南総里見八犬伝を英語で3

上の写真は、「八犬伝錦絵大全ー国芳・三代豊国・芳年描く江戸のヒーロー 監修・著 服部 仁」(芸艸堂)より。(鉄砲を持った大輔、伏姫と八房など)

One year later, Yoshizane was in the mountain looking for Fuse-hime.
Then, he heard two shots.
Yoshizane ran toward the sound and found a young samurai.

「南総里見八犬伝」の現代語の本にはいくつもの種類があって、バリエーションも多い。私は原文を読み下す力もないので、ここでは「栗本薫の里見八犬伝」をもとに内容を紹介したい。

伏姫が八房とともに姿を消して、一番ショックの大きかったのは母の五十子(いさらこ)だった。嘆き暮らし、泣き暮らし、明日をも知れぬ重病になってしまった。
義実はごくわずかの部下を連れて伏姫を探しに山にのぼる。
そこで聞いた銃声二発。
銃を撃ったのは金碗大輔(かなまりだいすけ)だった。大輔は義実がゆくゆくは伏姫の夫にと考えていた若者。そして義実に玉梓の処刑をすすめた金碗八郎の息子であった。

Yoshizane; Is that you, Daisuke?

Narration; Daisuke had been Fuse-hime’s fiance.

Daisuke; I shot the dog,but the bullet hit Fuse-hime, too.
I must kill myself.

Yoshizane; Look, Daisuke! She’s still breathing!

Narration; Fuse-hime opened her eyes.

Fuse-hime ; Father, even if I die, my spirit will always protect the Satomi Family.

Narration; With that, Fuse-hime took her last breath.
Then her necklace broke apart and the eight crystal balls flew away in eight directions.

玉梓の処刑を進言した金碗八郎の息子大介に伏姫は撃ち殺されてしまう。これも玉梓の呪いか、と考える義実。

伏姫の数珠(ここではネックレス)は、水晶からなっている。そのうち8つの大きな水晶にはあの「仁義礼智忠信孝悌」が一字ずつ刻まれている。その大きな水晶が飛び散っていく場面はとても印象的で、わたしの頭の中でもイメージとして残っている。

「栗本薫の里見八犬伝」では、次のように書かれている。

「伏姫の胸にかけていた数珠がとつぜん飛び散って八つの文字を浮かべた水晶の玉は、まるで白い何かの霧のかたまりにでもつつまれたように八つのべつべつの方向に空中高く飛び去りーそのようすはまるで、伏姫の胎内から生まれ出た八つのかたまりが、八つの方向へ飛び散ったかのように見えたのだ。」

ちょうどその時、五十子が亡くなったという知らせが入る。
「いったいどのような因縁がこんなにも数奇な縁を私にもたらしたのだ」と打ちひしがれる直実。直実は伏姫を手厚く葬り、観音堂を建て伏姫の菩提をとむらう。八房もねんごろにとむらい、人々は「犬塚」と呼ぶようになった。
伏姫を撃った大輔は、出家しゝ大坊(ちゅだいぼう)と名乗り、伏姫や八房、また五十子たちの菩提をとむらうための長い旅にでかけた。
その旅が八つの水晶玉を探す旅、八犬士を探す旅となり、里見家再興の物語となっていく。