消えた三角点

三角点を探る旅50


ここは以前にこのブログで紹介した堺市立の小学校の校庭にある四等三角点。

この写真は2018年の5月に撮影したもの。
国土地理院の標識もたっていて、さすが学校の中にある三角点だと取材した。

2018年6月18日に大阪北部地震が起き、高槻の小学生が学校の塀が倒れて犠牲になる事件が起きた。
そのあと大阪の小学校では学校の塀の見直しがおき、塀の状態を調べることが進められた。
堺市でも小学校のブロック塀の取り壊しと建て替え工事が始まった。この小学校でも、ブロック塀の撤去工事が始まったのは2019年の2月頃だった。

 

この写真は2019年3月1日のもの。
ブロック塀は完全に撤去されていて、工事が進んでいる。
三角点は以前の位置にあり、三角点を示す標識も残っていた。

三角点の周りは整地されるようだが、三角点そのものはフェンス建て替えの工事とは関係がないから、このまま残っていくのだろうと思っていた。
国土地理院のホームページに三角点の説明には以下のようなものがあった。

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災害復旧
基準点の位置は、地震などにより大きく変動する場合があります。変動した基準点の位置を改定する場合、再測量による方法がもっとも精度の高い方法ですが、大規模地震ともなれば膨大な時間と費用が必要となります。
地震後に三角点の測量を行い、地震前の値と比較することにより、その三角点の変動量が分かります。こうして得られた変動量を元にその周辺の変動量を見積もることができます。東北地方太平洋沖地震の際には、地震の影響を受けた三角点のうち、約1,200点について再測量を行いました。
得られた結果から座標補正パラメータを作成し、約4万点の三角点の位置を再計算したほか、このパラメータを一般に公開しました。このパラメータを使用して補正計算を行えば、基準点だけでなく、三角点と関連づけて位置が求められている点のほとんどを改定することができます。

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写真は2019年9月1日のもの。
ブロック塀は金網状のフェンスに変わっていた。
三角点は影も形もなかった。
そばに寄って上から見てみると、掘り返したような跡が残っていた(と私には見えた。)
工事のために三角点を移動する、ということもあるらしいので、運動場をざっと見渡したがそれらしいものや表示は見えなかった。
三角点というのはかなり大きなもので、一等三角点は長さ80センチぐらいで重さも数十キログラムあるそうだ。四等三角点だからそこまで大きくはないとしても、これを掘り出すだけでも大変だったと思うし、わざわざ掘り出さなくてもいいのに、と思う。
以前に池の改修工事で三角点が見つけられなかったこともあった。ディズニーシーの傍にあったはずの三角点も公園の改修工事で消えてしまった。
改良工事や改修というなかで消えていく三角点は多いのだろう。
最近は三角点による地図作成よりも、GPSによる測量のほうが精度が高いという記事を見ることもある。
いろいろな理由があるのだろうが、残念なことだなあと私は思う。