大阪錫器

ここは大阪錫器株式会社。近鉄南大阪線の今川駅のすぐ近くにある。

以前にあべのハルカスで錫のタンブラーをつくったことから、錫の容器にへの関心がたかまっていた。

知り合いからハルカスで錫のタンブラーを販売していた「大阪錫器」が大感謝祭と称してセールをしていることを知った。

そこで天王寺阿倍野駅から近鉄南大阪線にのって、ここ「大阪錫器株式会社」にやってきた。

以前にも調べたが改めて錫について調べてみた。

錫器は今から約1300年前に伝わってきたそうだ。この間まで開かれていた奈良の正倉院には、この錫の容器が数点保管されているそうだ。

大阪における錫の歴史は、延宝7年(1679年)の「難波雀」に「錫引き、堺い筋」という記述があり、江戸時代中期には心斎橋、天神橋、天王寺などで生産されていたようだ。

戦争により職人が減り、また材料の錫も入手困難となり大打撃を受けたが、1983(昭和58)に伝統工芸品『大阪浪華錫器』として指定・承認されたのがここ「大阪錫器」だそうだ。(大阪錫器ホームページより)

職人さんの作業も見ることができ、溶かした錫の溶液を型に流し込んでタンブラーを創るところとか、普段では公開されないだろう様子をかいまみることができた。

上の写真のような工具を使って錫が加工されている。ここはほとんどが手作り。その作業の緻密さに驚く。
マレーシアに行ったとき、シティマーケットで錫の容器が販売されていた。色合いや値段を見たとき、これなら大阪で買うほうがいいなあ、と思った。そのことを職人さんに話すと、「日本から技術指導でマレーシアに行ってるのです。錫の精度、ここはスリーナインですがマレーシアはそこまでなっていません。また加工技術も日本のほうが上です。買うのならやっぱり大阪のほうがいいですよ」という話をしてくれた。

上の写真はお茶などを入れる容器。真ん中の白い金属色の容器は、上のふたが重力で降りてきているところ。完全に降りるとその継ぎ目はほとんど見えないほどの精密さでできている。左右の茶色の容器も同じ。ふたと本体とのつぎめがあるのか、ないのかわからないほど。これはすべて手作りだそうだ。手の感覚でこの精密さを生み出しているのだからすごい。テレビなら「職人さんの技術」で表現されるかもしれないが、そんな言葉だけでは表しきれないすごさを感じた。

これは錫の容器に金箔をはったもの。仏壇の職人さんとのコラボのようだ。それにしても美しい。

子どもづれのお客さんも思ったより多く、そのためかガチャガチャがおいてあった。わたしたちがガチャガチャをやって出てきたのは「錫でできた貝殻」だった。穴を開けたらかわいいネックレスやペンダントになりそうなものだった。

私がびっくりするほどのお客さんが出入りしていた。小学生に体験をさせている家族もあった。
錫のぐい呑による味の体験もあった。日本酒やアイスコーヒーの錫の容器とそれ以外の容器との味の違いがあるのか、ないのか。私は日本酒で、妻はアイスコーヒーで味わいを確かめた。
びっくりするほどの味の違いがあった。錫のグラスは味が良くなる。
何組もの錫の容器を持って「あれもいいなあ」と購入している人も多かった。

以前ハルカスで体験で作った錫のタンブラーが食器棚にぶつかってゆがんでしまったので、ここで修理してもらった。それが上の写真の左。
右は妻に買ってあげたタンブラー。容器の中にも模様が入っている。中に模様があると泡立ちが良くなり、味も良くなるそうだ。買ったものはB級商品と呼ばれるらしく、店頭に出すときの最終審査ではねられたものだそうだ。商品としての価値は十分にあるが、贈り物としてはおすすめできないそうだ。その分少し安く販売されていた。
並べてみるとやっぱり職人さんの作ったタンブラーにはかなわない。
来年もこの時期にあるそうだ。
忘れずに行かなくては。