古事記を英語で読む24

Two Brothers 3

Yamasachi returned to the land to find hisbrother.
At that time, Umisachi was growing rice.
Yamasachi went to him and returned the hook.

「こうして、ホオリの命(山幸彦)は陸地へと帰り着き、海幸彦である兄の命に、その釣り針を返しました。
もちろん、そのときに海の大神からいわれたとおり、『この針は、ぼんやり針、乱棒針、貧乏針、まぬけ針』といって、後ろ向きに手渡すことを、山幸彦のホオリの命は忘れなかったのです。」(橋本治さんの『古事記』より)

But from that day,
rice didn’t grow on Umisachi’s fileds.
He became very poor and very angry.
“It is all Yamasachi’s fault!”

「兄の耕す田には、雨が全くふりません。ぼんやりしているうちに、田の稲は枯れて、兄の命は貧乏になってしまいました。
貧乏になった兄の命は、だんだん乱暴になって、当たり散らすようになりました。ホオリの命(山幸彦)の田には水があって、豊かに黄金の稲の穂がみのっているのを見ると、ねたみ心がわきあがって、『みんなあいつのせいだ! あいつの田にはえた稲を横取りしてやるぞ!」と言って、攻めて来たのです」(橋本治さんの『古事記』より)

Umisachi created an army and attacked Yamasachi.
Yamasachi was ready because he had the two special balls from the sea god.
When he threw the first ball,
a big wave appeared.

「たくさんの兵士が恐ろしい顔をして攻めてくるのを見ても、ホオリの命(山幸彦)は驚いたりしませんでした。兄の命の軍勢がやってくるのを見たホオリの命(山幸彦)は、海の大神にいわれたとおり、塩盈珠(しおみつたま)を取り出して、兄の命の軍勢の前に突き出したのです。
ゴーッ! という音がして、突然大津波がやってきました。」(橋本治さんの「古事記より)

Umisachi and his army went under the water.
Umisachi screamed,
”Brother, I’m sorry!Please help me!”
Ymamasachi heard this and threw the second ball.
The wave magically disappeared.

「海幸彦であるはずの兄の命は、やってきた大波に飲まれて溺れてしまったのです。
『お願いだ、助けてくれ。苦しくてならない。このままでは死んでしまう。』
そう兄の命は言いました。・・・略・・・ホオリの命(山幸彦)は、塩乾珠(しおふるたま)をあらためて取り出すと、それをぐいっと突き出して、海の神へと見せたのです。あたり一面を水浸しにしていた海の水は、うそのように消えてなくなりました。・・・」(橋本治さんの「古事記」より)

僕(あ)は 今より以後(ゆきさき)
汝命(なみこと)の 昼夜の守護人(まもりびと)と為りて 仕へ奉らむ

Umisachi promised his brother.
“I was wrong.
From now on, I will guard you day and night.”
Years later, the children of Umisachi continued to protect the children of Yamasachi.

「悪いことをしました。私はこれからのち、ずっとあなたさまにお仕えいたします。武器を持って、昼も夜も、あなたさまの安全を守るために、私は護衛の役をつとめさせていただくことにします。」(橋本治さんの「古事記」より)
*こうして海幸彦の子孫は、山幸彦の子孫に使えるようになった。
そして山幸彦の子孫が神武天皇になるというのが、この「山幸彦と海幸彦」の神話である。

*炎の中でコノハナサクヤヒメが産んだ三人、火照命(ホテリノミコト)、火須勢理命(ホスセリノミコト)、火遠理命(ホオリノミコト)。長男のホテリノミコトが海幸彦、三男のホオリノミコトが山幸彦。では次男のホスセリノミコトはどんな活躍をしたのだろうか? 残念ながら「古事記」にはそのことが書かれていないようだ。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三兄弟姉妹でも、真ん中のツクヨミの存在がよくわからない。
「古事記」は神話だからそれは仕方がないことかもしれない。

ここまでが「古事記」の上の巻、このあと中の巻で「神武東征」の話になるのだが、Enjoy Simple English ではここまで。
「古事記」の原文に少し触れることができるいい機会となった。

 

 

古事記を英語で読む23

Two Brothers 2

The boat took Yamasaci down into the sea and to the sea god’s palace. The sea god was honored that a son of Hikohono-ninigi came to see him.
So Ymamasachi was given lots of delicious food.
He even married the sea god’s daughter.

「・・・ついたところは、海底の国です。美しい建物の立ち並ぶ宮殿は、本当に魚の鱗のように整然として、シオツチノカミの言ったように、キラキラ輝いていました。
・・・一目見るなり海の大神はいいました。『この人は、高天原からご降臨になった神のお子だ。・・・ホオリの神(山幸彦のこと)はたいそうなおもてなしを受け、そして、海の大神の大切な娘であるトヨタマヒメの命を、妻として、海の大神からささげられたのです。(橋本治さんの『古事記』より)

Theree years passed. The Yamasachi remembered,
“I have to find my brother’s hook!”
The sea god gathered all the fish and asked if they knew of the hook.
A red fish came forward and opened its mouth.
The missing hook was inside!

*またたくうちに3年の月日が立ち、山幸彦は兄との約束を思い出す。
「そうだ釣り針を探しに来たんだ」 山幸彦は海の狼にことの経過を話すと、

「海の大神は『それでは』と言って、海の中に住むありとあらゆる魚を宮殿にお集めになりました。 ・・・・海の大神はおたずねになりました。
『おまえたちの中に、釣り針をうばった魚はいないか。わたしは釣り針をさがしている。私のさがしている釣り針は、これこれしかじかのものだ・・・』
海の大神のおたずねにたいして、集められた魚たちは、声をそろえて申しました。 『このごろ、鯛が『ノドに何かが刺さっていて物も食べられない』となげいております・・・・』
海の大神はすぐに鯛をおそばに呼び寄せました。
『口をあけよ』
海の大神は鯛の口を開けされ、中をおさぐりになりました。
するとそきには、魚たちが言うように、大きな釣り針が刺さっていたのです。
(橋本治さんの「古事記」より)

The sea god gave the hook and two balls to Yamasachi.
“These are speical balls. 
Use them when you are in trouble.”

其の綿津見大神(わたつみおおかみ)おしへていひしく
此の針を其の兄に給はむ時に言う状(さま)は
此の針は おぼ針(ち) すす針(ち) 貧針(まぢち) うる針(ち)と 云(の)りて 後手(うしろで)に賜(たま)へ

「・・・これこそがあたながご説明になりました、兄の命の釣り針です。これをあたたにお渡しいたしますが、この釣り針を兄の命にお返しになるときには、このようになさらなければなりません。すなわち『この針は、ぼんやり針、乱暴針、貧乏針、まぬけ針』ととなえられて、それから後ろ向きになってお渡しになるのです。そうしておけば、良いことが起こります。・・・略・・・あなたを攻めてくるようでしたら…そのときには、この二つの珠をお使いになるのです」
海の大神はそう言って、ホオリの命(山幸彦)に二つの球をお渡しします。・・・」
(橋本治さんの『古事記』より)

*「後ろ手」でわたす、ということは、
里中満智子さんのマンガ古典文学「古事記」には、「これは呪いの仕草です」というセリフが書かれている。
橋本治さんの「古事記」には、
「ここでは山幸彦が釣り針を呪う言葉を唱えて、釣り針を後ろ向きに手渡すことで、釣り針の魚を捕る力(サチ)を封じ込めてしまったのだろう」と書かれている。

*鯛の口で見つけた釣り針と、海の大神からもらった二つの球を持って、山幸彦は最速のサメに乗って陸地に戻っていく。
さて、なくした釣り針が戻ってきた海幸彦はどうするのか、それは次回に。

 

 

 

古事記を英語で読む22

Two Brothers 1

Amaterasu’s grandson Hikohono-ninigi came to rule the land below the sky , and had three sons.

The first son, Umisachi-biko, lived by the sea and caught fish.

As for the third son, Yamasachi-biko, he lived in the mountains and caught animals.
These brothers spent their days finding things to give to their father.

「コノハナサクヤヒメの産屋につけられた火が燃え上がったときにお生まれになったホデリの命は、海に入って様々な魚を取る、ウミサチビコとなりました。産屋の火がおさまるときにお生まれになったホオリの命は、山に入ってさまざまな獣を取る、ヤマサチビコです。ウミサチビコもヤマサチビコも、毎日父神ヒコホノニニギの命にささげる獲物を取りに海や山へ入っていかれました。(橋本治さんの『古事記』より)

One day, Yamasachi went to see his brother.
He said,
“Why don’t we switch tolls with each other? Then you can hunt in the mountains and I will hunt in the sea.”

Umisachi didn’t really like the idea but finally agreed.

「・・・『私達はいつも同じところを持ち場にして猟をしていますね。でも、どうです?たまにはお互いの道具を取り替えて、違うところで猟をしてみませんか?』
一度は海で魚を釣ってみたいと思っていた山幸彦はそう言ったのですが、兄の海幸彦は承知しませんでした。
山幸彦は同じことを三度も繰り返していったのですが、どうしても兄の海幸彦は承知しませんでした。ところがもう一度山幸彦が同じことを繰りかえすと、海幸彦も『しかたがない』と思ったのでしょう。『それならお互いの道具を交換してみよう』と言いました。そして海幸彦は弓と矢を持って山へ、山幸彦は釣り竿を釣り針を持って海へとでかけて行ったのです。」(橋本治さんの『古事記』より)

Yamasachi was very excited to try his brother’s fishing pole, but he couldn’t catch any fish.

「その日の日が暮れようとしました。しかし海へ行った山幸彦には一匹も魚がつれませんでした。そればかりか、なれない海へ出かけていった山幸彦には、兄の海幸彦から借りた大切な釣り針を海の中へなくしてしまったのです。(橋本治さんの『古事記』より)

When Umisachi found out, he became very angry. “I will not forgive you until you find it!” Yamasach was crying by the sea when a kind god appeared.

*釣り針が亡くなったことを知った海幸彦は、「釣り針を返すまでは許さない1」と怒る。弟の山幸彦は、おわびにと自分の剣を砕いて500本の釣り針を作って兄の海幸彦に持っていくが「いらない」といって受け取らない。山幸彦はさらに500本の釣り針を作って持っていくが、兄の海幸彦は『なくした本物の釣り針をもってこい』と受け取らなかった。
困った山幸彦は海辺で泣いていると、
そこへ現れたのは、海の潮の流れを司るシオツチノカミ。

The god put Yamasachion a boat and said,
“This boat will take you to the sea god. He will help you.”

「『(山幸彦がじじょうをせつめいすると)、私にはいい考えがある。というよりもわたしにもその釣り針がどこにあるかはわからないけれども、どうすればそれが見つかるかぐらいはわかるから、それをお教えしましょう』
・・・略・・・そういうと、シオツチノカミはいきなり小さな船を作りはじめました。・・・・シオツチノカミは山幸彦の乗った勝間の小舟をぐいっと沖の方へ押し出したのです。船は沖へとながれていきました。」(橋本治さんの『古事記』より)

*山幸彦の乗った船のめざすところは、そう「竜宮城」ですね。次回へ。