古事記を英語で読む5

黄泉の国2

Izanaki started to run away.
He heard his wife’s voice from the dark,
“You borke your promise!”
But Izanaki didn’t stop.
He continued to run along the long, dark road.
He felt something chasing him.
They were scary female monsters.
Izanaki pulle off a black vine from around his head and therw it at them.
It started to grow roots in the ground and grew into delicious-looking garpes.
The female monsters stopped chasing Izanaki to eat them.

「『約束を破って、私に恥をかかせた」と怒る伊耶那美命が、黄泉醜女(よもつしこめ)という恐ろしい女の魔物たちにあとを追わせたからです。
なんとしてでも黄泉醜女を振り払いたいとお思いになる伊邪那岐命は、頭に結んであった黒い蔓草の髪飾りをほどかれると、それを後ろに投げつけました。
するとどうでしょう。地に落ちた黒い蔓草の髪飾りは、みるみるうちに根をはやし葉を茂らせて、黒くみずみずしい山ぶどうの実をいっぱい実らせたのです。・・・追ってきた黄泉醜女たちは・・・この甘い山ぶどうの実にむしゃぶりついたのです。」(橋本治さんの「古事記」より)

橋本治さんの注に、「投げつけました」についての解説がある。
「追跡者に追われている者が、逃走中にある物を投げると、それが変化して追跡者の進行をさまたげるという話は、世界各地に数多く分布している。たとえばロシアでは、追われた女がクシ・火打ち石・ひうち道具を投げると、森・山・河に変わって悪魔を阻んだという伝説がある」
この物を投げて、何かに変化させるということはこのあとの展開に関係があるので覚えておこう。

 But soon they started to chase him again.
So Izanaki took a comb out of his hair.
When he threw it down onto the ground, bamboo shoots appeared.
The female monsters stopped to eat them, too.
Izanaki thought,
“Now I am safe.”

今度は髪につけていたクシをなげると「たけのこ」に変わってしまった。
このクシは竹製だったのだろう。
(bamboo shoots  bamboo shoot たけのこ の複数形)
ここでも追手を逃れるために物をなげると、変化して追跡者を妨害するという場面が出てくる。

But then he heard a noise like thunder.
It was the sound of 1500 soldiers and the eight evil monster gods running toward him.
Izanaki started to run again.
He was almost out of Yomi, but the monsters were still behind him. Then he noticed a peach tree.
Izanaki threw peaches at the evil group.
It worked!
The monsters ran away screaming.

この部分の英語は、里中満智子さんのマンガで内容がつかめると思う。
1500人の兵士というのは誇張表現だろう。とにかくたくさんの追手がせまってきた。そのときに投げた桃が素晴らしい効果を発揮する。
ここで投げた桃は三個、「其の坂本なる桃子を三箇取りて待ち撃てば」と原文にはある。三個の桃は姿を変えずに飛んでいく。
橋本治さんの「古事記」には、
「桃 古代から桃には呪力があると考えられていた。桃だけが投げられたあともその形を変えていないのは、その呪力のため、わざわざ何かに変化させる必要がなかったからだろう」とある。

さて追っ手をのがれた伊邪那岐命は、ここで最後に伊耶那美命と対面する。

 

 

古事記を英語で読む4

黄泉の国

 In a deep,dark place underground, there was the Land of Yomi, the land of the dead.
Izanaki walked to the door  of the big palace of Yomi.
He called out to his dead wife, “My dearest wife, come back home with me.”
Izanami answered.
“My dearest husband, I wish you had come earlier.
I have already eaten food cooked in this land.
Once you eat that food, you cannot leave.
But let me go and ask the gods of Yomi if I can leave with you.
Just promise me not to look inside.”
“I promise.”

「美しい私の妻、伊耶那美命よ。あなたとわたしとで作らねばならない国は、まだ作り終えてはいないのですよ。ここにいてはいけない。いっしょに帰りましょう」
「くやしいと思います。どうしてあなたは、もっと早くおいでになってくださらなかったのですか。
私は黄泉の国のかまどで料理されたものを食べてしまいました。
わたしはもう黄泉の国の者なのです。 わざわざ黄泉の国までおいでになってあなたのお心を、ありがたく思わなければいけません。
そのお心を思えば、私だとて帰りたいと思うのです。ですから私は、そのことを黄泉の国の神々とご相談いたしましょう。
お願いが一つあります。どうか私がその黄泉の国の神々と話し合っている間、中を覗かないでください。私の姿を見ないでください。」(橋本治さんの「古事記」より)

Izanaki waited, but Izanami did not return.
Izanaki became worried and broke his promise.
He looked inside the door.

見てはいけないという約束を破ってしまった伊邪那岐命が見たものは、

It was very dark and smelled very badly.
Izanaki went inside and saw his wife’s dead body with baby flies coming out of it.
Eight gods of the Land of Yomi were also sitting on top of it.
Although they were called gods,they were actually evil monsters. Izanaki started to run away.
He heard his wife’s voice from the dark,
“You broke your promise!”

橋本治さんの「古事記」から、その部分を抜書きすると、

「暗い奥で、青白い炎のようなものが光っています。ゴロゴロときみのわるい地鳴りのような音がします。くさったようないやな匂いがしました。
・・・動いていると思われたのは、ウジ虫でした。暗い中に横たわっている伊耶那美命の体の周りを、びっしりとウジ虫がとりまいているのです。
横たわった伊耶那美命の頭の上には、たいそう醜悪なそして大きな魔物が座っていました。・・・頭、胸、腹、股、両手、両足の先に座っているのは、神とは名ばかりの醜悪な魔物たち、ー「雷(イカヅチ)」と呼ばれる黄泉の国の神々でした。」

橋本治さんの「古事記」には、「雷」の説明が注として記されている。

「原文には『大雷、火雷、鳴雷、伏雷、土雷』などと記されている。古代中国では雷は春から夏に地上に降りて雷獣というものになると考えられていた。雷獣は秋から冬にかけては土の中に伏していて、豚や羊に似て、食べることもできるとされていた。それから考えると、ここの「伏している雷・土の雷」というのも、雷を雷獣のようなものと考えていたことから思いついたものだろうー略ー」

(上に引用した、こうの史代さんのマンガには、橋本治さんの紹介している5人の雷の他に、黒雷、折雷、若雷の3人が描かれていて、合計8人の神の姿がわかる)

「約束をやぶったわね!!」と怒る伊耶那美命。
古事記の原文では「吾に辱見せつ(あれにはじみせつ)」とある。
橋本治さんの「古事記」には、「わたしに恥をかかせましたね!」と訳されている。

里中満智子さんのマンガでは、ギリシャ神話にもよく似た話があると紹介している。
古事記とギリシア神話によく似た話があるというのは、人間というものの性質なんだろうか?
里中満智子さんは「男ってどうしてこうなんでしょう? 愛する妻が生き返るチャンスなのにがまんできないなんて・・・」と書かれている。確かにそうかもしれない。

さて、このあと伊邪那岐命はどうするのか?

 

 

 

古事記を英語で読む3

火の神と伊邪那岐命(イザナキノミコト)

But then something bad happened.
Izanami died because she was badly burned while bringing the fire god into this world.
Izanaki cried and cred because his wife was now gone.
“Oh, why did hyou die, my dearest wife?”

Izanaki buried his wife in the mountains and then looke at the fire god with anger.
“You killed my wife!”
He pulled out his sword and killed the fire god by cutting off his head.
The fire god’s blood ran down the sword and created 16 new gods.
This is the reason why swords are believed to have special powers today.

橋本治さんの「古事記」から、上の文章の後半を記すと、
「伊耶那美命の埋葬を終えられても、伊邪那岐命の悲しみは癒やされませんでした。
『にくいのはこれだ』と、伊邪那岐命は、腰につるされた、長さが十(とお)つらねたほどもある剣をぬかれました。
 この剣の名は「アメノオハハリ」と申します。鋭い切れ味を持つアメノオハハリを抜かれると、伊邪那岐命は、伊耶那美命を死に追いやってしまった火の神の首をはねてしまったのです。」

左の「こうの史代さんの書かれた古事記」の、赤い丸で印したところが、「十拳剣(とつかのつるぎ)」を抜いて、火の神の首(迦具土神かぐつちのかみ)の頸(くび)をはねたという記述部分。

上の英文にあるように、多くの神々が誕生する。

The fire god’s blood ran down the sword and created 16 new gods.

橋本治さんの「古事記」によると、
「火の神の体から飛び散った血は伊邪那岐命の剣の刃をぬらし、そこから岩の上にしたたり落ちました。刀の切れ味の鋭さ、強さを表す神々、イワサクの神(岩祈神)、ネサクの神(根祈神)、イワツツノオの神(石筒之男神)は、その血から生まれました。
火の神の体から飛び散った血は、また剣のつばもぬらし、その血は別の岩にもしたたり落ちました。そこから生まれ出たのは、切り殺す刀の威力のはげしさ、恐ろしさを表す神々、ミカハヤヒの神(甕速日神)、ヒハヤヒの神(樋速日神)、タケミカヅチの神(建御雷之男神)です。
火の神の体から飛びちった血は、さらに剣の柄(つか)から伊邪那岐命の手も濡らしましたが、そこからは雲を呼ぶ龍の神(闇淤加美神 クラオカミノカミ)、雨を降らす神(闇御津羽神 クラミツハノカミ)が生まれました。・・・」

ここまでで8人の神が誕生している。

左は「こうの史代さんのぼうるぺん古事記」の、火の神からの多くの神が誕生する部分の一部。

  1. 正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ、迦具土神の頭から生まれる)山の頂の神
  2. 淤縢山津見神(おどやまつみのかみ、迦具土神の胸から生まれる)山の中腹の神
  3. 奥山津見神(おくやまつみのかみ、迦具土神の腹から生まれる)深山の神
  4. 闇山津見神(くらやまつみのかみ、迦具土神の性器から生まれる)谷間の神
  5. 志藝山津見神(しぎやまつみのかみ、迦具土神の左手から生まれる)樹木の神?
  6. 羽山津見神(はやまつみのかみ、迦具土神の右手から生まれる)麓の山の神
  7. 原山津見神(はらやまつみのかみ、迦具土神の左足から生まれる)峰が平らな山の神
  8. 戸山津見神(とやまつみのかみ、迦具土神の右足から生まれる)端っこの山の神
    これで8人の神、合わせて16人の神が誕生している。

This is the reason why swords are believed to have special powers today.

この部分の説明に相当するのが、橋本治さんの「古事記」では、

「切れ味の鋭い剣は、飛び散る火花の中からうまれますが、火は雲を呼び、やがてその雲は雨をもたらします。火の中から生まれる剣というものには様々な霊力が宿っていますが、それは、剣の中からこのような神々が生まれたからなのです。」

と書かれている部分と思われる。

 Izanaki wanted to see his wife again very much.
But his wife was now in a place where dead people were, the Land of Yomi.
Izanaki couldn’t give her up.
So he decided to go to the Land of Yomi amd bring Izanami back with him.

黄泉の国から伊耶那美命を連れ返そうと考える伊邪那美命。
そこからの展開は・・・・・

次回の放送は
The Land of the Dead