夕焼けはどうして赤い

靭公園にある「大阪科学技術館」で、夏休み向けのイベントが沢山行われている。
私もその中の一つをのぞいてみた。
それは光についての実験で、小学生の子どもたちとその保護者の人達が参加していた。
私が一番興味を持ったのは「夕焼けはなぜ赤いのか」。何か習ったような気がするが、実験で確かめてみるというのが魅力的だった。

同じ太陽なのに、昼間は青空の中にあり、夕方には夕焼けの中にある。
太陽の光と地球を取り巻く大気の層によって、人間の目には青空が見えたり、赤く染まった夕空をみることになるのだ。

青い光は波長が短いので大気中の空気の分子や原子によって散乱される。その散乱された青い光が目に入って、私達には空が青い、と見えるというわけだ。

この講座で学んが事を再現してみよう。

ペットポトルに水を入れて並べる。右側から懐中電灯でそのペットボトルを照らす。
懐中電灯の光は何の変化もなく、ペットボトルを照らしている。

水の入ったペットボトルに牛乳を入れて、白濁させる。入れすぎると光の変化の様子がわかりにくいので、わたしは小さじ半分〜1杯ぐらいがいいと思う。
牛乳を入れてよく振って全体が白く濁った状態にする。そこに上と同じように右側から懐中電灯で照らす。

 

右側のペットボトルをみると、懐中電灯の光が白く光った帯状に見える。 それがペットボトルを通過するに従って、白い光がなくなり赤っぽくなっていることがわかる。
左端に白い紙を置いてみると、その白い紙が赤く染まっている。
これが「夕焼け」の正体だ。

これはペットボトル2本で、牛乳を小さじ1杯分を入れたもの。
右側のペットボトルの右端がなんとなく青っぽく、左のペットボトルの牛乳は赤っぽく染まり、通過した光が当たる白い紙はオレンジから赤になっていることがわかる。

左の写真は、ペットボトルを縦に並べて、画面の向こう側に懐中電灯を置いて照らしたもの。

白い光がペットボトルの中にある白濁した牛乳を通るとき、白から赤に色が変化していくことがわかると思う。

絵で説明したように、夕方になると太陽の光は、昼に比べると長い距離を通過して私達の目に届く。
このとき、波長の短い青い光は先に散乱してしまって私達の目にはもう届かない。
大気中の分子や原子をすり抜けて私達の目に到着するのは、波長の長い赤い光なのだ。
だから夕焼け(同じ理屈で朝焼け)は赤く見えるわけだ。

左の写真はペットボトルの下に白い紙を置き、ペットポトルの上から懐中電灯で照らしたところ。

水面の上の方がなんとなく青っぽく見える。これが青空。
ペットポトルの下に行くほど、懐中電灯の光は赤っぽくなる。
そして一番下、底では、夕焼けで実際観るようなオレンジから赤い光が見える。

地球の大気を、長い距離を通り抜けた太陽の光は赤が残り、紫や青は散乱してしまって、私達の目に入る前に空気中に飛び散っているのだ。それをペットボトル数本で実感できるという実験だった。
実験そのものは簡単だが、光が七色の混合色だということ、波長の長さによって色が違うこと、大気中の分子や原子によって散乱すること、そういったことがわかった上で実験するとさらによくわかると思った。
昔は、夕焼けは大気中のチリやゴミが太陽光を散乱させておこる、という説明だったと思う。今はもっと小さい分子や原子によって散乱が起こっていること、光の波長よりも小さい分子・原子によって起こる散乱を、レイリー散乱とよばれることも知った。
実験に使う懐中電灯は、LEDの懐中電灯でも、昔からの電球による懐中電灯でもどちらでもできる。LEDの白色も赤・緑・青色などのLEDを使っているのでこの実験には使える。
実験するにあたってネットで調べると、「夕焼けはなぜ赤い」「レイリー散乱」で検索すると驚くほどたくさんヒットした。今回の実験はとてもメジャーなものだったらしい。しかし私は科学技術館に行くまでは知らなかった。ここにはおもしろい実験がたくさんあるようだ。

*火星の空は何色に見えるのだろう? 火星の空は赤く見えるとどこかで聞いたことがある。火星の赤い土が空気中に散らばっていて、そのために空も赤く見える、という理屈だ。ネットで検索してみると、これもたくさんヒットした。「火星の空は赤い」「火星の空は地球と同じで青い」と全く正反対の意見がある。NASAの火星探査の写真を見ても、「あの写真はNASAの捏造だ」「色の処理をしてごまかしている」など百家争鳴という感じ。やっぱり人間が行って、人間の目で確かめるしかないのかも知れないなあ。