あべのハルカス大学

IMG_89092太陽系の歴史に迫る探査機はやぶさの挑戦
―小惑星探査機はやぶさプロジェクトを振り返って―

4月19日(土)に、あべのハルカス23階にある「ハルカス大学」で、オープニングの公開講座があった。 新聞で知ったので、インターネットで予約した。 23階はキャンパスフロアというところで、入り口も「こんなところにあるのか〜」と以外なところにあり、17階で乗り換えて、23階へ。 ここには、大阪大谷大学、阪南大学、四天王寺大学のキャンパスフロアがある。 私の入った公開講座は、交流スペースというところで100人ぐらいはいるところだった。
講師は元はやぶさプロジェクトチームで科学主任をされていた藤原 顕さん。
はやぶさがイトカワに着陸した頃に退官されたということだった。

太陽系惑星の誕生を探る「はやぶさ」

イトカワのような近地球型小惑星には太陽系誕生の頃の材料がそのまま残っているので、太陽系誕生の謎を解く鍵になるということだった。
「はやぶさ」が持って帰ってきた資料と、地球でよく発見される隕石の成分を比較するとよく似た成分が発見されているそうだ。つぎの「はやぶさ2」では、有機物があると思われているC型小惑星にサンプルリターンをめざすそうだ。
最近のNASAの発表では、地球にそっくりの惑星も発見されている。
藤原さんのお話では、惑星系のある太陽が740個、惑星の数は976個、複数の惑星を持つ太陽が162個発見されているということだから、これはすごい。
「はやぶさ2」は有機物があるかもしれない小惑星から試料を取ってくるのだから、生命の起源について新しい発展があるかも知れない。
「はやぶさ2」は今年の12月に打ち上げ予定。2018年6月に小惑星に到着、2020年12月に地球への帰還、ということだから目が離せない。
はやぶさ2

藤原さんは、はやぶさの観測機器、試料最終の装置、持ち帰った試料の分析装置の開発に携わってこられたそうだ。ご自身は退官されても、残った機器や装置が活躍をしている。みごとなバトンタッチだと思った。
さきごろNHKでイオンエンジンを開発された國中さんのドキュメントがあった。「はやぶさ2」を動かす新しいイオンエンジンの開発に全力を傾けながら、若い世代に引き継いでいく姿が放映された。宇宙開発は10年のスパンという長期間のプロジェクトだし、一回で結果を出さなくてはいけないことも多いと思う。技術開発の緊張とそれをすすめる人材を育てることの必要性がよくわかる番組だった。

ロゼッタが8月に彗星に接近、着陸

ロゼッタ
最後にはやぶさ2を含めて、これからの話があった。私が惹かれたのは欧州が打ち上げた「ロゼッタ」。インターネットによると、
{ロゼッタ(英語:Rosetta space probe, フランス語:Sonde spatiale Rosetta)は、欧州宇宙機関 (ESA) の彗星探査機。
2004年3月2日にフランス領ギアナからアリアン5G+ロケットを用いて打ち上げられた。2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し、11月に地表に着陸機フィラエ (Philae) を投下する予定である。成功すれば人類史上初の、彗星に着陸した探査機となる。」
なんと、10年間飛び続けていたのだ。知らなかったなあ。
この8月に周回軌道に入り、観測装置を積んだ着陸機「フィラエ」を投下するそうだ。ロゼッタは長さ30mの太陽電池パネル。重さ3トン。ブログ最初にのせたはやぶさの模型の写真(ハルカス大学の職員の人の製作とか)とくらべても大きいなあ。はやぶさは重さ500kg。
ロゼッタは燃料、電池の節約のため約3年間の冬眠を経て、この1月にウェイクアップ。今年後半が楽しみになってきた。

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写真左は、公開講座が終わり質問に答えている藤原さん。右は会場からの風景。23階はさすがによく見える。
藤原さんは現在は京都大学を会場にして開かれている「科学カフェ」の理事とか。私も講演が終わってから少し質問をさせてもらった。この科学カフェは事前申込み無しの自由な参加ができるとか。月一回、第二土曜日2時から開催されているとのことでぜひ来てくださいとお誘いも。機会を見つけて行ってみたいと思う。

 

 

 

円周率 その3

「算俎」村松重清の方法

今回は、江戸時代の和算家の方法を追跡してみよう。 「円周率が歩んだ道」(岩波現代全書 上野健爾著)によると、「円周率の計算を記した初期の書物としては、村松重清著『算俎』(さんそ)である。村松重清の婿養子であった村松秀直は赤穂浪士四十七士の一人である。村松は『算俎』のなかで円に内接する正多角形の周の長さを計算して円周率の近似値を求めた。彼は直径一尺の円に内接する正8角形から始めて正32768(2の15乗)角形の周の長さを計算して3尺1寸4分1592648776..を得た。これは小数点以下7桁まで正確な値をあたえている..」とある。

この方法を追試してみよう。

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まず江戸時代の三平方の定理は鉤股弦(こうこげん)の法(勾股弦とも書く)とよばれていた。

直径1(単位は省略)の円に内接する多角形、ということなので四角形からスタートする。まず準備段階として、弦と勾の関係を調べておく。

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さらに分割してみる。

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4角形の場合

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8角形の場合

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16角形の場合

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32角形の場合

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ここまでくると、この弦と勾の関係はこのまま思考実験で継続しても大丈夫。
村松重清が計算した正32768角形までを一覧表にしてみたのが次の図。

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表計算ソフトで計算してみよう。

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関数を使った計算は表計算ソフトの得意とする所。前回はエクセルを使ったが、今回は無料ソフトのLibreOfficeを使った。
計算した結果がこれ。

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直径を1としているので、円周の長さが円周率となる。
村松重清は正32768角形の辺の長さで円周の近似値を計算し、それが円周率と等しい、という考えをここまで実行した。
村松重清の計算は、3尺1寸4分1592648776..で、表計算ソフトよりも多くの桁数まで求めている。
その集中力と計算の確かさに驚く。
そろばんによって計算したと思うが、どれほどの時間がかかったのだろう。
私たちは円周率の値を知っているから、計算間違いに気づくことはできるが、正解がわからないなかでここまで正確に計算されていることに驚くばかりだ。

 

 

 

三角点を探る旅 その 19

和歌山城の三角点

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ここは和歌山城。春休み最終の土曜日ということで、お花見客がどんどんふえてくる。アジア系の団体客が目につく。

天守閣の庭に三角点があるということなので、拝観料を払って天守閣に入る。さて、ここからがわからない。
和歌山城の三角点について書かれているブログを見ると、入って直ぐの庭、立入禁止区域内、とあるのでこれかな?とおもうが、どうも違うみたい。
ブログの記事によると桜の木の下とあるが、これは桜じゃないな。

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和歌山城の三角点についてのブログを調べてみると、少し不安そうに書いてあるのが目につく。本当にここでいいのか? という感じ。

IMG_8529天守閣に入るまでのわずかな道の左側にある庭、といってもそれほど広くもないもの。
何回も行ったり来たりして、ブログの写真にある桜の木の映像を見比べながら、どの桜の木のふもとなのかと念入りに調べる。
あーっ、なんだ、これじゃないか。見ているはずなのに、見えていない、とはこのことだ。

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歴史を感じさせる大きな桜の木の根元付近に、立て札がたっている。ブログの記事には立て札のことなど書いていなかったので、全く無視していたが。三角点と書いてあるではないか。
たぶん三角点めあての人たちが多くあるのだろう。そのために、ここに三角点があるということがよく分かるように立て札が立ったのかもしれない。

IMG_8524「三角点 虎伏山」と書いた木の立て札を支えているコンクリート製の台座の前にある、小さな正方形に見える石が目的のもののようだ。

立て札の下のピンクの紙に書いてある文字がよく読めない。立入禁止区域内なのでそばに寄ることも出来ない。
どうも、「三角点はこの標石の下に埋設されています」と書いてあるようだ。
ということは、三角点自体ではないということだ。

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家に帰ってから調べると、私と同じような疑問を持った人たちがいた。
たとえば、直接国土地理院にたずねて、あの四角形の石の下に三角点が埋設されていることを確認した人のブログがあった。

どうも結論としては、
「三角点設置の後、盛り土をすることがあり、三角点がこの下にあることを示すために、この四角の石を置いた」ということらしい。

そして、現在は三角点の場所がわかるように立て札と注意書きが書かれているようになったということだろう。
和歌山城の天守閣にある三角点は、「三等三角点」である。

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お城のような観光施設は整備のために手が入ることが多いのだろう。そして三角点がわかるように標石を置くなど工夫して保存されている、ということだろう。
和歌山城の桜はちょうど満開だった。
写真を写しに来る人、親子連れ、若いカップルと沢山の人が桜を愛でていた。
「和歌山城は何回来てもいいわね」
「うん、そうだなあ」
と犬を連れた夫婦が話しているのが耳に入る。
地域に愛されているのだな、和歌山城は。
少し疲れたので、城内にあった「紅松庵」という茶室で一服。

お世話になったブログのアドレスを紹介しておく。

http://www.syotann.com/sankaku12.html

http://kansekimanpo4.okunohosomichi.net/ten282torafusiyama.html