奥の細道英語で5(裏見の滝)

4月2日に二人は「裏見の滝(うらみのたき)」を見に行っている。
芭蕉の書いた「奥の細道」には、その日付が書かれていないが、同行した曽良の日記には
「4月2日快晴、午前8時ごろ宿を出て、裏見の滝、含満ヶ淵(がんまんがふち)などを見て回った」
と書かれている(橋本治著「おくのほそ道」より)のでそれがわかる。

We climbed further up the mountains to the famous waterfall.
Monks gathered in this sacred place to do their trainig.
I felt a little nervous to walk in this place.
The water fell from the rocks, 30 meters above.
So much water flew into tha air and into the river below.
From a small space in the rocks, I saw the waterfall from behind.
It was noisy and water was everywhere.
In fact, real monks spend three months here during the summer, cleaning their bodies and minds with this special waterfall.
We only did a very short version of the training.
I know it’s not enough, but it was a good experience.
          Under the water
                  Flowing from a place above
                         Summer has begun.

*waterfall; 滝
*sacred; 神聖な
*nervous; 少々怖がって、びくびくして
*short version; 縮約版
*from a place above; 高いところから

「奥の細道」のこのあたりの原文は次の通り。

廿余丁(にじゅうよちょう)山を登つて滝有(たきあり)。
岩洞(がんどう)の頂(いただき)より飛流(ひりゅう)して百尺、千岩(せんがん)の碧潭(へきたんー滝壺のこと)に落(おち)たり。
岩窟(がんくつ)に身をひそめて入(いり)て、滝の裏よりみれば、うらみの滝と申伝え侍る也(もうしつたえはべるなり)。

     暫時(しばらく)は
        滝に籠(こも)るや 夏(げ)の初(はじめ)

これだけである。
英文にある僧たちの修行のことは書かれていない。

「えんぴつで奥の細道」の解説には次のように書かれている。

「(この句の)夏は、『夏行(げぎょう)』のことで、陰暦4月16日から90日間(*英文のthree months はここから来ていると思う)水垢離(みずごり)などをする僧侶の行のこと。「裏見の滝」を見物しながら飛沫をかぶって、まるで修行をしているような気分になったが、そういえば今日は4月2日。そろそろ夏行の始まる季節だった」という意味」
*20丁余り:1丁は約109メ−トルだから、約2000メ−トルほど歩いた。
*「裏見の滝」は、日光から西へ6キロメートルほどの場所にあるそうだ。
*「百尺」;およそ30メートル、滝の高さが約30メートルあったという。

長谷川櫂著「『奥の細道』をよむ」(ちくま新書)には、
「夏を迎える手はじめに、しばしの間、滝にこもったというのだ。「暫時は滝に籠るや」と「夏の初」の取り合わせだが、どちらも現実のことで古池型の句ではない。日光参拝とこの滝ごもりは、旅の禊の頂点にあたる」とある。

短い言葉に、たくさんの歴史と背景が読み込まれているのが「奥の細道」、紀行文におわらず、文学として評価されるのがここにあるのかもしれない。