古事記を英語で読む15

アサイド

因幡の白兎 3

The Rabbit followed Okuni-nushi’s advice, and soon his soft white fur started to grow again!

The Rabbit was thankful and said,

“None of your brothers will marry Yakami-hime. You will.”

*thankful: 感謝して

教への如(ごと)為しかば
其の身 本(もと)の如(ごと)くになりき 
此れ稲毛の素菟(いなばのしろうさぎ)なり
故(かれ)其の菟 大穴牟遅神(おほなむちのかみ)に白(まを)さく
此の八十神(やそがみ)は必ず八上比売(やがみひめ)を得じ
袋(ふくろ)を負(お)へども汝命(なみこと)ぞ穫(え)む

橋本治さんの「古事記」では次のようになっている。
「あなたのご兄弟の神々は、けっしてヤカミヒメと結婚することはできないでしょう。いまあなたは、召使いのように大きな荷物の入った袋を背負っておいでですが、ヤカミヒメとご結婚できるのは、あなたなのですよ」

Okuni-nushi was very surprised, but the Rabbit’s words came true.

ThIs Rabbit was actually a special servant of Yakami-hime.

橋本治さんの「古事記」では、

「このうさぎは『因幡の白うさぎ』といって、じつはヤカミヒメのご用をはたすうさぎでもでもあったのです。今の世にウサギ神といわれているのは、このうさぎのことなのです」
と書かれている。

八十神であるオオクニヌシの兄弟たちは、ヤカミヒメに会って結婚を申し込むが、、、、

是(ここ)に 八上比瑪売(やかみひめ) 八十神(やそがみ)に答へけらく
吾(あ)は汝等(いましたち)の言(こと)は聞かじ 大穴牟遅神(おおなむちのかみ)に嫁(あ)はむ

橋本治さんの「古事記」では、
「ヤカミヒメの住む因幡の御殿では、オオアナムヂの神の兄弟の神々を前にして、ヤカミヒメがこういっていました。
『わたしは、あなた方の言うことには従いたくありません。わたしは、オオアナムヂの神の妻になるつもりです。』」

The brothers of Okuni-nushi were very angry that he married Yakami-hime.
They made a lot of trouble for Okuni-nushi, but in the end he became the leader of Izumo.

さて、a lot of trouble とはどんなことだろう?

古事記の原文では、さきほどの八上姫の言葉の後にこう続く。
「故(かれ)爾(ここ)に 八十神怒りて 大穴牟遅神を殺さむと欲(おも)ひて
共に議(はかり)りて・・・・」

と兄弟での殺人を計画する。なんとおそろしいことを・・・・

イノシシを捕まえろと、山の上から真っ赤に焼けた石を転がして抱きつかせて、焼き殺そうとしたり、真っ二つに切った大木の幹に挟んで殺そうとした。
オオクニヌシは他の神々に助けられ、最後はスサノオが住んでいる根之堅州国(ねのかたすくに)に身を寄せる。


スサノオの娘である須勢理姫(すせりひめ)と愛し合うようになったオオクニヌシは、スサノオのが繰り出す試練を乗り越えて、二人は根之堅州国から出る。
このときスサノオはオオクニヌシに、左の里中満智子さんのマンガのように、国造りを命じる。

このあとの様子は、橋本治さんの「古事記」によると、

「生大刀と生弓矢を持ったオオクニヌシの神は、スサノオの命のいったように、彼を殺そうとした兄弟の神を、山のふもとにまで追い、川の流れにまで追いつめて、これを家来としてしたがえてしまったのです。オオクニヌシの神は、八十柱の兄弟の神々の一番上に立つ神となりました。もう兄弟の神々のうちには、オオクニヌシの神にさからおうとする者はありません。」とある。これが、

They made a lot of trouble for Okuni-nushi, but in the end he became the leader of Izumo.

のことなのである。
さて、このようにして栄える国となってきた出雲の国。このことを別の考えで見ていたのがアマテラス。さてそれがどんなことなのか、、次回へ。

 

 

 

古事記を英語で読む14

因幡の白兎 2

The rabbit followed their advice. The combination of ocean water, wind and sun was terrible. 
It hurt the rabbit even more.
The rabbit could not stop crying.

橋本治さんの「古事記」によると、

「海の水は皮をむかれてむき出しになってしまった体にピリピリとしみましてた。・・・がまんして体じゅうに塩水をかけました。そして風当たりの良い崖の上にのぼったのです。・・・心地よく吹いていたはずの風が、みょうに強く感じられました。肌がピリピリします。風が吹くたびに肌はひきつるように乾いて、そこに太陽の光はつきさすように照りつけます。・・・うさぎの体は全身にひび割れができて、流れていた血がおそろしいような模様を作って固まっていました。うさぎは、こわくて、ワーワー泣きました。」

Just then, Okuni-nushi arrived at the beach.
He heard the rabbit crying and asked.
”What happened to you?”
The Rabbit answered.
”I live on one of the islands near by and I wanted to cross the sea.
I told some sharks that I was going to count how many there were.
So I asked them to get in a single line.
But it was a lie.
I was just using their backs to get here.
The only mistake I made was telling them about the lie before reaching the beach.
The sharks got really angry with me and pulled off all my fur.
It was terrible!
Then your brothers came and gave me some bad advice, and it hurts even more now !”
*fur; (ウサギなどの柔らかい毛の)毛皮

故(かれ)海の「鰐(わに)」を欺きて 言いけらく
吾と汝と族(うから)の多き少きを競べ(くらべ)計(かぞ)へてむ

故(かれ) 汝(いまし)は其の族(うから)の在(あ)りの随(まにま)に 悉(ことごとく)率と来て 此の島より気多(けた)の前(さき)まで 皆列み伏し 度(わた)れ

爾(ここ)に吾其の上を踏みて 走りつつ読み随(わた)りてむ 

是(ここ)に吾が族(うから)といずれか多きを知らむ

如此(かく)言ひしかば 欺(あざむ)かへて 列(な)み伏せる時、吾其の上を踏みて読み渡り来て 今地(つち)に下(お)りむとする時に
吾云(い)ひけらく 汝は我に欺(あざむ)かつつ 言ひ竟(お)はる即(すなわ)ち 最端(いやはし)に伏せる鰐(わに) 我を捕(とら)へて 悉(ことごと)に我が衣服(きもの)はを剥(は)ぎき
此(こ)れに因(よ)りて泣き憂ひしかば 先に行(い)でし 八十神の命(やそがみのみこと)以(も)ちて 海塩(うしお)を浴(あ)みて 風に当(あた)り 伏してよ とをしへ告(の)りき
故(かれ)教への如(ごと)為しかば 我が身悉(ことごと)に傷(こそな)へつ

*この部分はよくしっている話なので、マンガと古事記の原文を見比べてみていくとわかる部分だと思う。

Okuni-nushi felt sorry for the Rabbit.
He said, “Wash your body with fresh water.
Then sleep on a bed of these fluffy plants.”

*fluffy; ふわふわした

橋本治さんの「古事記」では、
「いいか、この浜の先には河が流れ込んでいる水門(みなと)がある。・・・そこへ行って、海に流れ込む前の真水につかり、体を洗いなさい。それからその水門のあたりの岸辺には蒲(がま)がはえているから、その草の先に茶色の穂をつけているものをたくさん集めて、その上にねころがっておいで。・・・・」と書かれている。

ここで登場する「鰐(わに)」は、爬虫類のワニではなくて、サメのことだと解釈されている。出雲の方言で「サメ・フカ」のことを「わに」と言うと、こうの史代さんは注をつけている。
またウサギが転がった蒲(がま)は、「がま科の多年草。水辺にはえ、高さは2メートルほど。葉は細長く1メ−トルにもある。黄色い花粉を止血に用いたとされる」と橋本治さんは注を付けられている。
里中満智子さんのマンガにあるのが蒲の穂。その中には黄色い綿状のものがはいっている。漢方につかわれたり、火打ち石のほくちとして使われたこともあるそうだ。

さてオオクニヌシに治療法をを教わった白うさぎは・・・・次回へ

 

 

古事記を英語で読む12

八俣の大蛇3

Suddenly, the sky grew dark, and lightning flashe across the sky.
A strong wind blew, and the ground shook.
In the darkness, 16 red eyes shone brightly, and the Yamatano-orochi appeared. The snake smelled the sake and rushed to the bowls.
All the heads started  to drink.
After a while , the sound of drinking turned into snoring. The snake was asleep.

*snore; いびきをかく,asleep; (形容詞)眠っている

「其の八俣のをろち 信(まことに)言ひしが如(ごと)来(き)つ
 乃ち(すなわち)船毎に(ふねごとに)己が頭を垂れ入れて 其の酒を飲みき
 是に(ここに)飲み酔いて 留まりて 伏し寝ねたり・・・」

原文ではこれだけの表記だが、英文や橋本治さんの古事記には、いろいろな表現を付け加えて描写している。とにかく酔わせて眠ったところを攻撃しようという作戦どおりにことは進んだということだろう。

“The time has come!” Susano-o took out his sword and quietly walked toward the snake.
He cut off the heads one by one.
Some of the heads tried to fight back, but they were too drunk to fight.
The blood from the snake flowed into the river, and the river became bright red.
While he was cutting up the snake, he found a beautiful sword inside one of the tails.

*The time has come;  Spring has come のhas と同じで現在完了形、今この時が来た、という感じだと思う。

原文の描写はここも簡潔だ。

「爾に(ここに)速須佐之男命 其の御佩(みは)かせる十拳剣(とつかのつるぎ)を抜きて 其のをろちを切り 散(はふ)りしかば 肥河(ひのかわ) 血と変(な)りて流れき 故(かれ)其の中の尾を切りし時に 御刀(みはかし)の刄かけき 爾にあやし と思ほひて 御刀の前(さき)以て刺し 割(さ)きて見れば 都牟刈(つむがり)の太刀(たち)在りき・・・」

ここでスサノオが使った十拳剣。Enjoy Simple English では説明が省かれているが、スサノオの剣はアマテラスが神を生み出すときに折って噛み砕いているはず。
神話だから矛盾はあっても不思議ではないのだが、後世の人はその解釈に苦しむ。

里中満智子さんのまんがでは、
「須佐之男が所持していた『十拳剣』は固有名詞ではなく、『10本分の拳(こぶし)の長さのツカがある剣」という意味で、伊邪那岐神(いざなきのかみ)も十拳剣を持っていましたし、その他多くの人が十拳剣を用いていたと古事記には記されています」と説明されている。
こうの史代さんは、クシナダヒメの父親アシナヅチがもっていた十拳剣を拝借したのではないかと説明されている。

Susano-o gave it to his sister, the sun goddess, Amaterasu.

橋本治さんの古事記によると
「・・・その大刀は、とても当たり前の剣とは思われませんでした。そこで『これならば天照大神も喜んでお受け取りになるだろう』と思われたスサノオの命は、その大刀が八俣の大蛇の尾の中から生まれ出たといういきさつをご報告になって、その不思議な大刀を天照大神へとさしあげられたのです。この大刀こそが、いまに大和の朝廷につたわる草薙の剣(くさなぎのつるぎ)なのです」

Susano-o married Kushinada-hime, built a palace and they lived in Izumo.

・・・・・・・・・
こうしてスサノオの八俣の大蛇退治がおわり、クシナダヒメと結婚をし、出雲の国での国造りがはじまる。

5月は「因幡の白兎」「天孫降臨」「ふたりの名前」「海幸彦と山幸彦」。