ハンターズ・ムーン 10月の満月

 10月20日水曜日。満月が昇ってきた。 山の上に雲があるため、地平線から昇ってくる月は撮影できない。
この写真は17時38分ぐらいのもの。
「こよみハンドブック」のデーターでは、月の出は17時19分となっているが、現在地との経度の差、山と雲を超えての月の出だから時間の誤差はある。

10月の満月は、ネイティブアメリカンの言い方だと「ハンターズ・ムーン」と言うそうだ。
狩の季節ということかも知れない。

満月の模様も風景と一緒にとりたいのだが、満月の明るさは並大抵のものではない。
普通にシャッターをきると、月は真っ白になる。
露出をしぼると、街の風景が真っ黒になってしまう。
満月の写真はむずかしい。

2021年10月20日の月齢は
13.7 となっている。
あれ? 満月だから15lじゃないの?と思ってしまうが、そうではない。
前回のブログに平安時代の人たちの月と時間について調べたことを書いたが、それは現代のような精密な時計と観測の時代の感覚とはちがうということ、生活の時間感覚ではなく、物理法則と精密機械のある現在との差を考えておこうということだ。

国立天文台のホームページにこんな記述がある。

「月齢も月の満ち欠けに関連している.定義から月齢0.0が朔の瞬間であることは明らかであるし,平均約29.5日という満ち欠けの周期((朔望月) から,その半分の月齢14.8くらいが望(満月) の瞬間となることも見当がつくだろう.

ただし,月齢が14.8 なら必ず望(満月)になるとは限らない。これは月が地球の周りを楕円運動していることが原因である。・・・・中略・・・・定量的にどれくらい変化するのかを示したのが図3(図は略)で,
ここから望(満月)における月齢は13.9~15.6日と±1日弱もの変動があることがわかるだろう.十五夜が必ずしも満月にならない本質的な原因はここにある。。

詳しい説明は、国立天文台のホームページ(トピックス・月齢について)を参照されたい。

18時43分の月。露出をかなり絞っている。

23時51分の月。ほぼ天頂付近にある。データーでは満月になる直前の月だ。

次の日の朝。
5時1分の空。
この日は雲が多く、満足な月の表面の写真が取れなかった。

この道路はほぼ東西に伸びた道路。
西の空に沈んでいく様子が想像できる。

雲の合間をくぐって月の模様がわかる写真が取れた。
月の模様が時間を追って変化する・ウサギの耳が動いていくことがわかる。

満月の時にいつも話題になるのは、南半球の人はどんな月の模様を見ているのだろうということ。今回はNASAの映像があることが判った。

上の写真は北半球での満月間近な写真。

この写真は「南半球の満月間近な」写真。 月の模様の違いがわかるだろう。

うえの満月は私達がよく見る満月。ウサギの耳が右側上にみえている。
下の写真のウサギは、左側下に耳が見えている。私達が見ない月の模様だ。

ネット検索で、
Moon Phases 2021 – Northern Hemisphere 
Moon Phases 2021 – Southern Hemisphere

を検索すればこの画面に到達できるはず。
上の写真は動画を写真にしたもの。実際にYouTubeでみれば月の満ち欠けの様子もよくわかる。北半球と南半球での満ち欠けの違いもよくわかる。

11月19日は皆既月食に近い状態での月食が観測できるそうだ。
お天気が良いことを祈ろう。

 

 

月に接近する火星

10月2日、十六夜の月だが満月。
満月の近くにある星は火星。
今年は火星が地球に接近しているが、満月に火星が近づいているのは大変興味深かかった。
満月と惑星を同時に撮影するのは大変難しい。私の技術では左の写真が精一杯。
この写真は三脚無しで手持ちで撮っているので少しぶれてしまっている。しかし月に火星が接近している様子はわかると思う。21時頃に撮った写真。

この写真は22時頃、家の上空に登ってきた月と火星。
10月2日、この日の月の出の時刻は夕方6時12分、月の入りは翌日3日の朝6時46分。
ところで「月の出、月の入り」とは月がどういう状態のときのことを言うのだろう。

以前このブログで太陽の「日の出、日の入り」について考えたことがある。

日の出とは上の図の、どの時のことを言うのだろう。
A 少しでも地平線(水平線)から太陽が出たとき。
B 太陽の中心が地平編(水平線)を通過したとき。
C 太陽がすっかり地平編(水平線)の上にでたとき。

これはAが正解。地平線(水平線)から太陽が顔を出した瞬間をいう。
「日の入り」はこの逆。すっかり沈みきった瞬間を「日の入り」の時刻とする。

では「月の出、月の入り」は上の図を月に置き換えたらどの時を言うのだろう。

これは国立天文台の「こよみ用語解説」からの引用。
図を見てわかるように、月の中心が地平線(水平線)に一致する時刻をいう。
月は満ち欠けがあるので、太陽のように「出た瞬間」というのは決めにくにからだと言われている。
太陽の「日の出、日の入り」の定義と違うことを覚えておこう。

10月2日19時7分の月。

10月2日23時15分の月。
月の模様が変化していることがわかる。(ウサギの耳が動いている)

10月3日朝の5時50分ごろの月。ウサギの耳の部分が下を向いている。

10月3日朝、6時21分頃の写真。 信号機の上に月がある。
月の光は薄くなっている。この日の朝は少し雲が出て、空気の透明度はよくない。
この道路はほぼ東西に走っている道路。西に沈んでいくことがよく分かる。
与謝蕪村の句に、
「菜の花や 月は東に 日は西に」
という句があるが、この写真はその反対。「月は西に 日は東」

満月というのは、太陽の位置と月の位置が対称的にあるからこういう現象がおきる。

身近な月、しかし太陽と月によっておこされる天文現象の奥は深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬の満月の高度は高い

1月5日の朝日。

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この日は満月だった。

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朝日と満月、どちらもiPhoneで撮った写真。

左の月の出の写真の真中付近に白く光っているところが、上の写真の道路の奥になる。
日の出と月の出の場所が大きく違っている。
実は太陽と月の出没地点はほぼ正反対の動きをする。

 

IMG_4188

冬の満月の特徴は、その高度が高いことにある。
冷えきった冬空高くに満月が輝いている。

冬の中天高く輝く満月が、どうして中秋の名月のように話題にならないのか、その理由の一つに昔の住居の事情にあるそうだ。
縁側に座り、軒や庭の向こうにある塀越しに見える、9月の満月が適度な高さにあるからだと言われている。
これよりも高過ぎると、家の軒に邪魔されて月が見えない、低すぎると塀に邪魔されて見えないというわけ。

ではどうして冬の満月の高度が高いのだろう。 

IMG_20150106_0001

この図は地球から満月が見える位置を、極端に誇張して書いた図。 太陽と地球の距離はもっと離れているし、太陽、地球、月の大きさも全くでたらめ。 でも、地球から満月が見える説明には使える。太陽ー地球ー月と並んだ時、地球の夜の空に満月が見える。
上の図の左が夏、北極や北半球にたっぷり太陽の熱や光が注ぎ込む。
右は冬。北極は白夜になる事がわかるだろう。
正確には月の地球を周る公転面は、地球の太陽を回る公転面に5度ぐらいの傾きがあるが、この説明の場合はほぼ一緒とみなしても良いので、図のように一直線上に並べて書いてある。
赤で日本の位置を書いてあるが、夏には太陽が真上近くにあり、冬は夏に比べて低いところに太陽があるのがイメージできると思う。この図では地球軸の傾きが分かるように書いたが、人間の立場から見た図として、回転軸がまっすぐになるように傾けて見よう。

IMG_20150106_0003

こうしてみると、夏の太陽が高くにあり、冬の太陽が低い位置にあることがさらにイメージしやすいと思う。

さて、月の高度に戻って考えてみよう。
満月は、太陽ー地球ー月と一兆戦に並んだ時に起こる現象。
つまり、太陽と月は地球を挟んで正反対の方向にある。

与謝蕪村の名句
  菜の花や月は東に日は西に

にあるように、満月の時は日没と同時に月が昇ってくる。
満月は太陽の光を全面に反射しているからだ。

ということは、太陽の高度が高い季節の満月の高度は低く、逆に太陽の高度が低い季節は満月の高度が高いということが分かるだろう。
つまり、冬の満月の高度が高いのは、太陽の高度が低いからなのだ。
日の出と満月の月の出を見ることができたので、日頃から疑問に思っていたことを考えることができた。