バースディクライシス1

誕生日が同じ人

沢山の人数がおさめられている名簿を整理していると気がつくことがある。
「あれ、この人とこの人、同じ誕生日だなあ。」
それが思った以上にあったりして、珍しいことのもあるもんだなあ、と思っていた。
しかし調べ見ると、結構な確率であるんことがわかった。
参考になったのが次の二冊の本。

「直感を裏切る数学」(ブルーバックス 神永正博著)
「社会にも法則はあるか」(仮設社 長岡清 板倉聖宣)

 

 

一つ目は以前に紹介した「直感を裏切る数学」(ブルーバックス)。ここには「恐怖の誕生日」という章で紹介されている。

もう一つ目は仮説社の「社会にも法則はあるか」という本で、サブタイトルが「誕生日をめぐる法則」とある。
この二冊を読んで、私が理解したことをここに紹介してみよう。

では仮説実験授業風に選択肢のある問題をどうぞ。

クラスの人数が35〜45人の場合で考えます。同じクラスの中に同じ誕生日の人がいる確率はどれくらいだとおもいますか。 ここでは一つのクラスを考えましたが、クラスでなくてもかまいません。会議で35人〜45人位の人が集まっている場面を想像してもかまいません。

<予想>

ア、ほとんどない。あっても10クラスあればその中の1クラスか2クラスぐらい。つまり1〜2割位だと思う。

イ、半分ぐらいのクラスには「同じ誕生日の人がいる」と思う。つまり5割、確率1/2ぐらい。

ウ、たいていのクラスには「誕生日が同じ人」がいると思う。確率は8〜9割ぐらい。

さて、ア、イ、ウのどれを選択しようか。アかイかな?と思うが、、、。

確率という言葉が出てくると、何かややこしそうな気がして、考えるのが嫌になってきそう。どんなふうに考えればいいのだろう。どちらの本も丁寧に解説されているが、考え方の結論だけを書いてみると、

全ての場合の数から、全員の誕生日が違う場合の数を引けばよい。それが「誕生日が同じ」場合の数である。 
準備運動、まず3人の誕生月で考えてみよう。

Aさん、Bさん、Cさんという三人がいる場合を考える。
Aさんがとれる誕生月は1月から12月の12通り。
①Aさんが1月生まれだったらBさんは2月から12月の11通り。
②Aさんが2月生まれだったらBさんは1月、3月〜12月の11通り、
③Aさんが3月生まれだったらBさんは、1月、2月、4月〜12月の11通り。
・・・・・
⑫Aさんが12月生まれだったらBさんは、1月〜11月の11通り。
つまり、Aさんが12通りの誕生月それぞれにBさんは11通りの誕生月になる。

ここにCさんを考えると、
①Aさんが1月生まれで、Bさんが2月生まれだとCさんは3月〜12月の10通り。
②Aさんが1月生まれで、Bさんが3月生まれだとCさんは2月、4月〜12月の10通り。
③Aさんが1月生まれで、Bさんが4月生まれだとCさんは2月3月、5月〜12月の10通り
・・・・
⑫Aさんが1月生まれで、Bさんが12月生まれだとCさんは2月〜11月の10通り。
つまりAさんが1月と固定した時、Bさんは2月から11月の11通りが選択でき、CさんはBさんが11通りとるその月ごとに10通り選択できることになる。
全部の場合を考えると、Aさんが1月から12月までの12通りを選択するわけだから、AさんBさんCさんが取る場合の数は、

12✕11✕10

となる。

図で表すと、

IMG_20150729_0003

さて、今考えたのは、AさんBさんCさんの誕生月が違っている場合の数。
次にAさん、Bさん、Cさん3人の誕生日が同じであろうと違っていようと関係なく、全ての場合の数を考えると、

Aさんは12通り、
BさんはAさんに関係なく
12通り、
CさんもAさんやBさんに関係なく12通りとなる。
従って全ての誕生月の場合の数は、
12✕12✕12
となる。

さて問題は「同じ誕生月の場合の数」。これは先に結論を書いたが、

「全ての場合の数−3人の誕生月が違う場合の数」
すなわち、

12✕12✕12−12✕11✕10=1728−1320=408

そして確率の計算は全体の数で割ればいいから、

408÷1728✕100=23.61(%)

3人の場合、同じ誕生月である確率は約24%(四捨五入して)となる。

では35人の誕生日で考えてみよう

35人の全ての誕生日が同じ場合でない、数を数えてみよう。

上の場合から考えて、今度は誕生日だからスタートは365通りからはじまることが分かる。そして1つずつ場合の数が減っていき、全体で35通り減っていくので、

365✕364✕363✕・・・・✕(365−33)✕(365−34)

となる。

一方、35人の誕生日の場合の数は365を35回掛け算した数になる。すなわち、

IMG_20150730_0001

 

同じ誕生日の人がいる場合の数は、全体の数から誕生日が同じでない数を引けばいいので、

IMG_20150729_0006そして、35人の中で、同じ誕生日の人がいる確率は、 全体の数で割ればよい。

IMG_20150729_0006 - バージョン 5

 

365✕364✕363✕・・・✕2✕1という形、つまり階乗(!が階乗を表すと高校の数学で習ったと思う)の形式で整理すると、

IMG_20150729_0006 - バージョン 4これで形がスッキリとした。 先に求めた確率の式にこの式を代入すると、

IMG_20150729_0006 - バージョン 3

 

となる。 もう少し形を綺麗にすると、

IMG_20150729_0007

ここまで計算式を求めると、後は計算するだけだが、階乗の計算値が半端な数ではない。

実際どういう結果なるのかは、次回に説明したい。
今日はここまで、ご苦労さまでした。