藍を育てる(2015年版)

乾燥葉で木綿を染める

昨年植えた藍からとれた種を使って、今年も藍を育ててみた。

5月12日。発芽している様子(写真左)。
6月2日。苗も育ってきたので、植え替える(写真右)

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昨年取れた種を使っているので、まいた種は多いので、昨年よりもプランターを1つ増やしてみた。

種をまく時に、密集して撒いたせいか、苗も密集している。
4,5本をひとかたまりにして植え直したが、結果から見ると、プランターをふやして、ゆったりと間隔をとって植えたほうが良かったかもしれない。というのは、今年の夏が厳しかったせいか、生育が昨年よりも良くなかった。来年はもう少しゆったりと植えてみようと思う。
下の写真は9月22日。
花が出できたので葉を収穫することにする。
種を取る藍以外は、根本からバッサリとハサミで刈り込む。2,3日乾かして、葉を取り、乾燥葉にする。

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取れた乾燥葉は、66グラムだった。思ったより少ない。 IMG_8521

今年は薬品を使い、木綿を染めることにする。 参考にした本がこれ。
「そだててあそぼう アイの絵本」

 

この本の例は、乾燥葉が100gとして説明されていたので、その量の60%に置き換えて作業をした。

用意するもの
・染めたい木綿のシャツ(今回は幼児用のシャツ3枚と大人用のシャツ2枚を染めてみた)
・藍の葉をこすための布(本ではさらしの袋をつかっているが、わたしは使いふるしのバスタオルを使った)
・藍の葉を煮るためのなべ(本ではホーロー鍋をつかっているが、そんな大きなホーロー鍋はないので、古くなった普通の鍋を使った)

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・染めるときに使うバケツ(普通使っているポリバケツを使った)
・温度計、菜箸、ぞうきんなど。
・ビニールの手袋(昨年は手袋なしで作業すると、染まった爪が元に戻るまで1ヶ月ほどかかった。手袋は必需品だと思う)
・炭酸ナトリウムとハイドロサルファイトナトリウム(左の写真)

最後の薬品はアマゾンで買った。近くのスギ薬局で聞いてみたが、なんと通販をすすめられた。

藍染の方法を本にそって紹介する。
本では藍の乾燥葉100gで藍染めがなされているが、私が取れた乾燥葉は66gだったので、実際の作業は6割の計算で行った。

1.乾燥葉100gを鍋に入れ、水2リットルを注ぎ、およそ10〜15分煮てから布でこし、煮汁をすてる。(1回めの煮汁は捨てるということ)

この煮汁は下水に捨てることができる。私は庭にまいた(自然のものだから大丈夫と思って)。
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2.1でこした葉に、もう一度水1.5リットル、炭酸ナトリウム15g、ハイドロサルファイトナトリウム15gを入れて、10〜15分煮る。匂いが強いので、換気扇は必ずまわす。本では外でやるほうがいいと書いてあった。
煮汁をこしてポリバケツにうつす。
この作業(煮汁を絞り、絞った葉に水と薬品を加えて煮るという作業)を3回くりかえし、こした煮汁をポリバケツにためる。
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三回目になると、藍の葉の色が抜けてくることが分かる。 ポリバケツには表面が青い染液がたまってくるというわけだ。下の写真のように葉を煮ている時の色や絞った藍の葉の色が変化していることがわかる。

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こうして染色液ができる。 染めるときにはこの煮汁(染色液)を40〜45度くらいに温めなおして染める。
煮汁の色は、表面は青色をしているが、実は黄色をしているのだ。
空気に触れて藍色特有の青色のなることが、この作業でよくわかった。

染めるシャツは先に水で洗っておく。シャツに含まれているノリなどの成分を洗い流しておくというわけ。そのほうが染まりやすいと思ったのでそうした。

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40度〜45度の煮汁に、シャツを静かに入れる。5分くらいそのままつけておく。
菜箸でかき回したり、取り出す時はビニールの手袋をして、直接藍の煮汁にふれないように注意した。
5分たったら取り出して広げて、空気に触れるさせる。空気に触れると黄色がどんどんと青くなっていくことに驚いてしまう。

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私はこの作業を3回くりかえした。 煮汁につけては空気に触れて発色させていく回数をふやすほど、濃い青色になると本に書いてあったからだ。

3回染めたものをしっかりと水洗いし、かげぼしをした。
一晩ほしておくと、緑っぽかったシャツがみごとな藍色にそまっていたのにびっくりした。

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残っていた煮汁で、大人用のシャツを染めてみた。 このシャツは絞り染めをしてみたが、藍の乾燥葉の分量が少なかったせいか、染めは淡い藍色になった。でも絞り染めの効果でていることはわかった。 IMG_8602

残った染色用の煮汁は下水に捨てて良い、と本には書いてあった。 私は薄めて庭木の水やりにつかった。藍は防虫効果があるとどこかで聞いた記憶があったからだが、本当だろうか? でも天然のものだから植木に悪いはずがないだろう。

昨年は生の葉をつかって藍染めをし、羊毛やレーヨンをつかた実験だったが、今回は薬品を使って木綿を染めるという、少し本格的な藍染めに挑戦してみた。

薬品を入れて煮ている時や、シャツを入れて染めている時は、徳島での藍染体験の時のような藍染め特有のにおいがした。私は煮る時は、台所しか火気がないので台所を使ったが、換気扇全開状態にした。またシャツを染める時は、鍋をガレージに持って行ってそこで染色した。

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藍の花が咲き、実がなってきている。

今年もタネができるようだ。

来年はもう少しゆったりと植えよう。プランターの数も増やして、採れる藍の葉の分量をたくさんになるようにしてみよう。
そしてもう少し大型のものを染めたいものだ。

ベランダで藍をそだてるのは、暑さ対策を考えなくてはならないようだ。今年の夏は暑かった。そして南向きのベランダは、藍にとって砂漠のように暑かったと思う。

 

 

藍を育てる 4

2.生葉を煮だして染める

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四五日経つと切った藍の根本から、もう新しい葉が出てきている。 藍の生命力に驚く。

今回は、生葉を煮だして染める方法をやってみよう。その前に、藍がどうして染まるのか、その理屈を調べてみた。

 

藍の色素はインジゴときいている。でも調べてみると、その青い色素・インジゴが藍の葉に含まれているのではない。
インジゴのもとになるインディカンという物質が含まれている。この物質は無色で水溶性である。
ミキサーで葉を砕くと、インディカンは葉の細胞から外に出て水に溶ける。同時に存在していた酵素インジカナーゼも葉から出てきて、インディカンと反応してインドキシルという物質になり繊維に染みこむ。
このインドキシルが繊維の中で酸素と反応して二個の分子が結合し、水に溶けない藍の色素インジゴになる。これが染まる、ということだとわかった。

さて、生葉を煮ることによって、葉にあるインディカンを取り出す。
このとき、酵素のインジカナーゼは熱によりその働きを失うので、外から新しい酵素インジカナーゼが必要になる。新しいインジカナーゼを取る作業を含めて、今回は二段階の作業が必要になる。

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煮出し用の生葉を200g、酵素インジカナーゼを取り出すための生葉を20g用意した。
まず、200gの生葉を2リットルの湯で煮る。時間は 10分間。

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酵素用の生葉を20g、水を500ccでミキサーをまわし、酵素液を濾す。これは前の生葉で染めた時と同じ。

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ポリバケツにためた生葉を煮て抽出した染料液に、生葉から取り出した酵素液を加えて混ぜる。これでインディカンとインジカナーゼが反応してインドキシルが生成されるわけだ。ここにレーヨンの布と糸を入れる(布と糸は中性洗剤であらっておく)。

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染めムラのできないように動かし続けて30分。

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30分たてば、軽く絞って空気にさらす。 そのあと水で洗う。
4回くらい水をかえてあらう。(生葉の時と同じ)

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タオルに巻いて水分をとり、天日干しする。

 

 

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青っぽいのが生葉で染めてもの。緑がかっているのが、葉を煮て染めてもの。少し、色が違う。

生葉も煮た葉も青い色で染まるが、雰囲気が違う。
なるほどなあ、私にとっては新しい発見だ。

 

 

 

藍を育てる 3

1.生葉染め(なまはぞめ) 

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ベランダの藍も大きくなってきた。高さを計ってみると、40cmは越しているので、藍染めをすることにした。
まず最初に「生葉ぞめ」体験。 
「藍染めの絵本」「アイの絵本」(どちらも農文協)を参考にした。

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根元から数センチでバッサリと刈り取る。計ってみると確かに40cmを超えている。

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葉と茎にわける。茎も茎染めに利用できるそうだが今回はしない。また茎を使っての挿し木もできるそうだが、時期が遅いこれも今回はあきらめる。

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資料には絹を使っているが、絹は高価なのでレーヨン(羊毛)の布を使う。タンパク質にはよく染まるそうだ。 事前にレーヨン布を中性洗剤で洗っておく。 資料によると、 布10g、葉50g、水700cc なので、この割合で布と生葉を準備する。

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ミキサーに水と生葉の分量を計り入れる。ミキサーで1分間。 

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資料には、目の細かい木綿布で濾す、と書いてあるが、私は古いタオルを利用した。 濾された染色液はきれいな黄緑色。

ミキサーにかけてから染料液にし、染めるまでを5分以内でする、と本に注意があった。とにかく手早く作業を進める。

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  布を染色液につけて染めムラができないように、たえず動かし続ける。15分間。

ここで注意。
手袋をすること。人間の皮膚も爪もタンパク質なのできれいに染まる。染まってしまうとなかなか色が落ちない。特に爪はどうしようもない。
くれぐれも素手で作業をしないこと。

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15分たったら、軽く絞って広げて空気にさらす。 その後水洗い。4回くらい水を変えて洗う。

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タオルに巻いて脱水して、できるだけ早く乾かす。すぐに乾かさないと色がくすむ、と本に書いてある。

 

次に羊毛の糸にチャレンジ。

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残っている染色液(色がこくなっている)に、羊毛の糸をつけて染めてみる。 羊毛の糸を10g計って、染色液に入れて15分。あとは上の作業と同じ。

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 IMG_183915分染めた後は、軽く水を絞って空気にさらす。
そのあと水で洗う。
布と同じように4回くらい水を変えて洗った。

タオルにまいて水分をとり、天日に干す。羊毛の糸も染まることがわかった。

 

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上の写真は染める前の白布ときれいな藍色に染まった布。
次回は生葉を煮だして染める方法をやってみよう。