ベイマックス 4

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左の写真は3月に公開予定のドラえもんの映画の宣伝用のチラシから。
ベイマックスとドラえもん、どちらのロボットも、こんなロボットがあったら幸せだろうなあ、ほしいなあ、という感想を多くの人が持つロボット。
さて、ドラえもがいたら本当に幸せになれるのだろうか。
新井先生は「ロボットは東大にはいれるか」で、こんなふうに書いている。

ドラえもんが居る世の中になったら、のび太くんは何をして働いていくんだろう。ドラえもんがいたら宿題もしてくれるし、困ったことはみんな解決してくれる、その時、のび太くんは何をして暮らしていくのだろう。
ロボットに働かせてあそんでいればいい、と思うかもしれないけれど、ロボットが働いて得たお金は、ロボットを作った会社やその会社がある国だけじゃなくて、のび太くんのところにもちゃんとお金が回ってくるのかしら。ドラえもんと一緒にのび太くんもジャイアンも幸せになるには、どんな社会の仕組みを作っていけばいいんだろう。
私は、近代以降私たちが培ってきた「役に立つ」「便利になる」というのとは全く違うタイプの知恵や仕組みが必要になるような気がしてなりません。

うーん。私はうなってしまった。
確かにその通りのようにおもえる。
いろんな分野への機械化は人間の労働を変えてきた。辛い仕事から人間を解放し、身の周りの環境を住みやすくしてきた。
人が住みやすい社会にしていくために、学校などの教育機関で学び、社会へ出る準備をする。社会に出てからも学びなおして新しい社会に適用できるような仕組みもある。しかしその社会がこれまでにないスピードで変化する、しかもその質が予想したこともないようなものになっているのではないか、という疑問がわいてくる。
ベイマックスの映画の世界とは逆に、「ターミネーター」や「マトリックス」の世界もあると思った時、ホーキング博士の警告があることを知った。

ターミネーター2

ーーーーーーーーーーーーーーーーーBBCのインタビューに対して、ホーキング博士は次のように語った。「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」

ホーキング博士は「人工知能が自分の意志をもって自立し、そしてさらにこれまでにないような早さで能力を上げ自分自身を設計しなおすこともあり得る。ゆっくりとしか進化できない人間に勝ち目はない。いずれは人工知能に取って代わられるだろう」と語った。

人工知能の進化に人類が歩調を合わせることができる能力を、人工知能が上回ることになる、いわゆる「技術的特異点」についてホーキング博士は既に懸念を表明している。5月、イギリスの新聞「インディペンデント」に掲載された論説で博士は「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」と述べている。

こう懸念しているのはホーキング博士だけではない。スペースXおよびテスラモーターズのCEOであるイーロン・マスク氏は、先月「人工知能にはかなり慎重に取り組む必要がある。結果的に悪魔を呼び出していることになるからだ。ペンタグラムと聖水を手にした少年が悪魔に立ち向かう話を皆さんもご存知だろう。彼は必ず悪魔を支配できると思っているが、結局できはしないのだ」と言っている。

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「技術的特異点」という新しい言葉を知った。
人工知能(ロボット)が人工知能を使って自分自身を進化される可能性があるというのだ。そしてそのスピードに人間が追いつけなくなる時、それが技術的特異点であり、人間の存在意義とは何かと突きつけられる時と私は理解した。

もちろんホーキング博士の意見に反対する人達もいる。

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◎ 一方、英オックスフォード大学(Oxford University)で未来技術の影響に関するプログラムを率いるニック・ボストロム(Nick Bostrom)教授は、人工知能が人間を超えるという脅威は切迫していないと語る。同氏は軍用無人機や自動運転者、工場で働くロボットなどを挙げ、現在使用されている応用法や、近い未来で使用される見込みの応用法では、人工知能はまだ人間の手中にあると指摘する。

 とはいえ、同氏は「機械の知能は最終的には生物の知能を超えるだろう。そしてその過程で人間の存在が大きく脅かされる危険性もある」とも語っている。

◎ 警鐘を鳴らす人ばかりではない。シアトルのアレン人工知能研究所のCEOであるオレン・ エツィオーニ氏は、先日ウェブサイトRedditのAMA(何でも質問に答えるスレッドで「Ask Me Anything」の略)で、「私は人工知能を恐れていませんし、みなさんも恐れる必要はありません」と投稿した。

エツィオーニ氏は、次のようにも説明した。「たとえば100万年後、特異点を迎える可能性はあります。けれど賢いコンピューターが世界制覇するという終末論的構想は『馬鹿げている』としか言いようがありません。私は、この分野で25年以上研究を続けている立場から、人間が進歩し続けても、知能が暴走するようなことはないと申し上げたい。文字を読み、理解できるプログラムはどんどん進化しているが、そのプログラムがどこかに勝手に走り出してしまう危険は全くないだろう」

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ホーキング博士のように、世界的に有名な科学者が発言すると、賛成意見も反対意見も出てくる。私にはどちらが正しいか即断することはできないが、考える機会を提供してもらっていることはよくわかる。
ターミネーターもベイマックスもチップ一つでその性格がかわるシーンが描かれていた。現実はそんな簡単なことではなく、私たちの知らないところでコンピュータへの依存が進んでいることは確かだ。
もう少し考えなくては。

参考にした記事。

http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/03/stephen-hawking-ai-spell-the-end-_n_6266236.html

http://www.afpbb.com/articles/-/3033764

 

 

 

ベイマックス 3

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前回紹介した新聞記事の「判断基準が統計では機械に負ける」の部分が上。
ベイマックスも10000通りの医療データが内蔵されているという設定だった。

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さて現在のロボット(人工知能)は、東大の入試に合格することができるのだろうか。
新井先生のプロジェクトの現在の段階は、

 現在の「東ロボ君」の成績は、あるマーク式の模試では、科目数の少ない私立大学型なら、全体の7割の大学で合格率80%以上だというから驚きです。東大に特化した模試の数学では、問題文の言語処理で一部人の手を借りたものの、偏差値60を取りました。

ということだから、これは驚いていいことなのだろう。

ロボットが大学の入学試験を受けるっと言っても、人型のロボットが入学試験場に行ってテストを受けたわけではない。試験のデータをどんなふうに入力しているのかわかる写真がないので、具体的なことはわからないが、試験問題をデータ化しそれを解かせるのだろうと思う。
新井先生はこんなふうに説明されている。

ロボットに問題を解かせるためには、問題を何らかの形の「計算可能な関数」で表わさなければなりません。言い換えれば、関数で表せない問題は解けないのです。だから、「正しいものを選べ」という問題には答えられても、「間違っているものを選べ」はダメなのです。

意外な弱点はまだあります。東ロボ君は音声認識ができるので、英語のリスニング問題はほぼ完璧に聞き取ることはできたのに、正解できませんでした。「ケーキをクリームとブルーベリーでデコレーションする時、それぞれをどう飾るか」という会話を聞き、正しいイラストを選ぶ、という問題でした。しかし東ロボ君は、ブルーベリーとクリームで飾ったケーキを見たことがなかった! 人間なら生まれて初めて見たものでも判断できますが、ロボットはデータがないものはお手上げです。つまり、現在のロボットは、できること・できないことの差が極端なのです。

ブルーベリーのケーキ

前回紹介したように、コンピュータは図形認識が弱いのだ。
人間なら、見たこともないブルーベリーのケーキであっても、問題文から想像してブルーベリーの飾り方を判断することができる。しかし今のコンピュータはそれができないということなのだ。

(ブルーベリーのケーキの写真はインターネットより。またゴチックの記事は以下のホームページより引用した。

 

http://www.wakuwaku-catch.net/report%E6%96%B0%E4%BA%95%E7%B4%80%E5%AD%90-%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80/

英語のリスニングは音声認識によってなされることはわかるが、文章の読解はどのような工夫がなされているのだろう。本の説明をまとめてみると、読解の中でも問題文の傍線部分についての設問は、 次の三つのステップで解くという。

1.根拠領域抽出する。
 本文の先頭から傍線部を含む段落までを取り出す。(解答は傍線部分より前の段落にあるという考え方から)

2.選択肢の事前選択をする。
 5つの選択肢のうち、一番仲間はずれの選択肢を除外する。(5つの選択肢からまず1つを除外して四択にする)
その方法は、選択肢がどれくらい似ているかを計算する(解答の選択肢はほぼ同じような内容であり、あまりかけ離れている選択肢を探して除外するということ)
その方法は、何パーセントの文字が共通しているかを測る。
他の選択肢との平均類似度が最も低い選択肢を排除する。

3.照合
  根拠領域と選択肢で共通する文字数を計算する。共通する文字数の一番多い選択肢を解答に選ぶ。(なんとまあ! 文字の数を数えて、共通する文字数の一番多いもの、それを答えとする。えー、そんなんでいいの?)

小説は本文に書かれていない心情が問われているので、表面上に出てくる言葉を見ていても解けない。ではどうするのか。
その心情の部分に網をはってみる。感情をあらわす言葉に焦点を当てて、登場人物の感情のカテゴリー、楽しいのか、怒っているのか、悲しいのかで分類し、そのような心情語の辞書を用意する。そして本文と、選択肢に現れる心情語を見つけ、それらの感情カテゴリが一致したなら、その選択肢にボーナス点を与える。こうやってみると半分くらい解けるという。

本文を理解して設問に答える、というのではないのだ。意味を理解するというのはコンピュータはとてつもなく難しいことなのだ。だから統計的な手段を使って、「近似する」というのがコンピュータの方法なのだ、ということがわかった。
そしてこの「近似」の精度を高める研究と作業が行なわれているというわけだ。

ベイマックスもヒロたち人間の感情がわかって応答しているわけではないことは、映画の前半ではよくわかる。しかし、人間の感情移入によってベイマックスが心のケアをしてくれているように感じてしまう。そこが重要なのだと思う。
もう少し考えてみたい。