古事記を英語で読む11

八俣の大蛇2

Susano-o heard this and said, “I will kill it for you! But give me your daughter for my wife.”

Ashinazuch agreed.
He would do anything to save Kushinada-hime’s life.

爾(ここ)に速須佐之男命(はやすさのおのみこと) 其の老夫(おきな)に詔(の)りて 是(こ)の汝(いまし)の女(むすめ)は 吾(あれ)に奉らんや

橋本治さんの「古事記」はこう訳している。
「ところで、わたしがその大蛇をたをしたら、おまえはこの娘をわたしにくれるだろうか?」

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ここのところはEnjoy Simple English では簡単に書いてあるが、もう少し二人のやり取りがある。クシナダヒメの父親のアシナヅチは、そういわれても名前もわかなない人なのに、と言葉を濁す。
スサノオは自分をアマテラスの弟だと伝えると、アシナヅチは「なんともおそれおおいことです。なにも知らずに失礼を申し上げました。そういう立派なお方でしたら、もちろん娘はさしあげたいと思います」(橋本治訳「古事記」)と答える。

クシナダヒメの意見も気持ちも全く関係なくことはすすむ。
おまけに、古事記には「わたしが大蛇をたおしたら」という条件も書かれていないように私は思える。
このあとスサノオがヤマタノオロチと戦う準備をすすめるので、言外にその意味が含まれていると解釈するのかもしれない。

Susano-o got ready to fight the Yamatano-prochi.
He asked Ashinazuchi to prepare lots of very strong sake.
Then Susano-o made a fence with eight entrances.
He placed a bowl with the strong sake at each of the entrances. Susano-o planned to make the snake drunk and then kill it.
When it was time, Susano-o hid the family in a safe place.

ここはヤマタノオロチをむかえるための準備て、有名でよく知らているところ。
橋本治さんの「古事記」には次のようにか枯れている。
「おまえたちは、酒を作れ、強い酒でなければならない。一度や二度絞っただけではなりない。一口飲めばすぐに酔いが回ってしまうように、同じ酒を八度しぼって強い酒にするのだ。・・・このあたりに垣根を張り巡らすのだ。がんじょうな垣根を作れよ。その垣根には8つの門を開けるのだ。大蛇の首の数だけの門をあけたら、その内側に台を作れ。その台の上に、酒を入れる大きな器をのせるのだ。その中に八度絞った強い酒を入れて、それがすんだらおまえたちはかくれておくれ。」
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英文と橋本治さんの「古事記」と違うところがある。
強い酒を作るように頼むところは同じ、しかしそのあとの「垣根を張り巡らしたり、門を8つ作ったり、酒を入れる器や台を作ったりして準備した」のは、だれ?
Enjoy Simple English ではスサノオが率先してやっているように思える。
橋本治さんの「古事記」では、スサノオはアシナヅチ夫婦に作るように命令している。

里中満智子さんのマンガ古典文学「古事記」では、左の絵のようにヤマタノオロチをやっつける作戦を説明しているような記述になっている。
絵で垣根を作っている場面も描かれているが、村人のような感じで、スサノオを姿ではない。

古事記の原文は、
「其の足名椎(アシナヅチ)、手名椎(テナヅチ)の神に告(の)りしく
汝等は八塩折(やしおり)の酒を醸(か)み 亦(また)垣を作り迴(もとほ)し 其の垣に八つの門を作り 角毎(かどごと)に八つのさずき(注 供え物を置く棚)を結い 其のさずき毎に酒船を置きて 船毎(ふねごと)に其の八塩折の酒を盛りて待て・・」
とあり、どうも命令だけをしているように思える。

さて神話、ということでファンタジックな場面もある。
それが里中満智子さんのマンガにある、「クシナダヒメを櫛に姿を変えて、自分の頭に刺して守ろう」とするところ。

「乃ち(すなわち)其の童女(おとめ)を湯津爪櫛(ゆつつまぐし)に取り成(な)して 御みづらに刺して・・・」

巨大な大蛇−ヤマタノオロチに立ち向かうために知恵を使う、というスサノオは、大自然に立ち向かう人間のようでもある。
ヤマタノオロチとの戦いは次回に。