堺能楽会館

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ここは堺能楽会館。 なんとも立派な、しかも本格的な能舞台。
南海本線「堺駅」から徒歩約8分というところ。
ダイトクビルディング内にある。その舞台を見学させてもらった。

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この能舞台は、日本で唯一個人が所有する能舞台だそうだ。館主は大澤徳平さん。大澤さんのお話を伺うと、大澤さんのお母さんが本格的な能舞台を作ることを決意し、私財を投げ打って作られたと、そうだ。
完成は昭和44年(1969年)2月1日。約50年近く前になる。その利用は能狂言だけでなく、洋楽や声楽の舞台にも使われている。
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大澤さんの話によると、近隣の小中学校の利用もあるとか。近くの大浜中学校の生徒たちのここでの能狂言の鑑賞はもう30年近くにもなるそうだ。
ひとりの国語の先生の発案からはじまり、当初は「やんちゃな子どもたちだからかえって迷惑をかけないか」との学校側の懸念があったが、大澤さんの働きかけで実現したそうだ。結果は、「こんなに集中したうちの子どもたちを見たのははじめてです」という先生たちの驚きだった。
やっぱり本物の力はすごいのだ。

それがきっかけで毎年おこなわれ、この取り組みをされた先生たちの転勤などにより、同様の取り組みをする中学校はふえているそうだ。最近は小学校6年生たちの観劇や体験が行なわれているそうだ。

なんとも幸せな子どもたちだろう。
日本の誇る芸術を最高の舞台で体験できるなんて。
私達もその能舞台を体験させてもらった。IMG_9459

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能面をつけてみると、その視野の狭さに驚いてしまう。
さらに声を出すと、くぐもった声になって、音響効果の良い舞台なのに、自分の声が届いているのかと心配になってしまう。
総檜張りの舞台を歩けるなんて、夢にも思わなかった体験。
橋掛りからすり足で舞台に向かって歩く。
板の目が違っているところが舞台の始まり。なるほど、すり足で歩かないとわからない。
「なぜ松の木が描かれているのか」「橋掛かりにある三本の松の意味は」など初歩的な質問にも気軽に答えていただいた。(この質問は調べればすぐにわかるので、ブログには大澤さんのお答えは書かないことにする。)

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二階には大澤さんのお父さんやご自分が集められた、堺に縁のある工芸品の展示場があった。 IMG_9422

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左のお雛様は享保年間(1716年〜1735年)に作られたいう「享保雛」。大変貴重なもののようだ。詳しく紹介のあるYouTubeがあったの下に紹介しておく。

能狂言というと、なんともとっつきにくいもの、と思ってしまいがちだが、ここに来てみるとその敷居はかなり低く感じられるようになった。

食わず嫌いでなく、自分から一歩近づいてみることも大事なことにあらためて気づいた。
http://www.portall.zp.ua/video/no-title/id-E5F-Br–taV.html

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毎月の第一、第三土曜日に、今回のような体験ツアーが開かれているそうだ。
友達や知り合いを誘って、ひとりでも多くの人にこの能楽会館を知ってもらいたいなあと思った。