くちびるに歌を

映画「くちびるに歌を」を見てきた。
(下の写真はパンフレットの表紙)

IMG_20150228_0001

IMG_20150223_0001

映画「くちびるに歌を」の原作が左の写真にある本。

映画を見る前に原作を読んでいた。
映画がいいか原作がいいか、それは個人の好みだが、私の感想は映画の方に軍配をあげたい。

付け加えておくと、原作と映画とは違う作品である、ということが再確認されたということか。
小説は青春ドラマが盛りだくさんに展開されているが、映画はアンジェラ・アキさんの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」が主人公になっていた映画だと私は思う。 

アンジェラ・アキさんの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」は、2008年のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲として書き下ろされたもの。
アンジェラ・アキさんと中学生との交流をえがいたドキュメンタリードラマ「拝啓十五の君へ」「続拝啓十五の君へ」「拝啓旅立つ君へ、アンジェラ・アキと2000通の手紙」の3本がそのあとNHKで放映されている。

原作者の中田永一さんが映画のパンフレットに、小説を書くきっかけを聞かれて「アンジェラ・アキさんがNコン(NHK全国学校音楽コンクール)を目指す五島列島の合唱部を訪ねたドキュメンタリー番組を見たことです。同じ番組を見て感動した編集者に背中を押されたのも大きかったと思います」と答えている。

私も丁度その頃、この歌を歌って卒業していった子どもたちを見ている。
その時は携帯電話の着信音にこの曲を設定していた。
もう高校を卒業して、そろそろ成人になるのを迎える頃だろうか。
「手紙〜拝啓十五の君へ」のイントロを聞くたびに、そのことを思い出す。

インターネットでこの映画の感想を見ると沢山の意見が書かれている。
多くが肯定的だが、批判的な人もいる。
それでいいのだと私は思う。
一つのことを見ても見た人によって視点は違う。感想も違う。それが人間としての特質だと思う。人工知能ができないことがこの感性の多様性だとあらためて思う。

映画の公式ホームページに、この映画の写真をたっぷりに使ったミュージックビデオが紹介されている。「手紙〜拝啓十五の君へ」全曲が映画のシーンをバックに流れている5分もあるものだ。このミュージックビデオが映画の内容を紹介している。

アンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」MV 映画ver.

http://kuchibiru2015.tumblr.com

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

手紙 〜 拝啓十五の君へ 〜

               作詞・作曲 アンジェラ・アキ

拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろう

十五の僕には誰にも話せない 悩みの種があるのです

・・・・・・略・・・・・・

拝啓 ありがとう 十五のあなたに伝えたい事があるのです

自分とは何でどこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる

荒れた青春の海は厳しいけれど

明日の岸辺へと 夢の船よ進め

・・・・・・略・・・・・・

拝啓 この手紙読んでいるあなたが

幸せな事を願います

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小説で歌詞についての話がある。
歌詞の前半の「この手紙読んでる〜」は今十五のわたし。「ありがとう 十五のあなたに〜」は15年後の私。前半を女性コーラスで歌い、15年後を男性コーラスで歌うことで歌の思いが伝わると言う内容だった。
映画で実際にその場面があり、混声合唱の素晴らしさを初めて感じることができたのもこの映画を見ての収穫だった。

原作にない場面はいくつもあったが、おもしろかったのは汽笛のボーという音が音階のド、ということ。

ナズナのお母さんが、泣いているナズナに教会のピアノのドを弾いて聞かせる。
「汽笛のボーっていう音はドの音なのよ。
ボー、ボーと2回鳴らして出発するの。
泣いては、いけんよ。
出発、出発」

そして映画の最後、
連絡船にのっている柏木先生が出港の汽笛をきく。
ボー、ボー
「ドのシャープ」

真っ白な連絡船はどこまでも青い長崎五島列島の海を進んでいく。

出発、出発

背中をそっと押してくれる映画だった。