業で設定した。

これでピンホールとレンズの両方で実験できる。

今回はピンホールなので、光の量が少ない。筒の中の反射光で像も見えにくくなるので、墨汁で中を黒く塗った。

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 スクリーン位置は虫眼鏡のレンズの焦点距離によって変わる。
④の図は、ピンホールカメラの状態だが、レンズの付いた厚紙の箱を牛乳パックにいれて(①の状態で)、像がはっきりと見える位置をさがす。また、スクリーはできるだけ中に入っている方が周りからの光の影響がないので、それと合わせて位置を決める。

上の④図は針穴写真機の場合をかいているが、実は針穴の場合はスクリーンの位置はどこでもよい。ピンホールカメラ・針穴写真機は、凸レンズを使ったカメラのように焦点距離に左右されるものではない。(これらの説明は、インターネットで「ピンホールカメラ」とか「針穴写真機」で調べると、たくさんの説明がでてくるので、それをご覧ください)

具体的な像で確認しておこう。

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この三つの写真は、ピンホールカメラの状態で(レンズをつけず、針穴だけの状態)蛍光灯を見たものである。
スクリーンの位置を動かし、針穴に近い状態でみたもの、少し動かして距離をとったもの、そしてスクリーンいっぱいになるようにさらに針穴から離れた状態にしたものの三つである。
どの状態でも、蛍光灯にピントがあっているのがわかるだろう。
針穴写真機・ピンホールカメラには焦点という概念はないことがわかる。

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最後の写真。

これは、ピンホールカメラではなく、虫眼鏡のレンズをつけた状態のもの。 立体感がある、はっきりとしたカラーの鮮明な画像が、しかも大きく拡大して見える。
レンズの部分から多くの光が入り、虫眼鏡・凸レンズによって光が集められたので、このようにはっきりとした像が見えることがよくわかるだろう。
針穴写真機・ピンホールカメラから虫眼鏡のレンズのカメラに切り替えた瞬間、その鮮明さと像の大きさにびっくりする。
ただその位置は焦点距離の位置だけであって、ピンホールカメラのようにどこでもいいというわけにはいかない。

 

 

 

カメラ・オブスクラ 7

像の写り方について

いくつかカメラ・オブスクラを作ってきた。 どのような像が見えるのか、少しまとめてみよう。

1.凸レンズがつくる像 (虫眼鏡のレンズ)IMG_20140724_0001_2

凸レンズでは、上下左右が反転した像がスクリーン上に写る。 この時、どの位置から見ているかが大事。 IMG_20140724_0003

スクリーンの表側から見るのか、裏側から見るのかで状態は違う。 上の図は映画館でスクリーンを見ている状態。 下の図は、スクリーンの裏側から見ている状態。

スクリーンの裏側から見ると、上下だけが逆転している。この図を上下逆さまにしてみると、正しい「あ」の文字が見える。
スクリーン表側から見ると、上下逆さまにしても、左右は逆転している。だから「上下左右が反対になっている」という。

A4の箱で作ったカメラ・オブスクラは、スクリーンの裏側から像を見ている状態である。だから、上下が逆さまに見える。(この像を写真にとって、上下をひっくり返すと、正しい風景になる。)

2.鏡に写る像
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鏡に写って見える像は、上の図のように左右が反対に見える。
鏡を使ったカメラ・オブスクラは、凸レンズと鏡の反射が組み合わさり、見る位置によって像が決まる。

3.フェルメールのカメラ箱の場合(レンズと鏡)。
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鏡に凸レンズを通した像が写る。その像は上下左右が反対になったものである。 その鏡にう売った像を、図のような方角から見ると、左右が逆転した像になっている。

4.OHPのレンズを使った場合(レンズと鏡)。

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鏡には左右が逆になった像が写っている。
凸レンズを通した像は、上下左右が逆転するので、結果的には正立像が見えることになる。
実際のOHPはこの図と反対の光の向きになるから、レンズの下においた文字や図が、レンズと鏡によって壁やスクリーンに正立像として投影されるわけだ。

ピンホールカメラなどの説明に多くの場合は、木の絵が使われている。木の絵では上下は直ぐにわかるが左右の逆転がわからない。そこで私は「あ」という文字で考えてみた。上下、左右、どこから像を見るか、などの変化がわかりやすかったと思う。