Sansho-dayu 山椒大夫8

Zushio was shocked when he heard that Anju threw herself into a pond to kill  herself.
He thought it was the end of his life, too.
However, he kept running.
When he finally reached the city, he stayed in a temple.

*ここは森鴎外の作品と違っている。
森鴎外の「山椒大夫」では、厨子王は中山の国分寺に逃げ込み、そこで匿われる。翌日、様子を見に行った国分寺の人たは安寿が身を投げたことを聞いてくる。中二日おいて曇猛律師(どんみょうりっし)の頭を丸えめて僧形になった厨子王は京に向けて旅立つ。曇猛律師と別れた厨子王は清水寺に泊まる。そこで新たな人との出会いがある。

One morning, Zushiio met an important looking old man.
“My name is Morozane, and I’m a minister.
I think you have something very important.
Isn’t that true?”
“How do you know that?”
“I’m here to pray for my very sick daughter.
Last night, I had a message in a dream.
It said there is a boy in this temple and he has a very powerrful Buddhist statue.
I was told my daughter should pray to it.
Please tell me who you are and please lend me your statue.”

あくる朝目がさめると、直衣のうし烏帽子えぼしを着て指貫さしぬきをはいた老人が、枕もとに立っていて言った。「お前は誰の子じゃ。何か大切な物を持っているなら、どうぞおれに見せてくれい。おれは娘の病気の平癒へいゆを祈るために、ゆうべここに参籠さんろうした。すると夢にお告げがあった。左の格子こうしに寝ているわらわがよい守本尊を持っている。それを借りて拝ませいということじゃ。けさ左の格子に来てみれば、お前がいる。どうぞおれに身の上を明かして、守本尊を貸してくれい。おれは関白師実もろざねじゃ」
 

Zushio told the minister about his parents、and the life he and his sister had lived with Sansho-dayu.

厨子王は言った。「わたくしは陸奥掾正氏むつのじょうまさうじというものの子でございます。父は十二年前に筑紫の安楽寺へ往ったきり、帰らぬそうでございます。母はその年に生まれたわたくしと、三つになる姉とを連れて、岩代の信夫郡しのぶごおりに住むことになりました。そのうちわたくしが大ぶ大きくなったので、姉とわたくしとを連れて、父を尋ねに旅立ちました。越後まで出ますと、恐ろしい人買いに取られて、母は佐渡へ、姉とわたくしとは丹後の由良へ売られました。姉は由良で亡くなりました。わたくしの持っている守本尊はこの地蔵様でございます」こう言って守本尊を出して見せた。

 

Morozane felt very sorry fo Zushio.

Later, Morozzne took him home.

And as soon as the daughter saw the statue, she got well right away.

 

「これはかねて聞きおよんだ、尊い放光王地蔵菩薩ほうこうおうじぞうぼさつ金像こんぞうじゃ。百済国くだらのくにから渡ったのを、高見王が持仏にしておいでなされた。これを持ち伝えておるからは、お前の家柄にまぎれはない。仙洞せんとうがまだ御位みくらいにおらせられた永保えいほうの初めに、国守の違格いきゃくに連座して、筑紫へ左遷せられた平正氏たいらのまさうじが嫡子に相違あるまい。もし還俗げんぞくの望みがあるなら、追っては受領ずりょうの御沙汰もあろう。まず当分はおれの家の客にする。おれと一しょにやかたへ来い」
・・・・・略・・・・・:
関白師実の娘といったのは、仙洞にかしずいている養女で、実は妻のめいである。このきさきは久しい間病気でいられたのに、厨子王の守本尊を借りて拝むと、すぐにぬぐうように本復ほんぷくせられた。

*森鴎外の「山椒大夫」では、厨子王は僧形になり曇猛律師(どんみょうりっし)に連れられて京にやってくる。そこで関白太政大臣の藤原師実に出会う。そして師実の娘の病気回復に厨子王のもっていた地蔵菩薩が役立つ。
 他の本を見ると、私の見た本ではどれも、寺の法師が厨子王を京へ導いている。
(吉田修一作『アンジュと頭獅王』では、後半は創作の幅が広がり、なんと800年かけて東京にやってきている。)
関白師実に助けられるというのは、吉田修一作の「アンジュと頭獅王」以外は同じだった。娘の病気回復のために地蔵菩薩が役に立ったというのは、森鴎外の「山椒大夫」だけであった。

さて、いよいよ物語は最終段階にはいってくる。