冬の満月の高度は高い

1月5日の朝日。

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この日は満月だった。

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朝日と満月、どちらもiPhoneで撮った写真。

左の月の出の写真の真中付近に白く光っているところが、上の写真の道路の奥になる。
日の出と月の出の場所が大きく違っている。
実は太陽と月の出没地点はほぼ正反対の動きをする。

 

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冬の満月の特徴は、その高度が高いことにある。
冷えきった冬空高くに満月が輝いている。

冬の中天高く輝く満月が、どうして中秋の名月のように話題にならないのか、その理由の一つに昔の住居の事情にあるそうだ。
縁側に座り、軒や庭の向こうにある塀越しに見える、9月の満月が適度な高さにあるからだと言われている。
これよりも高過ぎると、家の軒に邪魔されて月が見えない、低すぎると塀に邪魔されて見えないというわけ。

ではどうして冬の満月の高度が高いのだろう。 

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この図は地球から満月が見える位置を、極端に誇張して書いた図。 太陽と地球の距離はもっと離れているし、太陽、地球、月の大きさも全くでたらめ。 でも、地球から満月が見える説明には使える。太陽ー地球ー月と並んだ時、地球の夜の空に満月が見える。
上の図の左が夏、北極や北半球にたっぷり太陽の熱や光が注ぎ込む。
右は冬。北極は白夜になる事がわかるだろう。
正確には月の地球を周る公転面は、地球の太陽を回る公転面に5度ぐらいの傾きがあるが、この説明の場合はほぼ一緒とみなしても良いので、図のように一直線上に並べて書いてある。
赤で日本の位置を書いてあるが、夏には太陽が真上近くにあり、冬は夏に比べて低いところに太陽があるのがイメージできると思う。この図では地球軸の傾きが分かるように書いたが、人間の立場から見た図として、回転軸がまっすぐになるように傾けて見よう。

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こうしてみると、夏の太陽が高くにあり、冬の太陽が低い位置にあることがさらにイメージしやすいと思う。

さて、月の高度に戻って考えてみよう。
満月は、太陽ー地球ー月と一兆戦に並んだ時に起こる現象。
つまり、太陽と月は地球を挟んで正反対の方向にある。

与謝蕪村の名句
  菜の花や月は東に日は西に

にあるように、満月の時は日没と同時に月が昇ってくる。
満月は太陽の光を全面に反射しているからだ。

ということは、太陽の高度が高い季節の満月の高度は低く、逆に太陽の高度が低い季節は満月の高度が高いということが分かるだろう。
つまり、冬の満月の高度が高いのは、太陽の高度が低いからなのだ。
日の出と満月の月の出を見ることができたので、日頃から疑問に思っていたことを考えることができた。

 

近日点通過

2015年15時19分:地球が近日点通過(0.9832774天文単位、1億4710万km)
(国立天文台暦計算室のホームページより)IMG_20140220_0001

左の図は以前使った図だが、地球の公転軌道上で、太陽に一番近づいた時、それが近日点。 その近日点を今日1月4日午後3時19分に通過したというわけ。 ケプラーの法則の面積一定の法則より、今は夏よりもスピードアップして地球は公転している。

国立天文台暦計算室のホームページを見ていて、大変面白かったのでここに紹介しておく。

近日点の移動 

地球の楕円軌道は他の惑星の影響により、少しずつ向きを変えていきます。
この現象を近日点の移動といいます。
木星が最も大きな影響を与えます。
季節の長さ、あるいは各二十四節気間の間隔は冬至や春分と近日点の位置関係によって決まります。
現在は冬至 (12月21日ごろ) と近日点 (1月上旬) が近い関係にありますが、この関係は歳差と近日点の移動によって、約21,000年の周期で入れ替わります。
歳差が約26,000年周期、近日点の移動が約11万年周期、合成して約21,000年周期となります。
これとともに、冬至から春分までの時間、春分から夏至までの時間・・・はそれぞれ変化していきます。
このため、仮にグレゴリオ暦を改良して1年の長さを1太陽年=365.2422日に近づけ、春分の日付をほぼ固定することができても、夏至・冬至・秋分などの日付まで固定するのは不可能です。

近日点の移動1 近日点の移動2

13世紀の頃は冬至と近日点がほぼそろっていました。
宣明暦や授時暦では冬至と近日点が同一であると仮定しています。
13世紀に作られた授時暦の予測精度が高かったことや、日本で宣明暦がこの前後400年=計800年も使い続けることができた理由のひとつはそこにあります。
時暦で延宝3年の日食を予報できなかったことをふまえ、渋川春海は近日点の移動を取り入れて大和暦 (貞享暦) の予報精度を高めることに成功しました。

http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B6E1C6FCC5C0A4CEB0DCC6B0.html

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アンダーラインは私が引いた。
近日点が移動していること、そして800年間も宣明暦が長持ちしたのは、近日点と冬至がほぼ一致していたからだということは知らなかった。
また、一万年ほどたつと近日点が夏至と一致するようになるというのも、興味深かった。その時の日本は、今の南半球のように12月に夏がくるのだろうか。
そんな未来に人間がいるかどうかもわからないが、面白い話題だと思った。

IMG_4059 上の写真は、12月31日の朝日。 年が明けてからの日の出の写真を撮りたかったが、曇り空や、金剛葛城山に雲がかかり、山から太陽が覗く写真が撮れなかった。
画面の左に見える山が二上山。

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この写真は、昨年の9月23日の日の出。この日は秋分の日。 画面中央に二上山が見えている。 三ヶ月で日の出の場所がどれだけ移動しているかがよく分かる。
季節によって太陽の出る場所が違ってくるのは、地球が約23.5度傾いて自転しているから。

太陽の恵みによって人間が生かされていることを実感する。