エッシャーの絵を立体的に再現する

上の写真はエッシャーの絵「上昇と下降」を3次元に復元したもの。
原図は下の写真。
この絵の出展は下のホームページによる。

https://www.wikiart.org/en/m-c-escher

この図について、エッシャー自身は次のように言っている。

「この連続的な階段のテーマは私自身の発明ではありません。英国の数学者L・S・ペンローズ教授に負うものです。」

ペンローズについて調べてみると、

ロジャー・ペンローズSir Roger Penrose, 1931年8月8日〜)は、イギリス・エセック州コルチェスター生まれの数学者、宇宙物理学・理論物理学者。

ホーキング博士とともにブラックホールの特異点定理を証明した人ということだ。
エッシャーとの関係でいうと、「ペンローズの三角形」「ペンローズの階段」を考案し、エッシャーに大きな影響を与えたといわれている。

 

 

 

 

 

 

エッシャーの絵を立体的に再現する方法を本で見つけた。

この本には、理論的にエッシャーの絵を再現する方法が書かれている。
ただし、私には難しかった。
大学の講義でエッシャーについて研究されているようで、行列式を使って説明がされている

その理論的なところは飛ばして、私の理解できたところを紹介すると

「部分的に正しい絵を組み合わせながら、全体として矛盾を含む構造に仕上げることによって、描くことができる」

「だまし絵を作るためには、正しい絵の部品が絵の中で互いに無理なくつながるように、部品の大きさを調整することが大切である」

しかしこれだけでは上の写真「上昇と下降」のような、立体的な再現はできない。
ここに視点を動かす、視点を固定してみる、いいかえると「この場所からは、この視点からは、確かにそう見える」という場所を作り出す、見つけることがポイントなのだ。

一番上の立体的な「ペンローズの階段」は、「エッシャー展」の売店で買った本を組み立てたもの。

左の「トリック・クラフトBOOK」という本で、小学館の本だ。

表紙からわかるように、面白そうなトリック・クラフトが紹介されている。
目の錯覚を利用したクラフトで、アニメーションの原点といわれている「フェナキスティ・すコーブ」や「ゾートロープ」の型紙も入っている。
エッシャー風の「無限階段」や、「ねじれた矢印」や「不思議な道」という、これもエッシャー風の工作が紹介されていた。

では、この「無限階段」、エッシャーの「上昇と下降」の絵はどのようにして立体化されているのか。種明かしは下の写真。

赤い丸で囲んだ部分に注目。 ここはつながっていないのだ。 つながっているように見える場所を探し、そこでシャッターを切ったのが一番上の写真。

上の左の写真は、この本の表紙を拡大したもので、「不思議な道」と名前がつけられている。上に上がったはずなのに、下に下がっていくという道。
本の型紙でつくったのが、右の写真。どこにトリックがあるのかは一目瞭然。
これも視点か動かすことで、「不思議な道」を再現することができる。
この種の工作はよほど精密に作らないと、本の表紙の完成品のようには出来ない。

これは「エッシャー・マジック」の本を書いた杉原厚吉さんの本。
「超ふしぎ体験! 立体トリックアート工作 キットブック2」という書名の本。金の星社が出している。
そこに「無限階段」の工作がのっていた。
それを作ったのが上の写真。
これは階段が全部つながっている。最初の「トリック・クラフト」のように、どこかが離れている、というものではない。
見る角度、位置をいろいろと試してみて、本の表紙のようにみえるポイントをさがした。
この工作もなかなかシビア。完成したものをイメージしているつもりでも、つなぎ目の角度や階段の位置を決定するのが微妙だった。

こうしてみると、おなじ「無限階段」「上昇と下降」であっても、立体的に作るという方法はいろいろとあるようだ。エッシャーの作品の広がりを感じて面白い工作だった。