円周率を求める2

スクラッチを使って円周率を求める

 

「子供の科学」11月号の付録に「円周率10000ケタ」の付録がついていたことは前回に紹介した。
12月号の記事に「スクラッチをつかって円周率を求める」内容の記事があった。
円周率をパソコンで求めるには、それなりの準備や工夫が必要だ。
ずっと昔に、ベーシックで計算をすることを経験したが、なかなかの苦労だった思い出がある。
「子供の科学」にあるスクラッチは最近の小学校のプログラミングの体験にも使われているというもので、かつて私がベーシックを触った時のアルファベットと数字をタイピングして入力したものではなく、もっとビジュアルのものだった。

上の写真が私が入力して動作させた結果の画面の一部。

これがプログラムの全容。

最初の「大きさを10%にする」というのは猫の大きさを10%に縮小するというもの。
次にx座標とy座標を0にし、90度に向ける、というのは「スタート地点はステージの中央(0.0)で、右(90度)向いている状態にする、ということ。
次に円周の長さを「円周長」という変数にして、初期化(0)にしておく。
ペンを使って図をかけるようにする。
初期化するために「全部消す」とし、次に「ペンを下ろす」と書く準備をする。

円を一周かくというのは、ステージ上の猫を360度動かすことである。
これを100角形の図を書くと捉え直し、
360 / 100 = 3.6
まわす角度を3.6 にすればいいことがわかる。
歩数を5歩にしているのは、10歩にするとステージをはみ出すからである。
100回繰り返すと全周になる。
ここで直径を出すための工夫として、半周の時の「y座標」の値を利用する。
半周というのは、50回くりかえし、そのときのy座標の値が丁度直径の長さになるからである。

円周は変数「円周長」を利用する。
歩数が一辺の長さなのでそれを足し算すればよい。ここでは半周だからそれを2倍すれば円周の長さとなる。

これらをすべてスクラッチのプログラムで書くと上の図のようになる。
15行ほどのプログラムだから私はびっくりした。
ベーシックでは何十行にもなるプログラムをキーボードで叩き込んだことを思い出すと、雲泥の差だ。

上の写真はステージ上の円と円周率などの表示の部分。
円周は5歩が100回だから円周長は500になる。
直径は図のy座標の値。スクラッチの計算では 159.10258
そして円周率は 円周/直径 だから
159.10258 / 500 = 3.142627

実際は 3.141592 だからなかなかいい数字ではないか。
このスクラッチのプログラムは正100角形をかいているが、
これを1万角形などにすれば、もっと正確な円周率が計算されることが予想されるが、今回はここまでとしよう。
「子供の科学」の記事は本当に役に立った。ここで感謝申し上げる。

 

 

 

 

円周率を求める1

これは円周率1万ケタの表。表・裏あわせて1万ケタが書かれている。

この表は左の写真にある「子供の科学
11月号」の付録だ。
以前に私もブログで「円周率の求め方」について書いたことがあるが、今回はもう少し角度を変えて考えてみようと思った。
私のブログ「雲外蒼天」のトップページの右上にある「検索」で、「円周率」と記入して検索するとブログの過去の記事につながることができる。

円周率=円周の長さ/円の直径
で求めることができる。
さて「子供の科学11月号によると、
円周率を求める研究は、今から約4000年前の古代バビロニアや古代エジプトで考えられていたそうだ。
その時は、円周率は3.125・・・や
3.16・・・計算されていたそうだ。
そして今から約2300年前に古代ギリシャの数学者アルキメデスは、円周率を3.14・・・と小数点以下2ケタまで正しく計算していたそうだ。

アルキメデスは「円周率は円の内側と外側に接する2つの正多角形の周の長さの間にある」と考えた。この考え方で私も計算してみよう。

上の図のように直径5cm の円を描き、それを中心角30度で12等分し、二等辺三角形12個をつくる。
図のように中心角30度の二等辺三角形の底辺を実測すると、約2.6 cm だった。
12個の三角形があるのでこの三角形の底辺すべての和は
    2.6 ✕ 12 = 31.2 ・・・・(1)

次に図のように、三角定規の60度をつかって円の外側に外接する正三角形を描く。
その中に3本の線を引いて正六角形をつくる。
この正六角形と内側の正12角形の辺の長さのあいだに円周がある。
正六角形の一つの辺の長さを実測すると5.6 cm だった。
そうすると全周の長さは 
             5.6 ✕ 6 = 33.6   ・・・・(2)

(1)と(2)より、
    31.2 < 円周 < 33.6
となり両者の平均を取ると、 (31.2 + 33.6 )➗ 2 = 32.4

円の直径は 10 cm なので円周率は
   32.4 ➗ 10 = 3.24
となり、3.14 に近い値になる。内側の多角形と、外側の多角形を増やしていくことにより値は3.14 に近づいていくと予想される。

次にもう少し直接的に図ってみよう。 写真は透明のガムテープ。 ガムテープの直径は 11.3 cm このガムテープの外周を図る。写真のようにテープを巻き付けて長さを確定する。

ガムテープに巻きつけたテープの長さを実測すると  35.5 cm だった。

 35.5 ➗ 11.3 = 3.1416 

なかなかいい数字ではないか。

 

次にDVDのケースである円柱状のものを使ってみた。
円柱のケースの直径は 12.6 cm
円柱のケースにテープを巻き付けてその長さを実測してみると 39.6 cm
          39.6 ➗ 12.6 = 3.143 

これもなかなかいい数字だ。実際に図ってみることによって円周率は 3.14 にちかい数字ということがわかる。
しかしこの方法だとこれ以上の精度はだせない。そこで最初のような図形を基にした計算方法が考えられたと思う。

多くの数学者によって円周率の計算方法、公式が研究され、現在ではスーパーコンピューターによって計算されその記録は(2022年6月現在)100兆ケタである。この計算はグーグルエンジニアである日本人の岩尾エマさんによるものだと「子供の科学」には書かれていた。
私もコンピュータを使っての円周率の計算に挑戦したいものだ。