グワダルキビール川にかかるローマ橋
グラナダからゴルドバまで約3時間のバス旅。 途中のドライブインで休憩。かつては駅舎だったようで、お土産物も売っていた。 そこでガイドさんに頼んで、地元の人がいつも飲んでいるコーヒーを注文した。
私好みの熱さで、コーヒーの香りも味もこれまでスペインで飲んだコーヒーで一番だった。やっぱり現地の名物は現地で味わうのが最高ということだ。
バス旅の途中で、松本侑子さんから原作「カルメン」とオペラ版「カルメン」の違いについての講義を聞く。
その講義の内容にもふれながら、まずゴルドバ ー世界遺産都市「コルドバ歴史地区」からはじめよう。
コルドバは「カルメン」の原作本に登場する街。
この橋は「ローマ橋」、旧市街地に入るために渡る橋。
橋の向うにメスキータが見える。
川はグワダルキビール川という。イスラムが支配していた時に街の守りをしていた「カラオラの塔」の前で松本侑子さんの説明を聞く。
「カルメン」の原作は、「私」という考古学者が「ドン・ホセ」から「カルメン」の話を聞いたことがもとになって本になっている「額縁小説・枠物語」である、と松本侑子さんの説明。
その考古学者である「私」が「カルメン」に出会ったのがこのローマ橋。原作本から引用してみよう。
***********
コルドヴァでは、日の暮れ方になると、グアダルキヴィル川i右岸に沿ったどての上に無数の閑人が現れる。このどての上から、製革業で名高かったこの国の昔の名声を未だにとどめているなめし革工場の発散する異臭をかぐのであるが、その代わり、はなはだ見物がいのある光景を楽しむこともできる。夕暮れの鐘の鳴りわたる数分前、大勢の婦人がどての下の水際に集合する。・・・・鐘が鳴り渡るが早いか、夜になったものとみなされる。最後の鐘の響きが消えると、婦人たちは一人残らず、着物をぬいで、水の中に入るのである。それから叫ぶ、笑う、たいへんな騒ぎである。どての上から男どもはゆあみする女たちを眺める。・・・・・・
ある夕方、はやものの形も見えない頃、川岸の手すりによりかかって煙草を吹かしていると、一人の女が水際に降りるはしごをのぼって来て、わたしのそばに腰をおろした。女は髪にジャスミンの大きな花束をさしていたが、この花は、夕闇の漂う頃になると、むせるような香を放つ花である。・・・・・
**************************
上の写真の白い花がジャスミン。アルハンブラ宮殿の庭に咲いていたもので、松本侑子さんの指摘で写真をとっていたことがここで役に立った。
コルドバが製革業で有名であったこと、カルメンが髪にさしていたのはジャスミンの花だったことはあとに関係するので、覚えておこう。
グワダルキビール川は約100km先の大西洋に流れ込んでいる。セビーリアの街は川を遡ってくる新大陸から運び込まれた膨大な品々によって大いに発展したという。
橋の上は、観光客目あてのパフォーマンス、アコーディオン演奏などの、いわゆる大道芸で賑わっていた。
さて、橋の岸にある城門をくぐって、世界遺産「メスキータ」のある旧市街地に入る。
城門をくぐるとイスラム風の彫刻をほどこした建築物が目に入る。 街路樹が整然と植えられていて、その緑は、地中海に居るのだなあとあらためて思わせる。
街路樹には実がなっている。えっ、これはミカン? いいえ、地中海といえば、そう、オレンジの実がなっているのだ。
まだ色づいたばかりだが、もう少し日が経つとそれこそオレンジ色に輝くのだろうな。ただこの実は甘い種類のオレンジではなく、ジャムなどに使われているという。
街路樹の実といえば、御堂筋の銀杏、そろそろイチョウの葉も黄色に色づく頃かなと思いながら、メスキータに向かう。