円周率その1

今日は何の日?

テレビでは「ホワイトデー」と騒がれているが、今日は「円周率の日」。
なぜかというと、3月14日、
3.14は円周率だから。

円周率の歴史をネットで調べてみると、紀元前2000年頃の資料にも円周率のことがのっているらしい。
古代エジプト(紀元前1650年頃)では、円周と直径の比の値と、円の面積と半径の平方の比の値が等しいことは知られていたという。中国でも同様で、日本に関係の深い中国での研究がのっていた。

円周率a

西暦263年といえば、卑弥呼が魏に使いを送ったのが西暦239年だからまだ大和朝廷が成立していなかった頃。この時代にどのような計算をして円周率を求めたのだろうか?

円周率については、書籍にもネットにもたくさんの研究結果や資料がある。少し長くなるが私が理解できる範囲でそれらを紹介しよう。

劉徽(りゅうき)の方法

(以下の図や計算の部分はクリックすると、拡大して見ることが出来ます)

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はじめに円に内接する多角形を考える。最初の図は6角形、次の図は角が倍の12角形,三つ目の図はさらにその倍の角がある24角形。
それぞれ多角形の周りの長さー周の長さと円の面積は、多角形の角数が増えていけばいくほど、接している円の周の長さ(円周)、面積に近づいていくことが予測できる。
円周と円の面積を直接求めることが出来ないが、多角形の周りの長さと面積は求めることができるので、内接する多角形の角数を増やすことにより、内側から円周と円の面積、そして円周率を出そうとするやり方。

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IMG_20140311_0006次は、円に外接する6角形、12角形、
24角形を考える。

今度は外接する多角形の周りの長さ、面積を求めていくことによって、外接する多角形の角数を増やせば増やすほど円周、円の面積に近づいていくことが予想されるだろう。
つまり、円に内接する多角形、外接する多角形を用いることによって、円周と円の面積を求めることができる。円の内側と外側から攻めていって、挟みこむことによって円周率が正確に計算できると考えたわけである。私が理解できた順番にその考え方を書いてみよう。

IMG_20140312_0001まず円に内接する正六角形を考えよう。そしてそこから角数を増やしていこう。
ABは六角形の一辺。D1は弧ABの中点。弦AD1,弦D1Bは内接する正十二角形の辺になることはわかるだろう。
点D1で接線を引き、AとBより弦ABに垂線を引き、交点をA’とB’とする。
このようにして内接する多角形の各辺上に長方形を描いていく。この長方形が外接する多角形を意味している。

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図は、正六角形から正十二角形に増やしたところ。
内接する正十二角形の面積(左の図の黄緑の三角形十二個分)から内接する正六角形の面積(上の図の水色の三角形六個分)を引いた面積は、正六角形で考えた長方形AA’B’Bの面積の総和の2分の1になることが、図からわかる。逆に言えば、六個の長方形の面積の総和は、正十二角形の面積と正六角形の面積の差の二倍になっている、ともいえる。
正六角形、正十二角形と考えたことは、正n角形と一般化しても同じことが言える。
「n個の長方形の面積の総和は、内接する正2n角形の面積と内接する正n角形の面積の差の2倍と等しい」
円の面積をS、内接する正n角形の面積An、外側のn個の長方形の面積Bnには次のような関係が成り立つ。
An < S < An + Bn
nを大きくしていく(多角形の角数を増やしていく)と、不等式の右と左のどちらも円の面積に近づいていく。
このことを利用して円の面積をだし、円周率を導く方法を劉徽は考えだした。

現代風の数式を使ってまとめてみると。

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劉徽の計算を追試してみよう。

 

まず正六角形から考える

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 つづいて正12角形を考える

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さらに正24角形を考える。図は小さくなるので思考実験で。

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次は正48角形の面積を考える

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正96角形の1辺の長さを求める

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正96角形の面積を求めて円周率へ

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はいできました。

ネツトのWikipediaにあった円周率がでましたね。
私は電卓を使って計算したが、2000年前の中国では何を使って計算したのだろう。
自乗の計算、平方根の計算、10桁以上の計算をどのようにして求めたのだろう。
計算にかける集中力、持続力に驚くとともに、先を見通した先見性に一番驚いた。

計算の所に詳しく書くのを忘れたが、「三平方の定理」は劉徽の時代にはすでに知られていた。
次回はもう少し現代風な計算を紹介したい。