The Torikaebaya Tale とりかえばや物語7

Haru was pregnant.
It was not her plan, but she accepted her destiny.
She told Natsu they were going to have a child, and he was very pleased.
“Haru, maybe it’s time for you to live as  a woman.
We are a couple now, so you have to follow my wishes.”

Haruは悩んだ末に、Natsuに自分が妊娠したことを伝える。

「かかることさえ出ぬとならば、なほはじめも聞こえしやうに、産霊神の契りを違へぬさまにおぼしなりね。・・・・中略・・」
宰相は、「いとどことわりなれど、すべてのは、さるべきにこそは、かうなおぼし入りそ」
「このように子まで生まれるというなら、やはり最初から申し上げたように、産霊神のおぼしめしを変えぬようにお考えなさい。・・・中略・・」
Natsuは「お苦しみはまったくもっともですが、すべてこれは、しかるべき運命なのです。それほどまでお考え込みなさるな」(とHaruをなだめる。)

Haru remembered all the happy days she spent as a man, but those days were finished.

She wanted to die.
But she thoughts about her parents and decided to live

田辺聖子さんの「とりかえばや物語」(文春文庫)ではこのあたりを次のように表現している。

「(Natsuのなぐさめを聞いて)たしかに、このままでいられるはずはない。いずれはそうしなければならないだろう。そのときの春風のあたまに浮かぶのは、男として活躍したいままでの人生の楽しさだった。
国政の現場で、なみいる大臣や高級官僚を前に、堂々と自分の意見をのべたこと。政務を処理して、自分でさばき、決定を下したこと。
または、はなやかな宮中の行事で、人々から注目されたこと。
花の宴、月の宴、自分の作った詩や和歌を、帝をはじめ、人々にほめられたこと。宮廷貴公子の花、とたとえられたあの日々。あの記憶を、あの人生を、われから消してしまおうというのか。
『男として生きるのは、あんなにもたのしかった。はなやかな人生。・・・ぼくはあれを、うしなわなければいけないのか』
春風は泣いて苦しむ。そのさまを見る夏雲は、
「これは本当に、女姿にもどる決心をしたんだな」と思ってうれしかった。
「この春風を、ぼくの妻にして家の中にすえよう。冬日(Fuyuのこと)もやがては、ぼくが世話をしたい・・・」
・・・・・中略・・・・・・
「春風はしかし、夏雲が思うように、女姿に戻って、夏雲の邸の奥深く、とじこもろうと決心したわけではなかった。春風は、夏雲をあまりたかく買っていない。
『・・・このていどの男に身をまかせ、家にとじこめられて生涯を終えるなんて、やっぱりいやだ。といって、いつまでも世間で活躍するというわけにはいくまい。・・あともう、ひと月かふた月か。・・・世をすてるというより、命をすてようか」
春風は見の処置について、そこまで考えるようになっている。」

・・・・・・・・・・・・・・・

She went to live in a small house outside of the city before anyone could see she was a pregnant woman.

人前から姿を消そうと考えたHaruは、それとなく関係のある人達にあいさつをしていく。あとふた月、あとひと月と時間が過ぎ去っていく。
3月の花の宴はHaruが男姿での最後の晴れの舞台だった。詩や笛を披露する。
そして右大将に昇進する。
4月になると身重の体で動きにくくなる。
Haruは悩んだ末に、権中納言に昇進したNatsuの世話になって、宇治に身を隠すのが最良の道だと決心する。

Everyone at the emperor’s palace was very surprised.
The handsome, young husband of a minister’s daughter just disappeared.
He left his wife and child without saying anything.

田辺聖子さんの「とりかえばや物語」ではこのように説明している。

「京では翌朝、お供の人々が牛車をととのえておむかえにあがったところ、夜おそく帰りました、という返事、ところどころをさがしてもいっこうにゆくえは知れない。毎月、数日をすごす乳母の家にも春風の姿はない。吉野にもいない。
父の左大臣は悲嘆にくれた。・・・略・・・宮中でも大さわぎになった。ぶじに春風が戻ってくるよう、盛大なお祈りが神社やお寺にささげられた。あの宮中の花、といわれた春風が、とみな、心配せぬ人はない。」

 

四の君・Huyuと幼子(といってもNatsuの子だが)を残して姿を消したHaruの行方を知るものは誰もいなかった。
そうした京のまちに、こんなうわさが囁かれるようになった。

 

 

 

 

 

The Torikaebaya Tale とりかえばや物語6

Haru’s wife Fuyu gave birth to a lovely girl.
By that time , Haru was thinking about separating from Fuyu.
But it was hard to leave her and the baby.

・・・すべて違ふところなく、ただ宮の宰相なるの児の御容貌なるに、さればよとうち見るに胸つぶれ・・・中略・・・「これはいかが御覧ずる。この世には人のかたみの面影をわが身に添へてあはれとや見ん」とのたまえる・・・略
・・・それを目にして、見るからに寸分の違いもなく宰相の中将(Natusのこと)そっくりの赤子のお顔立ちなので、「やはりそうか」と胸がつぶれる思いがした。・・・中略・・・「この子をどう御覧になりますか。
この世にある限りは、他人の面影を宿した子を、身近に置いてわが子としてかわいがることになるのだろうか」とおっしやる・・・略

Haruの心情はいかばかりか、と考えさせられる。

一方、Natsuは尚侍となったAkiにもちょっかいを掛けるが、Akiにうまくあしらわる。気分を変えるためにAkiにそっくりなHaruの部屋にやってくる。

上の挿絵は、「ヒーロー&ヒロインに会おう! 古典を楽しむきっかけ大図鑑 監修・斎藤孝 日本図書センター」からの引用

あとの英文を詠むための参考に、上の挿絵にある説明を引用してみる。

「ある夏の日、宮の宰相(Natsuのこと)は中納言(Haruのこと)の部屋を訪ねました。そのとき、装束を脱いでくつろいでいた中納言(Haru)は、宮の宰相(Natsu)に気づいてあわてますが、涼しい場所にふたりで横になり、いつものように話をすることにします。そのうち宮の宰相(Natsu)は、いつもよりふなやかで美しい中納言(Haru)の姿に「このような女がいたら、どれほど夢中になって心を乱すだろうか」と悩ましくなって、そばに近寄って寝転びます。
中納言(Haru)は「暑いから」と離れようとしますが、宮の宰相(Natsu)は心を抑えられず、中納言(Haru)のからだに触れてしまいます。そしてとうとう、中納言(Haru)が女であるという秘密を知ってしまうのでした。」

Then one night, something happened to Haru herself.
It was a hot day and Haru had taken off her clothes.
She was alone in the room, so she thought no one would see her.
Then , Natsu suddenly appeared.
He was there to talk to his friend Haru, but found a woman!
“Haru, is that you?  You are a beautiful woman!”
“What are you doing?  Leave me alone!”
Haru tried to push Natsu away, but he was too strong.
She was soon in Natsu’s arms.
He said, “I always wish you were a woman.
We meant to be together.
This is our destiny.”

原作ではこのあとHaruは昼のうちは男としての仕事をし、Natsuは女としてのHaruを自分のものように考える。二人の秘密はだれもしらない。そうしてHaruとNatsuの逢瀬も悶々としたまま月日を重ねる。そして、

Soon, Haru was pregnant with Natsu’s baby.

Haruはこのあとどのように生きていけばいいのかと、迷いに迷う日が続く。

 

 

 

The Torikaebaya Tale とりかえばや物語5

Natsuは、Fuyu(四の君とよばれていた姫君、現在はHaruの妻になっている女性)の姿を垣間見てしまい、その美しさに心が動く。
そのあとは源氏物語にあるように、Fuyuの部屋に忍び込む。
周りにいた侍女たちは主人(Haruのこと)が帰ってきたとおもい、迎え入れてしまう。Fuyuも侍女たちも気がつくがどうすることもできない。
逢瀬を重ねることになり、FuyuはNatusの子を妊娠してしまう。
Haruは「だれが?」と考えるが最初はわからない。しかしFuyuの部屋に残されていった扇を見てNatsuと気づく。
Haruは、怒りで我を失ってNatsuを攻撃してもいいはずなのに、自分自身に責任があると考え、つらくなり、出家を考え始める。

一方、Akiの身にも大きな変化が起きる。

Meanwhile, Aki’s life was changing, as well.
He was now working for the emperor’s daughter.

「とりかへばや物語 鈴木裕子編 角川ソフィア文庫」でその事情の部分を紹介すると
「院は、春宮となった女一宮のことが心配でならない。それで、左大臣の姫君(Akiのこと)を後見にしたらどうかと思いついた。院からの仰せに左大臣は、「中納言(Haruのこと)のように、この君にもしかるべき生き方があるのかもしれない」と考え、10月10日頃に男君(Akiのこと)を春宮のもとに参上させた。通常の宮仕えではないが、名目がないのはおかしいということで、尚侍として参代した。」

Akiは女一宮のお世話役として宮仕えすることになる。

Enjoy Simple Englishでは、そのあとの経過をかなり大胆にまとめている。

The princess liked Aki very much because she was different from the other ladies.
One day, they were sitting very close to each other.
The princess said to Aki,
“I want to thank you for always being here for me, Aki.”
“I am happy to hear that.
But my heart hurts because I have a secret I cannot tell.
Do you like me?”
“Yes, I like you very much.”
“Oh, Princess…”
And Aki kissed the princess.
He had grown feelings as a man for the princess.
It was the first time Aki felt like this.

原文のその部分を抜き出してみる。

・・・しばしは夜々のぼりて一つ御帳に御殿籠るに、宮の御けはひ手あたり、いと若く、あてにおほどかにおはしますを、さこそいみじうもの恥ぢしつつましき御心なれど、何心なくうち解けたる御らうたげさには、いと忍びがたくて、夜々御宿直のほど、いかがさし過ぎ給ひけん、宮は、いとあさましう、思ひのほかに思さるれど、見る目けはひはいささか疎ましげもなく、世になくをかしげにたをたをとある人ざまなれば、さるようこそはと、ひとへによき御遊びがたきと思しまとはしたる、・・・略・・・・。

「とりかへばや物語 鈴木裕子編 角川ソフィア文庫」の訳は次のようになっている。

「しばらくは、尚侍は、夜ごとに春宮のお側に侍って、同じ御帳台の中でお休みになる。そのうちに、春宮のご様子や手に触れた感じが、とても若々しく上品でおっとりしていらっしゃるものだから、尚侍は、あれほどひどく恥ずかしがって内気なご性格なのに、無心にうちとけている春宮のおかわいらしさには、とても自分の衝動を抑えることが出来なくて、夜ごとのお相手の折に、いったいどのような出過ぎたことをなさったのだろうか・・・。春宮は、ひどくあきれて思いもかけないこととお思いになるが、尚侍の外見や雰囲気は、少しも嫌らしいところはなく、世になくすばらしくたおやかな人の様子なので、「そのようなこともあるのだろうか」とお思いになり、ただひたすらよいお遊び相手とお思いになっていつもお側に引き寄せていらっしゃる。・・・略・・・・。」

尚侍(Fuyu)は、春宮にたよられることにより、自信をつけ、そうして男性として目覚めるのである。

そしHaru自身にも大事件がおきるのである。