2.生葉を煮だして染める
四五日経つと切った藍の根本から、もう新しい葉が出てきている。 藍の生命力に驚く。
今回は、生葉を煮だして染める方法をやってみよう。その前に、藍がどうして染まるのか、その理屈を調べてみた。
藍の色素はインジゴときいている。でも調べてみると、その青い色素・インジゴが藍の葉に含まれているのではない。
インジゴのもとになるインディカンという物質が含まれている。この物質は無色で水溶性である。
ミキサーで葉を砕くと、インディカンは葉の細胞から外に出て水に溶ける。同時に存在していた酵素インジカナーゼも葉から出てきて、インディカンと反応してインドキシルという物質になり繊維に染みこむ。
このインドキシルが繊維の中で酸素と反応して二個の分子が結合し、水に溶けない藍の色素インジゴになる。これが染まる、ということだとわかった。
さて、生葉を煮ることによって、葉にあるインディカンを取り出す。
このとき、酵素のインジカナーゼは熱によりその働きを失うので、外から新しい酵素インジカナーゼが必要になる。新しいインジカナーゼを取る作業を含めて、今回は二段階の作業が必要になる。
煮出し用の生葉を200g、酵素インジカナーゼを取り出すための生葉を20g用意した。
まず、200gの生葉を2リットルの湯で煮る。時間は 10分間。
酵素用の生葉を20g、水を500ccでミキサーをまわし、酵素液を濾す。これは前の生葉で染めた時と同じ。
ポリバケツにためた生葉を煮て抽出した染料液に、生葉から取り出した酵素液を加えて混ぜる。これでインディカンとインジカナーゼが反応してインドキシルが生成されるわけだ。ここにレーヨンの布と糸を入れる(布と糸は中性洗剤であらっておく)。
染めムラのできないように動かし続けて30分。
30分たてば、軽く絞って空気にさらす。 そのあと水で洗う。
4回くらい水をかえてあらう。(生葉の時と同じ)
タオルに巻いて水分をとり、天日干しする。
青っぽいのが生葉で染めてもの。緑がかっているのが、葉を煮て染めてもの。少し、色が違う。
生葉も煮た葉も青い色で染まるが、雰囲気が違う。
なるほどなあ、私にとっては新しい発見だ。