ケプラーの第3法則

ケプラー1

「はやぶさ2」の打ち上げが迫ってきた。太陽系探査にとって必要なのはニュートンの発見した万有引力の法則。
そしてその前段階を作ったのがヨハネス・ケプラー(Johannes Kepler、1571年12月27日 – 1630年11月15日)。
ドイツの天文学者。(写真はウィキペディアより)
ケプラーは義務教育で習うケプラーの法則でよく知られている。
ケプラーの法則というのは、

1.惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く。

2.太陽から一つの惑星へ引いた動径は、等しい時間に等しい面積を描く。すなわち「面積速度」が一定である。

3.公転周期の2乗は、軌道の長半径の3乗に比例する。

法則の1と2はなんとなく受け入れやすい。でも三つ目の法則は2乗のものが3乗のものに比例するというのはなんとなくすっきりしなかったのが私の学生時代の印象。

 ケブラーはティコ・ブラーエの詳細な観測結果を受け継ぎ、そのデーターを元に法則を発見したと言われている。

どんなデーターを元にしたのだろう。
イメージをつかむために理科年表を見た。

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桁数の大きな数字が並んでいる。少しわかりにくいので見やすく作りなおしてみた。

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 この数字を見て、
軌道長半径の3乗と軌道半径の2乗が比例しているなんて、私には思いもつかないし、本当に比例しているのかな、とおもってしまう。 

ケプラーがどのような経過と思考過程を経てこの三つの法則にたどりついたのかは、今の私には知識がない。
現在の天文学では、ニュートンの万有引力の法則にもとづいて計算式が導かれて、証明できることなのだろう。
私はもう少し、わかりやすい説明の仕方がないものかと思った。
本を見ている中で「対数グラフ」を使って説明しているのがあった。これはいい方法だと思う。

対数グラフには一つの軸を対数表示した「片対数グラフ」と両方の軸が対数になっている「両対数グラフ」がある。
下の図の左が「両対数グラフ』で右が「片対数グラフ」。

両対数グラフ 片対数グラフ

 

まず片対数グラフを使う例の説明でよく出てくるのが曽呂利新左衛門。
あるとき、曽呂利新左衛門が太閤秀吉から褒美をもらえることになった。

「なんでも好きなものを言っていいぞ」
「たいそうなものは入りません。米粒一粒で結構です」
「何? たった一粒でよいのか」
「いえ、二日目は二倍の二粒。さらに翌日はその倍の4粒、その次の日はその二倍の8粒、と1ヶ月続けていただければいいです」
「よし、あい分かった。簡単な願いじゃのう」

ところがこの願いは最後までいきつかず、途中で秀吉が音を上げたというお話。
はて、30日目が何粒になったのか計算したのが次の表。

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この表を片対数グラフにかくと見事な直線になる。 IMG_20141118_0005

このように、指数関数は片対数グラフでは直線になる。 逆に言えば、片対数グラフ上で直線になるグラフは指数関数であるとも言える。

次に両対数グラフに前に上げた「軌道長半径」と「公転周期」の値を記入してみよう。
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 これも見事に直線上にそれぞれの値がのってくる。 べき関数になることが予想される。 実際に公転周期の2乗、軌道長半径の3乗を計算してグラフに描いてみると、

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原点を通る直線となり、公転周期の2乗が長半径の3乗に比例していることがわかる。

対数グラフに描くことにより、ケプラーの第3法則がイメージとしてやっと腑に落ちた。

グラフに描くことにより、理解しやすくなる、イメージしやすくなるという例の一つである。

 

 

 

 

地球の公転1

大寒

大寒の図

2014年1月20日は大寒だった。大辞林によると
「二十四節気の一。太陽の黄経が300度に達した時をいい,現行の太陽暦で1月20日頃に当たる。1年で最も寒い季節。」
とある。
天文学的にはどういうことかと調べると、インターネットに上の図が見つかった。
地球を中心にして天球を考える。地球の赤道を仮想的に拡大し、天の赤道を考える。そして太陽の見かけの動きを黄道(こうどう)と名付ける。
地球の軸が傾いているため、天の赤道と黄道は同じにならずに図のように傾いている。その交点を春分点と秋分点といい、春分点を基準として0度とする。
黄経300度というと、もうすぐに一周回り終わって最初の0度になるということがわかる。図の立春315度は約半月後にくる。その後半月ごとに、雨水、啓蟄、春分となる。

(360÷12=30 で一ヶ月に30度動いている。半月に15度、これが二十四節気と関係している)。

さて、本来は地球が太陽の周りを回っていて、公転というのは小学校で習った。
そして公転は円軌道ではなくて楕円軌道ということも知っている。コペルニクスやケプラーが苦労したことも教えてもらった。

冬至が1年で一番昼の時間が短いのは確かだが、日の出が一番遅いわけではないし、日の入りが一番早いのではないことは以前のブログで紹介した。
それは地球の自転や公転に関係するらしいと予想できる。
まず公転について考えてみよう。
地球の公転、というとケプラーの法則が思い浮かぶ。
ウィキペディアを見てみよう。
第1法則(楕円軌道の法則)
惑星は、太陽を一つの焦点とする楕円軌道上を動く。
第2法則(面積速度一定の法則)
惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は、一定である(面積速度一定)。
第3法則
(調和の法則)惑星の公転周期の2乗は、軌道の長半径の3乗に比例する。

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図に書いてみる。
第1法則と第2法則はこれでイメージできると思う。
図を書きながらいくつか疑問点がうかんでくる。
楕円といってもどれぐらいの楕円なのだろう。
太陽に近い時は何月ごろなのだろう。
太陽に近い時は早く動き、遠い時は遅いのならどれぐらいのスピードなのだろう。

楕円の長い方の半径をa,短い方の半径をbとして、a−bを計算してみると
約19000㎞になる。地球の公転の楕円の離心率は0.016 と計算されている。
地球の直径が12000㎞だから地球1個半の差。

地球の公転軌道を直径10mの円に縮尺してみると、
長い半径と短い半径の差は1.28mm !!
ほとんど正円といっていいぐらいなのだ。
(計算の仕方は最後に資料として付けてある)
ケブラーの法則の説明で、上の図のように描くが、これは楕円がわかるように極端に変形されていることに注意しよう。

続いて公転のスピードは?
半径一億五千万kmの円を365日で周るとして、
(150000000 ✕ 3.14 ✕2) ÷ (365 ✕24 ✕60 ✕60) = 29.8
したがって、およそ秒速30kmということがわかる。
秒速30kmは時速に直すと、10800km/h 時速10万8000㎞!
こんなスピードはロケットでも出せない。
近日点と遠日点ではその早さも変わってくる。
ここでケプラーの第2法則がきいてくる。
近いところでは早く、遠いところではおそく。
詳しい計算は次のホームページを参考にして欲しい。
結果だけ描くと、
近日点では、秒速30.29km
遠日点では、秒速29.29km
その差は秒速1.00km 時速に直すと3600km/h
かなりの早さの違いがあることがわかる。

http://ameblo.jp/quaoar/entry-10417541729.html

さて、それでは地球が太陽に近づいている時、近日点はいつだろうか。
2014年を調べてみると、それは1月4日。
反対に一番遠い遠日点は、7月4日。
えーっ、寒い冬が太陽に近づいている時? と思うかもしれないが、それは北半球の人が言うこと。
南半球は夏です。

*資料(計算の方法がわかるように極端に焦点を離して書いています。)
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