月齢早見盤6

上は奥州宇宙遊学館のホームページから引用した「月の満ち欠け早見盤」の記事。
ここには2021年用の「月齢早見盤」が紹介されていて、その図面がダウロードできる。ホームページから「科学のお話」にリンクすると、「月の満ち欠け早見盤作成方法」のコーナーにつながる。ホームページののURLは下記の通り。

http://uchuyugakukan.com/topics/science/

簡易月齢計算法について

1月29日午後6時55分の月。2021年最初の満月だ。月の出が午後5時48分だから、月の出から約1時間後の様子。
これまで「月齢の計算」について何回か考えてきたので、ここですこしまとめておこうと思う。

このブログの昨年の6月に「月齢早見盤」について書いた時、紹介した「早見盤」に下のような付録がついていた。

実際に確かめてみよう。
2021年1月29日を計算してみよう。

月の数+日の数+Mの数=1+29+13=43
43−30=13  (30を越えているので引いている)
13+2=15  (1月と2月は2を加えて補正する)

「こよみハンドブック」には月齢15.9 とある。
すばらしい数値だ。
この「Miの数」というのはなんだろう?

C=((Y-2028)%19)✕11+M+D)%30 

1月6日のブログ「月齢早見盤5」で計算した方法を見てみよう。
この計算式で2021年1月29日の月齢をだしてみよう。

((2021−2028)%19)✕11+1+29)%30
=(−77+1+29)%30
=(−47)%30
=−17
マイナスになっているので30を加える。
−17+30=13
1月なのでプラス2の補正をすると
13+2=15
見事、満月の月齢になった。
確かにこの計算式は有効だ。

はて、この計算途中で13という数字がでてきた。
これは上の「Mの数」と同じだ。

実は
C=((Y-2028)%19)✕11+M+D)%30
   =((Y-2028)%19)✕11)%30+(
M+D)%30 

と分解しても同じになる。
   ((Y-2028)%19)✕11)%30
=((2021-2028)%19)✕11)%30
=(-77)%30
=-17
-17+30=13  (マイナスになったので30をプラス)

ということで、「Mの数」は前回求めた計算式から導かれているようだということが推測できる。
2020年の「Mの数」2,2019年の「Mの数」21も同様の計算で確かめることができる。

おにおににし5678910

昨年の7月に「月齢早見盤4」で紹介した「鬼鬼西・・・」の方法を確かめてみよう。これはその年の1月1日の月齢がわかっていれば計算できるという方法だった。

1月1日の月齢に
1月 0(お)
2月 2(に)
3月 0(お)
4月 2(に)
5月 2(に)
6月 4(し)
7月 5、 8月 6、 9月 7、 10月 8 11月 9、 12月 10
と、求めたい月の上の表の数と日の数を加えればよい。

2021年1月29日の月齢を求めてみよう。
1月1日の月齢は17.4 1月の上の表の数は0

17.4 + 0 + 29 = 46.4    30を越えているから30を引く。
46.4 – 30 = 16.4
この数値は誤差の中に入っているから、この計算式も有効だ。

このように、
① C=((Y-2028)%19)✕11+M+D)%30 
という計算式で求める方法。

② ここで計算できるその年の「Mの数」を求めておいて、
 たとえば2021年なら13を覚えておき、
 「Mの数」+「月の数」+「日の数」で計算する方法

③ 求めたい年の1月1日の月齢を調べておき、
 「おにおににし5678910」
  の数を使って月齢を求める方法。

これらの3つの簡単な月齢の求め方が有効だということがわかった。もちろんこれらは誤差2はあると思って使えば良いという簡単な方法だということを忘れないでおこう。

 

 

 

 

 

 

月齢早見盤4

これはインターネットて紹介されていた「月齢早見盤」。 山上企画というところが載せている。ここには詳しい解説がのっていて、作り方も紹介されていて、その仕組が丁寧に解説されている。
メトン周期のことものっていて、月齢早見盤の考え方を勉強することができる。

詳しいことは下記のホームページを是非参照してほしい。

http://yamagamiplanning.sakura.ne.jp/guide/texts/moonboard

鬼鬼西(おに おに にし)とは?

月齢の求め方にはいろいろとあるようだ。
ウィキペディアの月齢には、次のような式が紹介されている。

グレゴリオ暦からの月齢計算

グレゴリオ暦の日付から月齢を求める略算法として、堀源一郎氏が『天文月報』1968年7月号で発表した簡易月齢計算法がよく知られている

  • 西暦年数から11を引き、その値を19で割った余りを求め、11を掛ける。この値をaとする。
  • 月数から、以下の表に従って値を求める。この値をbとする。
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
0 2 0 2 4 5 6 7 8 9 10
  • 覚え方は、6月までは「おにおににし」と語呂合わせで覚え、7月以降は(月数-2)で求める。a+bに日数を加える。求めた値を30で割った余りが、その日のおおよその月齢である。但し、最大2程度の誤差がある。

ウィキペディアで紹介されている、堀源一郎さんの論文は

http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1968/pdf/19680704.pdf

にPDFファイルで見ることができる。

ウィキペディアにある表は、堀源一郎さんの原本では次のようになっている。

堀源一郎さんがこの論文を発表されたのは1968年。1968年は上のウィキペディアにある計算式のaを求めてみると、
1968 – 11 = 1957
1957 / 19 = 103 
となり、余りはゼロになる。したがって a = 0
そのため堀源一郎さんの提示する式は f(月) と日の数とで計算でき、たいへんスマートである。

この0,2,0,2.2,・・・と続く数字はどのような考え方から出てきたのかを見てみよう。

月齢とは?

もう一度基本に帰って、月齢とは何だっのかを復習しておこう。
これもウィキペディアによると、

暦法における月齢(げつれい)とは、直前の朔の瞬間からの経過時間を日を単位として表したものである。

では、ある年の1月1日をスタートにして考えることにしよう。2020年は「うるう年」なので、平年で考えることにする。

そしてこれまで考えてきたように、朔望月の日数は変化するので、平均を取り 29.5 日で一巡するとして計算することにする。実際の月の経過による日数と、29.5 日を一ヶ月として計算したものを表にすると次のようになる。

表の解説をすると、
現在の暦が月の朔望月と同じなら、毎月同じ日には同じ月齢になることはわかる。
しかし現在の暦は月によってその日数は違うので、月齢と日にちは一致しない。
また 29.5 日という、平均値を利用しているので「誤差がある」ということも忘れないでおこう。

2021年1月1日の月齢は、「こよみハンドブック」によると 17.4 である。

2月1日は、上の表によると 1.5 の差があるので
17.4 + 1.5 = 18.9 
となり、「こよみハンドブック」を見ると 18.9 である。

5月1日を見てみよう。上の表によると5月1日は2の差がある。
17.4 + 2 = 19.4 
「こよみハンドブック」によると 19.0 である。

12月1日を見てみよう。上の表によると12月1日は 9.5 の差がある。
17.4 + 9.5 = 26.9 
「こよみハンドブック」によると、26.2 である。

12月31日は
17.4 + 9.5 + 31 = 57.9
57.9 – 30 = 27.9
「こよみハンドブック」によると、 26.8 であり、約1の誤差である。

これは誤差が1から2ある簡便な式であることを忘れないでおこう。

現在の暦と平均の月の動きとの差を考えてきたので、その数を覚えるための一工夫をしている。
「1.5 を2,3.5 を4、5.5 を6、7.5 を8、9.5 を10と見なす。
ゼロを『お』と読み、『2』は『に』とよんで、『お、に、お、に、に、し』と続け7月の5からは順に、5,6、7、8、9、10」としたのが、この「おに おに
にし5678910」という覚え方」なのである。
この覚え方で12月31日を計算すると、(ハンドブックでは26.8 )

17.4 + 10 + 31 = 58.4
58.4 – 30 = 28.4
となり、誤差は2の範囲内におさまっている。

このようにして、調べたい年の1月1日の月齢がわかっていれば、任意の月日の月齢が、概算だけれども誤差2以内で計算することができる、というのが堀源一郎さんの論文の言わんとしていることだと私は思う。

 

 

 

 

 

 

月齢早見盤3

上の図は前回「ものづくりハンドブック10」で紹介した「立体月齢早見盤」の型紙。この型紙は「ものづくりハンドブック10」に載っているが、出版元の仮説社のホームページから無料でダウンロードできる。

2000年以降の式 C=((Y-2009)%19)×11+M+D  

前回上記の式が成り立つ、という記事の紹介をした。
この式の計算方法は次のようになる。

2020年6月20日の月齢を求めてみることにする。

(2020ー2009)%19=11%19=11
 これは11÷19の余りを計算している。(0余り11)

11✕11=121
121+M+D=121+6+20=147
147ー30=117
117ー30=87
87ー30=57
57ー30=27・・・・計算の結果による月齢

「こよみハンドブック」によると2020年6月20日の月齢は28.4

「一日前後の誤差はある」ということだから、十分な結果だと思う。

ではこの計算式はどのような考え方から出てきたのだろうか、と考えるのが私の好奇心のなせる技。
前回紹介したホームページに従って、私が理解したものをここに紹介してみよう。

http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0250.htm

1.日数から月齢を推測する考え方

月の満ち欠けを朔望という。そして朔(新月)から次の朔(新月)までの周期を朔望周期という。この朔望周期は一定のものではない。朔望周期の計算は私の手には負えない。ここではホームページに有るように、平均の朔望周期を使って考えていく。

平均朔望周期は29.53059日。
朔(新月)の日がわかっていれば、平均朔望周期の2倍経過した日も朔と予想ができる。同様に平均朔望周期の3倍、4倍、5倍と整数倍経過した日も朔と予想できる。

この考え方を使って考えてみよう。
たとえばY年M月D日が朔の日だとする。この時の月齢は0。
100日後の月齢を予想してみよう。

100 / 29.53059 = 3  余り 11.4

平均朔望周期の3倍と11.4日という計算結果が出る。
この11.4日が朔の日から経過した日数だから、これが月齢だと考えられる。

2.実際に計算してみよう。

では2020年7月1日の月齢から、1日後、1月後、1年後の月齢を推測してみよう。 「こよみハンドブック」によると「2020年7月1日の正午の月齢は 9.8 」

1.1日後の2020年7月2日の月齢は

1日後の月齢は殆どの場合現在の月齢プラス1となる。したがって
「2020年7月2日正午の月齢は10.8」
「こよみハンドブック」も6月2日正午の月齢は 10.8 とある。
 このへんは「当たり前」のところ。

 計算の途中で30を超えるときは30の整数倍を引く。
(これはホームページによると、途中で朔がはいってくると、そこが0になって計算をはじめていくことになる。そして朔望周期は30をこえることがないので、計算結果が30を超える場合に上のような修正のための処置をするという注意が書かれている。)

2.1月後の2020年8月1日の月齢を計算してみよう。

 7月1日から8月1日までの日数を数えればいいわけだが、1月後の月齢なら日数を数えるのは簡単だが、何ヶ月後の月齢となると大の月と小の月、さらに2月と、間隔が広がってくると7月1日からの日数を計算する手間がかかってくる。
ここで朔望周期の平均を考えたように、「1月の平均日数を考え、30.5 日」とするという概略計算の方法をとることにする。

 7月1日から8月1日までの日数を 30.5 日とすると、

 30.5 / 29.53059 = 1 余り 0.97

 カレンダーの上で1月が経過すると、この「余りの分」だけ月齢が増えることを意味している。そうすると

 2020年8月1日正午の月齢= 10.8+ 0.97 = 11.77

「こよみハンドブック」で調べると、2020年8月1日正午の月齢は 11.4
 平均を使っての概略計算でこれぐらいの結果がでるのなら、この方法を信用しても良さそうだ。

3.1年後の2021年7月1日の月齢を計算してみよう。

 平年は1年は365日、うるう年は4年毎に366日。一年を平均すると 365.25 日と考えることができる。

 365.25日の月齢の進み方を計算する。平均朔望周期を 29.53059 とすると、

 365.25 /  29.53059 = 12 余り 10.88

 1年で平均して月齢は 10.88 進むことがわかる。
1年後の2021年7月1日正午の月齢は

 9,8 + 10.88 = 20.68

 「こよみハンドブック」によると2021年7月1日正午の月齢は 20.7
   これはなかなかの結果ではないか。

この計算方法はますます信頼できることがわかる。
さて私が理解できた任意の年月の月齢の出し方は次回に説明したい。