セミの羽化

大雨と強い風が通り過ぎた朝、家の周りを掃除していた。
落ち葉をチリトリにいれていると、何か動いているものがある。
詳しく見てみようと、チリトリで集めた落ち葉を、塀のそばに並べているプランターの一つに入れて調べることにした。

黄色みがかった色、昆虫のようだ。
透明な羽も見える。
これは・・・ひよっとしたらセミではないか?!
私の家の周りに少ないが植木がある。
何年か前から、その木にセミの抜け殻がついているのを見つけることがある。それは毎年のことではないが・・・。

横になったり、斜めになったりと動いている。何か支えになる枝を探しているように見える。
人間の手で触るのは良くないだろうと思い。周りの植物の葉や枝で動かしてみた。
セミが納得した場所ではないようだ。また動き出したので、しばらくおいて、様子を見ることにした。
3時間ほどして見に行ったときの写真が上である。
色も少し濃くなってきたように見える。
草の少し太い枝?幹?をしっかりとつかんでいるように見える。

上の写真を少し拡大したのがこの写真。 黄色みが買った胴体、頭はまだ黒くなっていない。 羽も緑がかってみえる。たいへん華奢な感じがする。

それから3時間後の写真。
かなり色が濃くなっている。このまま順調に羽化が進んでくれることを願う。
猫や犬が家の周りを通るし、カラスも飛んでくる。

買い物に行って、すっかりセミのことを忘れていた。
夕方になってプランターを見ると、セミの姿は見えない。
羽化が終わって飛んでいったのかもしれない。
そう思いながらプランターの中のゴミを取り出そうとすると、
バタバタバタという羽音がして黒いものが飛び出し、向かいの家の2階のパラボナアンテナの方へ飛んでいった。
セミだ! 羽化したあと場所を移動して、葉の下にいたのだ。
私がプランターの草木を動かしたので、びっくりして飛び出したのだと思う。
その時、いっしょにプランターの外に出てきたのが下の写真。

セミの抜け殻だ。 飛んでいったセミの抜け殻に違いない。 私の予想は、 プランターの上に枝を伸ばしている木でこのセミは羽化しようとしていたのだろう(一番最初の写真)。 羽化は夕方から始まって深夜になるという。 他の動物から身を守るためだ。

そんなときに大雨と大風で木からとばされ、ちょうど下にあったプランター周辺に落ちたのだと思う。そこで脱皮したところを私がプランターの中に入れたのだと思う。
セミは土の中で5年、6年をすごすという。
地上に出てからのセミの寿命は1月ばかり。その間に卵を生み、次の世代にバトンタッチをする。
私も今の家に住んでかなりの年月になる。その間にセミが卵を生み、私の庭木の下で地上に出るのを待つ幼虫が育つようになったのだろう。
新型コロナウィルスで人間は大あわてだが、昆虫や植物はゆっくりと自分の時間を生きている。自然の息吹を感じたような1日だった。