難波神社寄席 第三問

さて桂文喬さんの落語「宿題」からの最終問題。

4人姉妹で、サクランボを分けました。  
4人で分けると1個余ったので、鳥にやりました。  
食べようとしたら友達が来たので、友達に1人分あげました。  
3人分を4人で分けると2個あまったので、鳥にやりました。  
食べようとしたらお父さんが帰ってきたので、お父さんに1人分あげました。  3人分を4人で分けたらちょうど割り切れたのですが、最初に分けたときよりも10個ずつ少なかったのです。  
さて、サクランボは全部で何個あったのでしょうか。

関係が理解し難いので絵に表してみよう。

一番最後のさくらんぼ一人分の個数をn個とすると、このときのさくらんぼ全体の量は4n個となる。

①.一つ前の段階に戻って、「お父さんのさくらんぼを含めて」このときのさくらんぼの量は 4n+4/3n 個になる。
 A’+B’+C’=4*n だから A’=B’=C’=4/3*n

②.一つ前にもどって、A’+B’+C’+D’+2=4(4/3*n)+2 となる。

③.さらに一つ前に戻って、A=B=C=(友達の分)だから
 A+B+C+(友達の分)=4*{4(4/3*n}+2}/3
            =(64/9)*n+8/3

④.③で求めた数が4姉妹の合計数だから4で割ると一人分が出る。その数は
  最後の数であるnより10多いので、

  {(64/9)*n+8/3}/4=n+10 これを計算すると
    (64/9)*n+8/3=4n+40
       64n+24=36n+360
         64n−36n=360−24
           28n=336
             n=12
  nは一番最後のさくらんぼ一人分。その数は最初の数より10小さい。
  したがって最初のさくらんぼの合計数は (12+10)*4+1=89

  答え 最初のさくらんぼは合わせて89個あった。

なんとも面倒な計算になってしまった。

本当にこんな問題が小学校の宿題ででるのだろうか。
この落語「宿題」は桂三枝さん(現在の桂文枝さん)の創作落語。どこでこの題材を見つけ出してきたのか大変興味があるところだが、私にはよくわからない。

落語「宿題」では、上のような計算までは含まれていなかった。
わけのわからない問題に怒り心頭のお父さんは塾に文句を言いに行く、抗議に行く、怒鳴り込みに行く、実際はどのへんの段階なるのかわからないが・・・
「こんな問題をださないでくれ」と怒ったお父さんに、塾の先生はなんと返答したのか、それがこの落語「宿題」のさげ、おちになるのだが、そこは実際に聞いて確かめることをおすすめする。

しかし桂文喬さんはよく覚えているなあと感心する。
文章問題の問題文、解答のための数字や計算式、丸覚えするといっても意味がわからなければ暗記もできないだろうに、と思う。そうすると桂文喬さんも紙の上で計算式を何回も書いて覚えたのかなあと思ったりするが、古典の演目だけでなく、新作落語にも芸の幅を広げようとする前向きさには、私も見習わなくてはと感じた。

落語は繁昌亭だけでなく、いろんなところでおこなわれているようだ。
繁昌亭のようなしっかりとした寄席だけでなく、難波神社寄席のように大会議室のような部屋を寄席風にレイアウトを変えてやっているところもあるそうだ。
機会があれば、いろんな寄席に行ってみたいし、落語だけでなく上方演芸にもっと親しみたいと思う今日このごろだ。

 

 

 

 

 

難波神社寄席 第二問

さて難波神社寄席での桂文喬さんの落語、「宿題」の第二問。

兄は小学6年生、弟は小学2年生。学校に向かうために(同時に)家を出ました。  兄が家を出てから 21 分後、弟は 105 m遅れたので、1分間に 20 m速くあるいたところ、兄が学校に着いたとき、弟は 60 mに迫っていました。  兄が時速 5.1 kmで歩いたとして、家から学校まで何メートルでしょうか? 

内容が1回で理解できななあ。 落語のお父さんも怒っている。

父「ややこしいなあ」
父「20分歩いても学校に着かへんのか」
まあ,現在では学校の統廃合や校区の自由化などで電車やバスで学校に通う子どももいますからねえ。私学の子どもはずっと以前から電車通学でした。ところでこの落語は公立の小学校が舞台でした。

父「なんでお兄ちゃんが弟を待ったらへんのや」
それはそうですね。

お父さんは休んでいる部下に電話で助けを求めます。
部下のアドバイスは「105mを21分でわると、兄弟の速さの差が分速ででます。」部下はどんな考え方をしたのか整理してみましょう。

105➗21=5

次に兄の分速を計算します。→ 5100/60=85(m/分)
弟の分速は → 85−5=80

問題文の「1分間に20m速く歩いた」というのは、兄の分速よりも20m速く歩いたと考えると、この地点から弟の分速は → 80+20=100

この地点から弟の分速のほうが速くなり、その差は → 100−85=15
1分間に15mずつ追いついてくる事がわかる。

105mの差が60mになったのだから追いついたのは → 105−60=45
45m追いついたことがわかる。

1分間に15m追いついたのだから、45m追いつくのにかかった時間は
 45➗15=3(分)

21分後から3分経ったのだから、兄が歩いたのは 21+3=24(分)

兄は24分歩いているので、歩いた距離は → 85*24=2040

答え 家から学校までの距離は 2040m

落語を聞いているだけでは話についていくのが精一杯。

紙に書いてみてやっと「なるほど」とわかった。これは何算?
鶴亀算、旅人算、植木算なんていうやり方があったなあと思い出すが、すっかり忘れていた。

これを方程式を使ってみて解いてみよう。

絵に書いてみるとこんな感じ。

同じように兄の分速を出しておく。→ 5100➗60=85

分速の差を求めておく → 105➗21=5

弟の分速は 85➖5=80

20mスピードアップしたから 80+20=100

弟がスピードアップしたときからX分後に兄は学校に到着したとする。

上の図からわかるように 弟はX分に100Xmすすんだ。しかしまだ60mたりなかった。
弟から見ると兄はその間に105(m)と85*X(m)すすんでいる。
両者は等しいので、

100X+60=105+85*X となる。

これを計算すると、X=3 で 3分ごと言うことがわかる。

そうすると 距離は 85*(21+3)=2040

答え 2040m

どちらの解き方が簡単か、それは一概にいえないが、とにかく絵を書いて問題を整理することが大事だとおもった。
しかし途中で弟がスピードアップしたり、兄が到着しても弟が途中だったり、ちょっと複雑なのでその分しっかりと考えないとつまづいてしまう。難問の部類だと思う。

さてここまで二問考えてきた。
落語ではもう一問あった。それは次回にすることにしよう。

 

 

 

第33回難波神社寄席

ここは地下鉄御堂筋線の「心斎橋駅」と「本町駅」のあいだにある「難波神社」。 ここで年に何回か「難波神社寄席」が開かれる。

100人ぐらいが入りそうな大きな会議室風な部屋が寄せの会場。
講座も椅子を積み上げてもうせんをひいたようなもので、演者が歩くたびにグラグラと揺れるようで、見ている方が心配。

演目の最初は
「手水廻し(ちょうずまわし)」
 桂恩理(かつらおんり)さん。
身長180センチをこえる長身を折り曲げながら高座に上がる。

手水を廻す、というのは江戸時代の大阪での言葉で、顔を洗う道具(今で言う洗面器、歯ブラシ、歯磨き粉のセットを持ってくる)ということ。この言葉を知らない大阪以外の宿屋の店主と番頭さんが、この「手水を廻す」という言葉の意味を調べるために、大阪に出てで体験する話がメイン。
異文化体験のお話だと思う。

二席目は笑福亭銀瓶さんの「書割盗人(かきわりぬすっと)」。銀瓶さんの芸を見るのは何年ぶりだろう。相変わらずの男前だった。
「書割盗人」というのは、家財道具がなにもない貧乏長屋が舞台。壁に紙を貼って、そこに家財道具を絵で描いてもらい、豪華な部屋に住んでいるつもりになっている。
そこに泥棒に入ってきた男とのやり取りが面白い話。盗んだつもり、盗まれたつもりと話が進んでいき、さてその最後は・・・それは聞いてのお楽しみ。

三隻目は虹友美さんの「なないろ三味線」。以前に繁昌亭で見たことがある芸人さん。「なないろ」というのは三味線が七色なのか、声が七色なのか。そんなことを考えながら三味線によるベンチャーズなどを聞いて、落語とはまた違った楽しみがそこにはあった。

さてトリを飾るのは桂文喬(かつらぶんきょう)さんの「宿題」。これは桂三枝(当時)さんの新作落語。

初めて聞く話だったので、興味があった。
桂文喬さんの落語の枕がかわった。これまではお父さんの「ボラギノール」がよく出てきたが、今回は自分の子どものはなし。これからはそうなるのかなあ。
さてこの「宿題」という演目は、お父さんが子どもの算数の宿題をといていく内容。

さてその第一問は、

ある月夜の晩に、池の周りに鶴と亀が集まりました。頭の数はを数えると16。足の数を数えると44本ありました。鶴は何羽で、亀は何匹でしょう?

お父さんの反応がおもしろい。

お父さん「なんで月夜に鶴と亀が池の周りに集まるんや?」
たしかにそのとおり。
お父さん「頭の数を数えたら・・・? 頭見たら鶴か亀かすぐわかるやろ」
これもお父さんの言う通り。
こんな調子で話が展開する。会場は爆笑の渦。
勉強で笑うなんてめったにないことだ。

中学校なら方程式を立てて解ける問題。

  鶴の数をx羽 とすると 足の数は2x
  亀の数は (16−x)匹 足の数は4*(16−x)
  足の数の合計は44だから、 2x+4(16−x)=44
  これを解くと、x=10 y=16−10=6
  よって 鶴は10羽、亀は6匹 となる。
  検算してみよう。 頭の数は10+6=16
           足の数は 2*10+6*4=44
  でまちがいなし。

落語では次のように説明をしている。

子どもの宿題がわからなかったお父さんは部下に訪ねます。
部下がお父さんに説明したのは、私が学校で習った鶴亀算の方法。

 全部鶴だとします。頭の数が16だから足の数は
 2*16=32
 足の数の合計は44本だったから 44−32=12 で、
 12本不足している。
 鶴と亀の足の数の違いは、4本−2本=2本
 鶴の足に2本ずつたしていくと 12÷2=6 で
 鶴6羽に2本ずつ足をたして亀になる。
 だから亀が6匹で、鶴は16−6=10 で10羽

 
 
お父さんはこの説明がよくわからない。そこで部下は違う説明をする。
 
 

「鶴と亀がいます。鶴と亀に前足をあげろーと言いますとどうなります?」
「鶴はひっくりかえるわな」
「いいえ鶴は飛んでいきます。残っているのは亀です。亀が前足をあげました。
 足の数は何本ですか?」
「16かける2で32本」
「足の数は44本だったから、 44−32=12。

  前足は2本だから12わる2で6
 6匹が2本の足をもらって亀になります。
 鶴は16−6で10羽になります

という具合に、全部が鶴だったらという仮定を「前足を上げろ」という言い方で、鶴亀算を説明している。なるほどね〜、前足を上げて2本足にするなんていう説明は初めて聞いた。

会場では紙を出して計算している人があちこちにいる。 
「方程式をたてたらいいねん」という声も聞こえてくる。
会場の多くは桂文喬さんの知り合いが誘ったと言っていたから、それなりの年配の人。みんな久々の算数で頭をひねりながら楽しんでいそう。

あと二問の宿題があるのだが、それは次回に紹介の予定。