偏光板で遊ぼう②

偏光板について読みやすい本を探してみると、左の「偏光板であそぼう」(仮説社 板倉聖宣、田中良明著)が一番良さそうだった。

この本は仮説実験授業の形式を使いながら、読者に偏光板についての知識と理解を深めていくことができる本だ。
 (仮説実験授業については、「仮設社」がホームページを開いており、その説明がある)

さて、偏光板を2枚重ねて1枚をまわしていくと表面が真っ黒になってくることはよく知られている。では3枚ではどうなるのだろう。

このような問題を考える。 選択肢は
予想
ア、真っ黒く見える。
イ、少しは光が見えるようになる。

予想をもって考えていくことがポイント。さてみなさんの予想は?

斜めに重ねると、少し黒くなる。この上にもう1枚偏光板をのせると、

斜めにおいた偏光板の色は2枚のときと変わらず、3枚目においた四角形の、斜めの偏光板以外は真っ黒になった。

これはどう説明すればいいのだろうか?

本文では次のように説明されている。
「まず図のように偏光板Iに入った光を考えると、垂直方向の偏光(OY)だけが通過します。
 その光が、それと45度の角度の偏光板Ⅲに入ると、こんどは偏光の一部(OYのうちのOP分だけ)の偏光が通過します。
 そしてその偏光が偏光板Ⅱに入ることになります。
 ところが、その偏光は偏光板Ⅱと45度しか傾いていないのですから、この偏光の一部も偏光板Ⅱを通過できることになります。
 つまり、最初の偏光板Ⅰを出た偏光は、すぐに偏光板Ⅱに入ると出て来られなくなるはずなのに、二枚目の斜めになった偏光板Ⅲがあるため、その偏光の一部が向きを変えて出てくるので、3枚目の偏光板Ⅱも通過できるようになった、というわけです。」

偏光ってどんなこと?

なんとなく使っている偏光板。その偏光板の偏光とはどういうことなのだろう。

本の解説を私流にまとめてみる。
光のような電磁波は、「進行方向に直角に振動する波」(直角波)と説明されている。 太陽からの光の振動方向はいろいろな方向に振動する。上下、斜め、ぐるぐる回りながらやってくる電磁波もある。図のようにあらゆる方向に振動しながらやってくる。「進行方向に直角」だけでなく、ある特定の方向だけ振動している電磁波もある。このように「偏った方向だけに振動する波」のことを「偏波(へんぱ)」といい、光の場合は「偏った方向だけに振動する光」ということ、「偏光」という。

なるほど、ぐるぐる回りながらやってくる光もあり、あらゆる方向に振動している光から、ある特定の方向に振動する光を抜き出すのが、偏光板というようだ。

二枚の偏光板を重ねた時に、黒くなる現象を次のように説明している。

「図のように<垂直に振動する光>と<水平に振動する光>が混じった光が二枚の直行した偏光板を通るとします。もしも一枚目の偏光板が(図のように)<水平振動の光だけを吸収する向き>に置いてあると、そこを通過できるのは<垂直振動の光>だけです。つぎにその光が、縦向きに置いた偏光板に入るようにすると、その光の全部が通過できなくなってしまいます。
 このように、二枚の偏光板を直角に置くと、一枚目の偏光板を通り抜けた光は、二枚目の偏光板を通過できなくなるわけです。そこでどんな光もほとんど通さなくなるので、真っ黒に見えるようになるのです。」

そうか、光は吸収されることによって見えなくなってしまうのだな。
すべての光が吸収されてしまうと、人間には真っ黒に見えるわけなのか。
説得力のある説明だと思う。

おや? ちょっとこの説明は?、と思う人もいると思う。
これまでの説明の多くは次のようなものだった。

この絵を見ていると、格子の向きに沿って光の波がすり抜けていくようにみえる。
光の振動方向と直角の格子は、光を通さない。それがこれまでの説明だった。

ところがこの「偏光板であそぼう」ではそういった説明ではない。
「格子と同じ向きの光の成分を吸収し、それと直角の成分だけを通す」と説明している。これまでと逆の説明になっている。
実験的にはこの説明が正しいそうだ。ただこの実験結果が出る前に、上の囲みのような説明が流布していたため、それが現在も広く行き渡ってしまっていることになった。それは「電流はマイナス電荷の電子がプラスに向かって動いているのだが、説明としてはプラスからマイナスに電流は流れる」と教科書にものっているのと同じだ、とこの本で解説されている。

なるほど、この「偏光板で遊ぼう」は偏光についての最新の知識を紹介しているわけだ。

さて、今回は理論編のようになってしまった。次回はまた工作をしてみようと思う。