ココロの盲点

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この本は私の後ろに30人の人が待っているという、人気の本。

本屋さんで立ち読みして、面白かったので図書館に予約を入れて一ヶ月以上待った本。

読もうと思ったのは、次のような文章があったからだ。

◯車の運転手の69%が自分を「平均よりも運転がうまい」と評価しています。

◯高校生の70%が「自分の指導力は同級生たちに比べて平均以上だ」と答えます。

◯大学教授の94%が「自分は同僚の教授よりも優れている」と答えます。

それは、本の「19 自己採点」というところに書かれていた。
内容を私の理解で書いてみると、

「あなたは公平に振舞っていますか。もちろん人間である以上いつも公平であるのは難しいことです。周囲に八つ当たりしたりすることもあるでしょう。一方、この世は理不尽です。平等とは名ばかり、差別やいじめ、悪いニュースが後をたちません。
そんな世の中で、あなたは「世間の平均』に比べて、それなりに公平にふるまっているほうでしょうか。そんなアンケートをとると、次のどちらが多いと思いますか。

①自分は世間の平均より公平に振舞っている。

②自分は世間の平均より不公平に振舞っている。

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正解は、「ほぼ100%の人が①と答えます」。

解説を見ると、「ヒトは自分のことを不公平だと考えていないのです。これは『平均以上効果』と呼ばれています。・・・・・人は自分を正しく評価できないだけでなく、勘違いして『平均よりよい』とみなすあたりに、なんとも愛嬌があります。
しかし、この傾向には注意も必要です。誰も自分を「不公平な人間だ」と思っていないからこそ、社会から差別やいじめがなくならないのですから」

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なんとも含蓄の深い解説がある。人間を人間たらしめている脳、それには癖があるーそれは「認知バイアス」。それについての本なのである。

目次をみると、

1.愛をとるか、金をとるか    2.ほら! やっぱり    
3.オシャレしたい        4.体重が気になる
5.やばい、遅刻しそう      6.こどわりの店
7.スピード暗算         8.迷作公開
9.魔性の女           10.だれか助けて
・・・
などなど30項目の話題が提供されている。

その中からもうひとつ紹介してみよう。

12 ペットのしつけ
鳩の実験です。ブザーが鳴ったらスイッチを押せばエサが出る。
そんな装置に鳩を入れてみると、鳩は正しいタイミングでスイッチを押して、エサを得ることができるようになります。

そこで、音やスイッチとは関係なく、あるとき突然エサが出るような仕掛けにしてみました。さて、鳩はどうしたでしょうか。
①じっとエサを待った。
②不思議な踊りをした。

さあ、どうしたもんじゃろなあ。
私は、パブロフの条件反射から考えて、スイッチを押しても押さなくても餌が出ることがわかった鳩は、何もしなくてもエサが出てくることを学習して、①と思った。

さて、正答は?

②不思議な踊りをした。
突然エサが出ると、鳩には因果関係がわかりません。原因がわからない時は、「法則」を探したくなるのが脳です。
たまたまエサがでたときにとっていた姿勢が、エサを得た理由だと勘違いし、その時の姿勢を繰り返すようになります。
実際に実験をすると、クルクル回ったり、頭を振ったりと、鳩によって様々な「儀式」を行うようになりました。
脳は数少ない経験でも、法則化しがちです。偶然の出来事が二三回重なったら、「次もきっと・・・」と一般化したい感情を抑えるのはむずかしいものです。これが「迷信」が生まれる理由です。・・・・・・(略)・・・・
慣例はなかなか消えにくいものです。これを消去抵抗といいます。この傾向が確証バイアスによって促進されると、さらに強い信念へと発展します。
ジンクスや厄年といった社会的信念もこの原理によるものです。

「へーっ、鳩も脳によって、偶然の出来事から法則を導き出そうとし、次を予想しようとするのか。」と私は関心した。

社会的なものの見方は、見たままに、聞いたままに理解し、判断していると思ったら大違い、脳の癖が人間の理解の仕方にバイアスを与えていることが多いことにびっくりした。

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この本の面白いのは、一番最後に「認知バイアスの代表的なものー
183個」がリストアップされていることだ。

このリストを見てみると、「えーっ、こんなにも脳にはくせがあるものか」と思ってしまう。

本の後書きに、著者の池谷裕二さんが書かれている。

「胸に手を当てながら、素直にこのリストを眺めると、図星を指される項目も多く、自然に胸が疼きます。でも、落ち込む必要も、恥ずかしがる必要もありません。それが脳の仕様なのですから。
人はみな偏屈です。脳のクセを知れば知るほど、自分に対しても他人に対しても優しくなれます。それがこの本の狙いです。」

優しく読めて、しかも内容はたっぷりで、この本は人におすすめできる本だと思う。

*「自分では気づかない ココロの盲点」著・池谷裕二 (朝日出版社)

 

 

 

サイエンス・メイトフェスティバル

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ここは靭公園にある「大阪科学技術館」、大阪科学技術センターの中にある。私は来たことがなかった施設。
初めてきたが、とてもおもしろくて、興味深い施設だった。

来るきっかけは、下の案内をもらったからだ。それは「サイエンス・メイトフェスティバル2016」。

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この取り組みというのは、4月18日が「発明の日」で、この日を含む一週間が「科学技術週間」にあたっていることに由来する。
文部科学省が中心になって、この「科学技術週間」を取り組んでいて今年で57回目を迎えるというが、私は全くと言っていいほどそのことを知らなかった。
また大阪科学技術館ではそのことを受けて、「サイエンス・メイトフェスティバル」というイベントを青少年向けに実施しているそうだ。そのことも全く知らなかった。

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この「サイエンス・メイト」というのは、小学校4年〜6年を対象とした科学クラブで、このサイエンス・メイトの取り組みとして、「空気の実験」「水の実験」「電気の実験」などが発表されていた。 また実験ブースでの「ふしぎなバランス体験ーバランス独楽」「科学捜査を体験してみようー指紋分析」「ひかりのふしぎー分光」の体験コーナーや、「かんたん工作教室」として「くるくる紙コプター」や「テクノくんの紙コップギター」などの工作教室があった。上の写真は「工作教室」の様子。

このほかに、靭公園の中にある建物なので「靭公園の自然観察会」もあり、ふだんは入れない「いのちの森」へ特別に入れるイベントもあった。私も入りたかったが、サイエンス・カフェの時間帯と重なったためあきらめることにした。

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IMG_0271 ゲームセンターさながら「しんかい6500」の操作を楽しんでいる子どもたちがいる。「はやぶさ」をうちあげたH2Aロケットの模型や、小惑星「イトカワ」でのサンプルリターンのビデオなどもあり、肥後橋にある大阪市立科学館に負けない展示がいっぱいあった。

親子連れが目立ったけれど、こんな施設に連れてきてもらえる子どもたちは幸せだなあと私は思った。
ゲームや体験をとおして科学技術にふれることができる施設は、「大阪市立科学館」しか知らなかった。靭公園にある「大阪科学技術館」のことをどうして知らなかったんだろう。
それは企業が中心になって作っている施設だからかも知れない。

ホームページを見ると、「企業や研究機関19社5団体23ブースで構成されており、各出展機関の最新の科学技術を体験型の展示物で学ぶことができます」と書いてある。
ざっと見て回っても、「ゴミを燃やして電気を作る(プランテック)」「天然ガス(大阪ガス)」「鉄を作るまで(新日鉄)」「見えないモノを見る(非破壊検査株式会社)」「建築物 高さへの挑戦(大林組)」「暮らしに役立つ水素の力(岩谷産業)」「Atomic Energy Sience Laboratory〜放射線と原子力(日本原子力研究開発機構)」と興味深いものばかりだった。IMG_0301

センターの人に聞いてみると、近隣の学校からの見学はあるが、大阪市内全域ではないそうだ。でも韓国からの見学の問い合わせがあったり、大阪府内の小学校からの見学もあるという。いいものは知らないうちに広く知られるようになるのだと思うが、せっかく大阪市の中にある施設だから、もっと大阪市内の子どもたちが活用すればいいのに、と思う。(上の写真は、この大阪科学技術館のキャラクター、テクノくんととの大抽選大会)

そんな大阪科学技術館だが、最近来館する人が増えてきているという。

IMG_0297実は、この建物は「あさが来た」で有名になった五代友厚の屋敷跡に建てられているのである。「この付近に五代友厚の・・・」と尋ねに来る人がふえているとセンターの人が言っていた。ただ屋敷跡の碑がない。それが残念なことだ。

科学技術館としても5月22日(日)に講演会「五代友厚公と大阪科学技術センター〜ゆかりの地 靭界隈とその歴史」というイベントを実施することを聞いた。
これも面白そうだ。詳しくはホームページを。アドレスは下のとおり。

http://www.ostec.or.jp/pop/

 

 

落語 桂米左(かつらよねざ)独演会

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久々に繁昌亭の寄席に行く。
6時半開演。4月も中旬を過ぎると、午後6時を過ぎてもまだ明るい。
以前お茶を楽しんだ「繁昌亭のごまの和田萬」「ごまカフェ」「ペンションLee」はもうない。そこはたこ焼き屋さんに変わっていた。繁昌亭は繁盛してても、周りのお店は知らぬ間にかわっていく。前回来た時に夕食を食べたレストランも改装中だった。

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桂米左さんは、大阪市の小中高を卒業、つまり大阪市出身の落語家だ。

ほぼ満員で、ふだんから桂米左さんの落語にきている人が多いような雰囲気の会場だった。

入り口でもらったパンフレットを読んで、ふーんとうなる。

「本日はお忙しい中、桂米左独演会にお越し下さいまして有り難うございます。
 さて今日(4月19日のこと)は師匠米朝の月命日でございます。昨年3月19日に他界してから早いもので、一年と一ヶ月。この間に米朝追善と銘打ち、各地で会が催されました。また二月には松竹座で米朝十八番の内「地獄八景亡者戯」が芝居で上演されました。・・ちなみに米左は「はてなの茶碗」の茶金さんの役・・・。どの公演も大入りで亡くなってからでもお客さんを呼ぶ師匠に、改めて畏敬の念を抱きました。・・・・(以下略)・・・・」

そうか、桂米朝さんが亡くなってもう一年が経つのか、時間の経つのは早いものだと月並みなことを思っていると、桂米左さんの落語のまくらのなかで、桂枝雀さんが亡くなったのは4月19日、という話があった。なんとも縁を感じる日に繁昌亭にきたものだ、と思う。

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桂そうばさんの演目は「手水廻し(ちょうずまわし)」。
大坂は昔、朝に顔を洗うことを「手水をつかう」「手水を廻す」と言ったそうだ。
手水ーちょうず、という言葉も落語の世界でしか聞かない言葉になってきたようだ。
 話の中身は、大阪からずっと「離れた村に泊まった大阪の商人が、朝に顔を洗いたいと思って「手水を廻して」と言った言葉がもとになっての大騒動。
そうばさんは福岡出身の人で、桂ざこばさんを師匠にする人。
最初に、関西の言葉はわかりにくかった、という話があったが、そうばさん自身の語り口はとても良くわかるものだった。

桂歌之助さんは「壺算」。
それぞれの家に水をためておく壺があったころの時代の話。
水道が当たり前のように各家庭にある現代では、設定そのものが未経験の話。
歌之助さんは、頭のなかで計算しながら、でもわからない納得出来ない、そういう壺屋さんの番頭さんが困っている姿を大熱演。見ている私たちは大いに楽しんだ。

桂米左さんによる独演会三つの演目、どれも米朝さんにゆかりのもの。桂米朝一門の独演会は三つの話をすることになっているそうだ。

天狗裁き

これは私の好きな演目の一つ。
話がどんどん大ききなるところと、おかみさん、友達、大家さん、お奉行、そして天狗が「して、その夢は?」とたずねていくタイミングと言い回しが笑いをもりあげる。盛り上げ方が話し手によって少しづつちがってくるのが落語の面白さ。
私も舞台やテープで「天狗裁き」を見たりきいたりしたことがあるが、さげがわかっていながら、そのさげをまっている自分がいておもしろかった。
「おまえさん、どんな夢をみていたんだい?」
桂米左さんのおかみさんは、私の期待通りだった。

この「天狗裁き』は近年、東京でも米朝流の演り方になっているという。さすが桂米朝師匠。

百年目

「百年目」はパンフレットによると、「師匠が一番難しいと言っていた『百年目』をお聴き頂きます。初演の時はこのネタに見事にやられました・・・(略)・・・師匠の足元にも及ばぬ『百年目』ですが少しでも近づけるように頑張ります」とある。

そんなに難しいものなのかなあと思いながら、
ネットで調べてみると、ウィキペディアにはこうあった。
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百年目』(ひゃくねんめ)は、落語の演目。元々は上方落語の演目で、のちに東京に移植された。一説には東西とも同じ原話があり偶然に作られたという。3代目桂米朝2代目桂小文治2代目桂小南6代目三遊亭圓生ら大看板が得意とした。

鴻池の犬』『菊江の仏壇』などと同じ、船場の商家を舞台にした大ネタである。かなりの技量と体力が演じ手に求められ、米朝も独演会でしくじった事がある。大旦那、番頭、丁稚、手代、幇間、芸者など多くの登場人物を描きわけ、さらに踊りの素養があらねばならない。力の配分が難しい噺である。米朝の大旦那は圓生演じる大旦那より一回り大きい。