カメラ・オブスクラ 7

像の写り方について

いくつかカメラ・オブスクラを作ってきた。 どのような像が見えるのか、少しまとめてみよう。

1.凸レンズがつくる像 (虫眼鏡のレンズ)IMG_20140724_0001_2

凸レンズでは、上下左右が反転した像がスクリーン上に写る。 この時、どの位置から見ているかが大事。 IMG_20140724_0003

スクリーンの表側から見るのか、裏側から見るのかで状態は違う。 上の図は映画館でスクリーンを見ている状態。 下の図は、スクリーンの裏側から見ている状態。

スクリーンの裏側から見ると、上下だけが逆転している。この図を上下逆さまにしてみると、正しい「あ」の文字が見える。
スクリーン表側から見ると、上下逆さまにしても、左右は逆転している。だから「上下左右が反対になっている」という。

A4の箱で作ったカメラ・オブスクラは、スクリーンの裏側から像を見ている状態である。だから、上下が逆さまに見える。(この像を写真にとって、上下をひっくり返すと、正しい風景になる。)

2.鏡に写る像
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鏡に写って見える像は、上の図のように左右が反対に見える。
鏡を使ったカメラ・オブスクラは、凸レンズと鏡の反射が組み合わさり、見る位置によって像が決まる。

3.フェルメールのカメラ箱の場合(レンズと鏡)。
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鏡に凸レンズを通した像が写る。その像は上下左右が反対になったものである。 その鏡にう売った像を、図のような方角から見ると、左右が逆転した像になっている。

4.OHPのレンズを使った場合(レンズと鏡)。

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鏡には左右が逆になった像が写っている。
凸レンズを通した像は、上下左右が逆転するので、結果的には正立像が見えることになる。
実際のOHPはこの図と反対の光の向きになるから、レンズの下においた文字や図が、レンズと鏡によって壁やスクリーンに正立像として投影されるわけだ。

ピンホールカメラなどの説明に多くの場合は、木の絵が使われている。木の絵では上下は直ぐにわかるが左右の逆転がわからない。そこで私は「あ」という文字で考えてみた。上下、左右、どこから像を見るか、などの変化がわかりやすかったと思う。 

 

 

 

 

カメラ・オブスクラ 5

OHPのレンズを使ったカメラ・オブスクラ

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古い廃棄になったOHPのレンズ部分を手に入れた。 最近、学校ではOHPを使っているのだろうか。 丁度このレンズと、反射用の鏡を使うとカメラ・オブスクラができそうな気がした。
まずこの大きさにあう段ボール箱を探すことからはじめる。

イメージとしては下の図。

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まず段ボール箱の上面に、OHPのレンズが入る大きさの穴を開ける。 これからの作業はほとんどカッターナイフだけで出きる作業だった。 作っていて気がついたのは、レンズの焦点距離を知ることが大事だった。 OHPのレンズを含めて、市販の虫眼鏡はそれほど長くない。
つまり、ダンボールの箱の中では、レンズと外の風景が映る台までの距離があまり取れないので、写った像を絵を写しとる作業の空間があまりないということ。

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少し開いているところがふたになっていて、頭を入れて写った映像を見る。

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鏡の向いている方向から映っている像を見ると、像は正立像になる。

上の二枚の写真は、倒立像になっているのは、鏡の向きを180度回転させているから。そうしないと、箱のなかに光が入って像がよく見えなかったからだ。鏡とフタの関係が、最初に書いたイメージ図の状態になっていると考えるとよい。

これぐらいの解像度なら、絵画の下絵として使えそう。やっぱりOHPのレンズはすぐれものと言えそう。

この段ボール箱のカメラ・オブスクラを実用させようとすると、のぞいている周りから光が入ってこれない工夫が必要だ。たとえば、布で箱の周りをおおうなどすると、かなり鮮明に見える。ただ、この季節だと暑い、非常に暑い。
しかし写る画像は非常に鮮明。さすが視聴覚機器のOHPのレンズだ。

教訓・・・もし廃棄処分のOHPが手に入るなら、確保しておくこと。