三角点を探る旅53

堺市にある電子基準点

地図で示されているのは、堺市立八田荘小学校の運動場。
すぐ近くに八田荘中学校がある。

堺市にはここにしかないようなので、行ってみることにした。

学校の運動場の端にあった。 校内には入れなかったが、ちょうど民間の駐車場の直ぐそばで運動場と駐車場の境界が金網だったので、写真を取ることができた。

電子基準点というのは、国土地理院のホームページを参照すると、

電子基準点は、全国約1,300ヶ所に設置されたGNSS連続観測点です。外観は高さ5mのステンレス製ピラーで、上部にGNSS衛星からの電波を受信するアンテナ、内部には受信機と通信用機器等が格納されています。 基礎部には、電子基準点付属標と呼ばれる金属標が埋設してあり、トータルステーション等を用いる測量にも利用できるようになっています。

その内部についてもホームページで紹介されていたので、ここに引用する。

説明と写真にある、電子基準点付属標というのが、私の写した写真の4枚目にあるステンレスピラーの下端そばにある白い円盤のこと。これを利用して測量することもできる。

全国で1300箇所とかかれているが、小学校・中学校・高等学校に設置されているのは約600箇所だそうだ。
学校内に設置されている数が約半数になるのは、それだけ安全で管理もしやすいためかも知れない。学校そのものが台風や水害などの被害に合わない所に建設されることが多いから、電子基準点の設置もしやすいのだろう。

となりにある八田荘中学校にも三角点があるのだが、ここは見ることができなかった。あとて国土地理院のホームページを見てみると、屋上に設置されていることがわかった。ますます外部からの見学は無理だろう。

学校に三角点や電子基準点があれば、いい勉強になるなあ。ここに通う子どもたちは幸せだなあと思った。

 

 

 

消えた基準点

水準点めぐり 22

写真は電子基準点。
銅座幼稚園の前の公園。
地下鉄谷町4丁目が最寄りの駅。
この周辺には、大阪城公園や大阪府警、大阪府庁があるという、いわば大阪の中心地といっていいのかも。
この写真は2013年6月にとったもの。
私が初めて電子基準点を見たときのものだ。
2020年現在、全国に約1300の電子基準点が設置されているそうだ。
高さは約5メートルの金属の柱。
上空を飛ぶGPSの人工衛星からの信号をキャッチし、24時間の観測を行っているそうだ。

上の写真は2020年9月のもの。ない、電子基準点がない!

公園の中に入って、角度を変えて写真を撮る。
電子基準点があったところには木が植えられているように見える。
周りを見ても、電子基準点があった痕跡はまったくない。
どこかに移動したなどの表示もなかった。
三角点だけではなく、電子基準点も消えてしまうことがあるのだろうか。

国土地理院のホームページから、この付近の電子基準点はどうなったのかを調べてみた。
銅座幼稚園のそばにあった電子基準点は記載されていなかった。
かわりに真田山公園の中に新しい電子基準点が設置されていることがわかった。
さっそく写真を撮りに行くことにする。

ありました。ピカピカの電子基準点が公園の南側の入口付近に設置されていた。
近くには味原幼稚園があった。

「ここに建っているステンレス製の柱は、電子基準点といいます。 柱の先端部にはGPS等のGNSS(全世界的衛星測位システム)衛星からの電波信号を受信するアンテナが取り付けられており、柱の中には受信機本体と受信データを転送するための装置が入っていて、常時連続観測を行っています。
・・・略・・・・全国に設置し、各地で得られたデータを茨城県つくば市にある中央局に転送し、コンピュータで処理して電子基準点の位置を正確に求め、各種測量の基準として利用するとともに、地震予知に重要な地殻変動の監視もおこなっています。
国土交通省国土地理院・・・・」

ステンレス製の柱の足元には丸い金属板が埋め込まれている。
「電子基準点付属標   
 基本  
 国土地理院
 この測量標を移転毀損すると測量法により罰せられます」 の文字がみえる。
この付属標は水準測量にもつかわれることがあるそうで、二等水準点の役割を果たしているものもあるそうだ。

国土地理院のホームページのデータによると、この電子基準点は「2019年7月17日登録」、となっていたから、ごく最近の登録だ。

ここからは私の推測だが、銅座幼稚園そばにあった電子基準点がここに移動したのだろうと思う。銅座幼稚園も、真田山公園も上町台地にあって古い地盤の上にある。今後の地震予知には重要なデータを発信できる位置にあるのではないだろうか。
「電子基準点も消えるのか?」と思ったが、今回はどうも「電子基準点は移動した」というのが正解だろうと思う。
とにかく「電子基準点」があってよかった。

 

 

 

三角点を探る旅 28

8月6日 広島に原爆が落とされた日。
このブログも中国・蘇州の旅から、戦争の激戦地となった沖縄に場面は変わる。
まずは「三角点」と「水準点」。国土の基準となるところから始めよう。

沖縄・那覇市の電子基準点

沖縄三角点水準点1

上は沖縄県那覇市周辺の三角点と水準点の分布地図。

最初は那覇市にある電子基準点。

IMG_2092

 

IMG_2113

モノレールに乗って、「奥武山公園駅(おうのやまこうえんえき)」で下車。 歩くこと約10分。以前に沖縄に来た時は、このモノレールはなかった。
沖縄の町は大きくかわっていた。

IMG_2105IMG_2107

小禄(おろく)1丁目9の公園の中にある。ここは茶色の電子基準点だった。

那覇電子基準点2

 

IMG_2096

金属のパネルには、

電子基準点 No.021096
この電子基準点は、地上約2万kmの高さを周回するGPS衛星から出された電波信号を受信しています。 受信したデータは、つくば市にある国土地理院にリアルタイムで転送されます。 この受信データで正確な位置を求めて、土地の測量や地図作成の基準点として利用されています。また、地震・火山噴火等の重要な地殻変動の監視を行っています。 (管理者) 茨城県つくば市北郷1番 国土地理院 電話 0298−64−1111

とある。

IMG_2099

足元には「電子基準点付属標」が設置されている。 一等水準点でもある。

No.021096A
「この測量標を移転き損(毀損のことだろう)すると測量法により罰せられます」 とかかれている。

なんだか地面の台からずれているような感じがする。触っても動かない。
だれかがいたずらで動かしたのかなあ、と思う。もしそうだったら、もっと大事にしてほしいなあ。

IMG_2109 IMG_2110

IMG_2091

6月下旬。沖縄は暑い。 公園では小学生の子どもたちが虫取りをしている。
少しお姉さんの髪の長い女の子と、男の子たち3人。昔、大阪でもよくみた光景。
この子たちは、学校や地域でこの電子基準点のことを聞いているのかなあ。
空は青空、公園で遊ぶ子どもたち、平和という言葉が頭にうかぶ。
そんなことを考えながら、次の目的地の三角点探しに移動する。