「オプションB」の出番だ! 

この本は新聞の本の紹介で知った本。

本の扉に次のような内容紹介が載せられている。

「だれであれ、『バラ色』だけの人生はありえない。
フェイスブックのCOOシェリル・サンドバーグは、休暇先で最愛の夫を突然失った。
友人で著名心理学者のアダム・グラントが教えてくれたのは、人生を打ち砕く経験から回復するための、具体的なステップがあるということだった。
回復する力(レジリエンスは、自分で鍛える事ができる力なのだ。
 人生の喪失や困難への向き合い方、逆境の乗り越え方を・・略・・著者は説く。」

図書館に予約してから半年近く待った本。それほど多くの人が読んでいる。私の予約のあとにも二十人近くの人が予約待ちをしている。

レジリエンスという言葉はきいたことがあったが、「回復する力」とは知らなかった。それを知っただけでも大きな成果。

目次と各章のはじめの言葉があればそれを紹介する。

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はじめに

1.もう一度息をつく
  「続けなくては行けない/続けられない/続けるのだーサミュエル・ベケット」

2.部屋の中のゾウを追い出す
   絵と「部屋の中のゾウ:だれもが見て見ぬふりをしている部屋」

3,友情のプラチナルール
   
4.自分への思いやりと自信ー自分と向き合う

5.逆境をバネに成長するー未来の自分が私をつかんでくれる
  「冬のさなかにようやく気がついた。
   私のなかにゆるぎない夏があるのだと。」ーアルベール・カミュ

6.喜びをとりもどす

7.”レジリエント”な子どもを育てる

8.一緒に強くなる
  「私たちはたがいにつながり合う網の目にからめとられ、
   運命という1枚の衣に織り込まれている。
   何かがひとりに直接影響を与えれば、
   間接的にほかの全員にも影響がおよぶのである」
         ーマーティン・ルーサー・キング・ジュニア

9.仕事での失敗と学び

10.もう一度、愛し笑う

ともにレジリエンスを育もう

謝辞、原注

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上の二枚の図は第2章にあったもの。
悲しくて辛い思いの人にはどう声をかければいいのだろう。だれしもが悩む問題。
悲しい話題に触れないように、辛い思いにならないように話題を選び、言葉を選ぶ。
でもそれが一番いい方法なのだろうか。
当事者が「聞いてほしい」「話題にしてほしい」と思っても、ないことのようにスルーしてしまうことが多いだろう。それがいいと思って。
 ここではゾウという例えでその問題を考えている。

「悲劇に見舞われると、人間同士の血の通ったやりとりがまわりから消えてしまう。体(てい)のいいありきたりの言葉ですまされてしまうのだ。では、『すべては起こるべくして起こったのよ』などの陳腐な言葉の代わりに、なんと声をかければよいのだろう?」と心理療法士のティム・ローレンスは問いかける。「一番よいのは相手の気持を理解し、そのまま受け止めることである。『おつらいですね、いつもそばにいますよ』と、文字どおりいうのだ」・・・・・双方から手をのばさなくてはいけない。まずはお互い思いやりを持って素直に話してみよう。念じるだけではゾウを追い払うことはできない。でも代わりにこう伝えればいい。『わかる。あたなが苦しんでいるのはわかる。あなたのことを気にかけているよ』と。」

これは第9章「仕事での失敗と学び」にあった写真。 ニューヨークの町中に最近設置されている黒板だそうだ。
「失敗した行動」ではなく、「行動しそこねたことへの後悔が大半を占めているそうだ。著者シェリエル・サンドバーグは「私もこどものころ、母によく諭された。『後悔は、やったことではなく、やらなかったことに対して感じるものよ」と。
と書いている。
 上の黒板には、「スポーツをあまりしなかった」「愛していると言わなかった」「連絡をとりあわなかった」「心を打ち明けなかった」「大学にいかなかった」「やりたいことをやらなかった」「もっとハグしなかった」などが書かれている。

左の図は第3章「プラチナルール」にでてくる図。

ユダヤ教の聖書には「自分が扱ってほしいように他人を扱いなさい」という黄金律(ゴールデンルール)があるそうだ。

著者は言う。
「だれかが苦しんでいるときには、ゴールデンルールより、プラチナルールに従うほうがよい。『他人が扱ってほしいように、他人を扱いなさい』。苦しんでいる人が発するサインを読み取り、おもいやりと、できれば行動をもって応じよう」

図は著者を中心にした「嘆きの序列」。「リングのどこにいる人も、内側の円に助けを差し伸べ、外側の円に助けを求めていい。自分より悲劇に近い人には支援を与え、多い人からは支援を受けられるのだ」とこの本に書いてある。

アメリカの本らしく研究とデータをもとに解決方法が経験をもとに書かれている。
たとえばストレスの実験としては古典的で有名なものらしいが(私はまったく知らなかった)、ランダムな間隔で騒音が発生している中でパズルを解くというのがある。
参加者はミスを連発し、心拍数と血圧があがる(ここまで測定しているのがアメリカらしいと私はおもってしまう)。このとき一部のグループに「騒音が不快になったらこのボタンを押すと音が止まる」と逃げ道を教える。予想通りこのグルーブは落ち着き、ミスが少なくなった。驚くべきことは、「ボタンを押した参加者は誰一人いなかった」ことである。
参加者は「騒音を止められる」という意識が違いをもたらしたのだ。「自分で状況をコントロールできる」という意識がストレスに耐える力を高めたのだと言う。

こういった実験例や研究成果が具体的にしめされて、「苦しんでいる人には『ボタンが必要だ』と示されると、説得力が増す。
「日本の子どもの6人に1人が貧困状態にある」、というデータも紹介されていた。それは第7章の「レジリエントな子どもを育もう」というなかでだ。

私が以前に読んだ自己啓発本とはまったく違った視点から書かれていて、勉強になることがたくさんあると感じた。翻訳も読みやすく、原文ではどのように書かれているのだろうと思うこともあった。

日本人にはない発想もあるが、心に止めておきたい本だと思った。
オプションAがだめなら、オプションBがあるじゃないか。なんならオプションCも発動させようか、ちょっと元気になる本だ。