月齢早見盤2

 

これは「ものづくりハンドブック10」(仮説社)で紹介されている「立体月齢早見盤」。
前回は地球が中心にあったが、これは月が中心にある。
上の写真のゼムクリップから見た球体の黄色の部分がその時の月齢の月。
上の写真の黄色く光って見える月の左側にある楕円形に飛び出している紙が太陽。
太陽が写真のような位置にあると、クリップからのぞく月が三日月のように見えるという、大変面白い教材。
真ん中の月は、発泡スチロールの球体に半分は黄色、残り半分は黒に塗ってあるだけのもの。のぞく位置によって黄色と黒の境界線がカーブを描いて見える。本物の月もこのようになっているのか、と想像できてある意味リアルである。

月齢計算法

ネットでいろんな計算方法が紹介されているが、私が一番良くわかったのがこのホームページ。

http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0200.htm

ここで紹介されている方法を試してみよう。

◎6月15日正午の月齢を求める。

1.知りたい日(ここでは6月15日)の直前の新月の日時を調べる。
  私は科学館で買ってきた「こよみハンドブック」を利用した。
  そうすると、5月23日午前3時、ということがわかった。

2、直前の新月の日時(ここでは5月23日午前3時)からの経過日数を計算する。
  6月15日12時 ー 5月23日3時 = 23日と9時間 → `23.4

3,月齢は23.4  「こよみハンドブック」で確かめてみると 23.4

ネット情報や新聞で調べる月齢は、正午の月齢でない場合がある。
新聞では午後7時や9時を基準にしている場合もあるので、いつの時間かを調べておくことも大事だ。
私が参考にしたホームページには「月齢を表す時、どの時間を基準にするか」ということは決まっていないそうだ。だから同じ日なのに「調べた新聞やネットで月齢が違う」という現象が起きてくるわけだ。

これが月齢を求める基本の考え方。
何か計算式のようなものがないのだろうか? そう思うのも自然だと思う。

月齢を求める計算式 その1

 私の参考にしたポームページに、その計算方法が乗っている本が紹介されている。

「新こよみ便利帳」(恒星社厚生閣刊行)
 (図書館にあったが禁帯出の本。アマゾンで調べても古書でかなり高価な本なので買うことはやめた。)

次の式が紹介されているそうだ。

グレゴリオ暦でのある年月日の月齢は、日前後の違いを許容すれば簡単な式や表から求めることができる。
 ・・・中略・・・

(a) Y年M年D日の月齢A
1943≦Y≦1961なら C=(Y-1952)×11+M+D
1962≦Y≦1980なら C=(Y-1971)×11+M+D
1981≦Y≦1999なら C=(Y-1990)×11+M+D
で得られたCを30で割った余りがAである。ただし1月,2月の場合にはさらに2を加える。1943年以前,1999年以後について同様な式が得られることは明らかであろう。

そして、2020年にあうように計算式を変化させた数式が紹介されている。

2000年以降の式 C=((Y-2009)%19)×11+M+D  

これは19年周期(メトン周期)が利用されているようだ。
メトン周期とは「天文学事典」によると、

同じ月日に同じ月の位相が見られる周期として、紀元前433年にギリシャの数学者メトン(Meton)が発見した19年の周期。19 太陽年は365.242194 日 ✕ 19 = 6939.601686 日で、これが235 朔望月(29.530589 日 ✕ 235 = 6939.688415 日)とほぼ等しいことに由来する。・・・後略・・・・

http://astro-dic.jp/metonic-cycle-2/

一年の平均は365.242194 日。19年間の日数は 
365.242194 日 ✕ 19 = 6939.601686 日。

月の朔望月、新月から満月までの平均は29.530589 日。235回の朔望月は
29.530589 日 ✕ 235 = 6939.688415 日。

両者がほぼ一致する。つまり19年ごとに同じ月日に同じ月齢となるという。
たとえば自分の誕生日の月齢を覚えておくと、19年後の誕生日も同じ月齢だということに気づくわけだ。

上の式にある年号、1952,1971,1990,2009は19年周期になっている。ここからメトン周期に関係があることが予想できる。

しかし今から2500年ほど前の観測が現在にも生きているということはすごいことだ。そして自然は2500年間同じリズムで時を刻み、太陽と地球と月が動いてきたことに感動する。

さて月齢を導く計算式についてもう少し考えていこう。

 

 

月齢早見盤

科学館で買った「月と太陽 三球儀」。
月齢早見盤という名前はついていないが、そういってもいいだろう。組み立ててみると下の写真のようになる。

円盤の真ん中、日本列島が書かれているが、そこに私達が立っていると考える。
月の軌道は太陽から離れたところにあり、太陽ー地球ー月という配置になっている。
太陽光線は月の表面全体にあたっていて、地球から見る月全体が輝いて見える。これが満月の時。

月が動き、太陽光線があたっている面が輝いて、それが地球から見えるのだが、上の時は月の表面の半分が地球から見える。あとの半分には太陽光線があたっていないので地球からは見えない。半月の状態の時だ。

この時は、太陽ー月ー地球と並んでいるので、太陽光線があたっている月の面は地球から全く見えない。つまり新月のときだ。
言うまでもないが、この月齢早見盤の太陽は「ここに太陽がある」という意味で置かれているもので、実際の太陽は遥かに大きい。地球の直径の約109倍だから、太陽からの平行な太陽光線は月も地球もすっぽりと覆われる。
そんな説明が小学校の理科の時間にはあるのだろう。
それを踏まえた上でのこの教材はよくできている。

月齢とは?

月齢早見盤、と書いたが、そもそも「月齢」とは? ネットで検索してみると、次のような説明がある。

デジタル大辞泉
 朔(さく)(新月)の時を零として数えた日数。1朔望月(さくぼうげつ)(約29.5日)を周期として、月の満ち欠けの度合いを示す。満月はほぼ月齢14.8。
 生まれてから1年未満の乳児が育った月数

百科事典マイペディア
新月の時刻から数えて,ある日の正午までの時間を日数を単位にして表したものをいう。1朔望(さくぼう)月(約29.5日)で循環,月の位相の目安になるが,旧暦の日付とは必ずしも一致しない。大体月齢29.5/4=7.4日が上弦,29.5/2=14.8日が満月,29.5×(3/4)=22.1日が下弦

世界大百科事典第2版
月と太陽が同じ方向にきたとき(視黄経の一致したときで朔(さく)という)からの経過時間を,日を単位として表したもの。太陰暦では朔を含む日を月の初日(朔日)としたので,1.0~2.0日だけ暦日が先行する。朔から次の朔までの間隔はほぼ29.5日。月の運動には遅速があるため,最大0.6日程度の前後はあるが,上弦の月齢は7.4,満月(望(ぼう))は14.8,下弦は22.1。月齢を知れば,月の見かけの形や明るさがほぼきまり,また,月の出没の時刻や潮汐の状況についておおよその見当をつけることができる

大辞林第3版

新月の時を0.0として、次の新月までの経過時間を1日単位で表したもの。月の満ち欠けの度合を表す。満月はほぼ月齢14.8。

日本大百科全書(ニッポニカ)
ある時刻に対して、その時刻の直前におこった朔(さく)(太陽と月の視黄経とが一致した時刻)からその時刻までの経過時間を日の単位で表したもの。朔は月齢が0日のときにおこるが、上弦は7.4日付近、満月は14.8日付近、下弦は22.1日付近でおこる。月齢はだいたいの月の満ち欠けを知るために便利である。『理科年表』には、毎日中央標準時の正午における月齢が0.1日の桁(けた)まで記載されている。[関口直甫]
なんともたくさんの解説がある。
それでは国立天文台の解説を見てみよう。
月齢とは,朔(新月) の瞬間から数えた経過日数のことである.朔の瞬間に0.0,そこから1日たつごとに1.0,2.0と増えてゆき,次の朔の瞬間にふたたび0.0に戻る.月齢の単位は「日」であるが,明らかであるので省略されることも多い.月齢は任意の時刻について定義でき,本書に掲載されている正午月齢は,その日の正午における月齢,すなわち直前の朔からその日の正午までに何日経過したかを小数第一位まで示している.https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2017_1.html


理科年表
を見てみよう。
月齢とは 月齢とは、直前の朔(新月)の瞬間を “ 0 ” として、そこからの経過日数をあらわした数値です。
  理科年表には、その日の正午における月齢が「正午月齢」として掲載されています。  月齢の計算ですが、たとえば、ある月の 1 日正午がちょうど朔であれば、その日の正午月齢は “ 0.0 ”、 2 日の正午月齢は朔から丸 1 日経過していますので “ 1.0 ”、さらに、月齢は 1 日に 1 ずつ増加して、 3 日、 4 日、 5 日、・・・の正午月齢は “ 2.0 ”、 “ 3.0 ”、 “ 4.0 ”、・・・となり、次の朔になったときに再び “ 0 ” から数え始めます。https://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/koyomi/koyomi_008.html

小学校で習ったはずの(中学校だったかな?)の月齢、少し勉強してみよう。