はやぶさ2 リュウグウに到着

朝日新聞6月27日(水)の夕刊の一面。
トップに「はやぶさ2 リュウグウ着」の見出し。

6月27日午前9時35分、はやぶさ2がリュウグウ上空20キロの軌道で並走していることが確認されたそうだ。
これから約1年半の観測(その中には3回の着陸と試料採取がふくまれる)をし、2019年の11月から12月のあいだに地球に向けてリュウグウを出発。
約1年の飛行の後、2020年11月から12月に戻ってくるという。

上の写真は、2010年7月末に相模原のJAXAに行ったときに私が撮った「はやぶさ」の写真。もちろん原寸大の模型だが、これぐらいの大きさだった。
はやぶさ2はほぼ同じくらいの大きさ。

上の写真は2014年11月29日に大阪市の科学館に行ったときに撮ってもの。ちょうど「はやぶさ2」の企画展が行われていて、実物大の「はやぶさ2」の模型が設置されていた。

この写真は相模原のJAXAにある「はやぶさ2」の実物大モデル。
「はやぶさ2」がサンプル・リターンして地球に戻ってきたときには、この模型が大人気になるに違いない。

上の相模原の「はやぶさ2」の写真は、左の冊子から引用した。

表紙は2018年1月18日に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた「イプシロンロケット3号」の発射の瞬間の写真。
イプシロンロケットも,日本産のロケットとして活躍が期待されている固体ロケット。

この冊子には「はやぶさ2」のミッションマネージャーの吉川真(よしかわ まこと)さんが文章を寄せている。
今後の「はやぶさ2」のミッションのスケジュールが書かれていたのでここに引用させていただく。

6月21日〜7月5日までに「小惑星到着 高度20Km」となっているが、ここまでのミッションが終了した。
新聞やテレビ報道でも言っていたが、ここからが本番。
2年後に地球に帰ってくるまでの活躍に目がはなせない。

「はやぶさ2」についての詳しい情報は下記のJAXAのホームページに有るので参照されたい。

http://www.jaxa.jp/projects/sat/hayabusa2/pdf/sat33_fs_20.pdf

 

 

 

サイエンス・カフェ

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ここは地下鉄「本町」と「肥後橋」の間にある靭公園。その公園の一角にあるのが「大阪科学技術館」。ここであった「サイエンス・カフェ」を紹介。

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「サイエンス・カフェ」というのは、パンフレットによると、「ヨーロッパで始まった活動で、飲み物を飲みながら、科学者と一般の参加者が科学に関するテーマについて気軽に語り合い、理解を深めていくことを目的にした会」だそうだ。
私が参加したサイエンス・カフェのようすを紹介してみようj

1.放射線の基礎知識を楽しく学ぼう

福島原発以降、放射線について学ぼうと思っていたので丁度良い機会だった。
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いろんなお話があったが、そのうちの二つ三つを。
上の写真右の実験は、紙の上に手をおいてしばらくそのままにしておく。
回収されたその紙は、スタッフの人がアイロンなどをあてて何か処理をしている。
IMG_0154返ってきた用紙が左の写真。
手の形がきれいに影になって見える。
これは、天井の蛍光灯からはわずかだが放射線が出ている。その放射線が手のひらによって遮られる。放射線が当たったところ(手のひら以外)は感光し明るくなる。手のひらによって放射線が遮られたところは感光していないので、色は暗くなる。ということだそうだ。つまり、放射線が蛍光灯から出ているが故の現象ということなのだ。
霧箱1この写真は霧箱によって放射線を見るという実験。 二階にもう少し本格的なものがある、というので後で見に行った。放射線の通った跡2

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これは放射線の線量計。
この部屋は、
0.074μSv/h
人体に影響与える放射線の値が、1時間に0.074マイクロシーベルトという意味。
関西は平均して、0.08μSv/h
関東は平均して、0.06μSv /h
で、関東と関西でちがう。これは関西は花崗岩が多く、その花崗岩からの放射線を広く浴びる結果になる。関東は関東ローム層によってその影響が押さえられている。世界でも地域によってその値は違っている。
自然界における放射線は様々にあり、植物からもわずかの放射線がでている。それらを全て合わせると
日本の平均は、年間に2.1ミリシーベルトだそうだ。
(2.1ミリシーベルト=2100マイクロシーベルト)

放射線には三つの単位があり、
放射能の強さ・・・ベクレル(Bq)・・・雨に例えると1秒間に降る雨粒の数
人体への影響・・・シーベルト(Sv)・・・雨によって体に及ぼされた影響
物質に吸収される量・・・グレイ(Gr)・・雨にあたって濡れた水の量

という説明があった。この辺のことはもう少し勉強して機会があれば書いてみたい。

2.少年少女時代からの化学入門

スライム作りもあるということなので、小学生の参加が多かった。

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理化学研究所の関口さんのお話と実験。上の写真の右はスライムを作っているところ。飽和溶液だとか化学反応だとか難しい単語が出てくるが、子どもたちはスライム作りを楽しんでいた。
スライムは「ホウ砂」と「洗濯のり」でつくられている。スライムを触っても濡れないのは「化学反応でできあがった物質は編み目構造になっていて、その編み目の中に水が閉じ込められているので、濡れない」という説明だった。

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上の写真左が、できあがったスライム。上の右の写真は、水が閉じ込められていて濡れない、というもう一つの例。
これは「高吸水性高分子はどれくらい水を吸収するのか?」という実験。写真のように傾けても逆さにしても、吸収した水がこぼれない。高吸水性高分子は、紙オシメに使われていると説明があった。なるほど。

 

3.地球が暖かくなると………

地球温暖化について疑問もあったので参加してみた。

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株式会社木村計測の濱口さんのお話。濱口さんは太陽光発電についてのお仕事をされている人らしい。太陽と地球環境という、大きな視点での話だった。
私がおもしろく感じたのは、
◯地球温暖化といわれているが、この100年間で日本の気温の上昇は
 1℃の上昇だということ。
◯100年間の海面の上昇は20cm程度だということ。
そして、今後の100年間での気温の上昇は
 5℃の予想。
海水面の上昇は、
 80cm程度の予想。というところだった。

上の右の写真は南極の氷による地球の気温の変化のグラフ。
確かにグラフの右(現代)は、グラフの値は大きいが、過去10万年前の気温よりは低い!そうだ。何か衝撃的な事実。
地球温暖化はCO2の増加によるとマスコミではいっているが、どうもそれだけが原因ではなさそうだ。10万年前には現在のようなCO2の量ではなかったはず。
濱口さんは、短期的にみるだけではなく、長期的に見ることが大事ということを強調されていた。温暖化と言ってるが、地球が氷河期にの時期に入ってくるのがこれまでの歴史から見たサイクルになっているそうだ。
もっとも氷河期が来るのは10年先、50年先という短い単位ではないけれども、、、

温暖化対策として、植樹、節電、木材による発電、風力発電、地熱エネルギーの利用などが考えられているという説明もあった。
CO2という物質は、CとOに分解することが難しい。
では、光合成で植物がやっているのだから、それを産業化できないのか?という質問があった。
「産業化には莫大な費用がかかる。産業界、政界にその動きがない」という返答が。これもまた私にとっては衝撃的な話。

子どもたちには難しすぎた話かもしれないが、おもしろかった。

4.「はやぶさ2」と「日本人宇宙飛行士の活躍

「はやぶさ2」の現状を知りたかった。

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の佐々木さんのお話。今回のサイエンス・カフェのなかで一番人気のようだった。ホームページによると満員御礼だそうだ。
子ども向けの話なので、はやぶさ2の今後の活動予定などは私にとっては知っている話が多かった。

ソユーズロケットでの打ち上げの場面の鮮明な映像や、JAXAによるロケット打ち上げ場面は大きな画面で見ると、迫力満点だった。
新しく知った知識は、オリオン座のペテルギウスが星の寿命としては末期にあるということ。640光年先の星だから、640年前に爆発していたら超新星として爆発するところが、今日にでも見られるかもしれない。ペテルギウスのないオリオン座が見られるようになるかもしれない、ということだ。いつなのかはだれも予想できないそうだ。なるほど、、、、。

私が長い間疑問に思っていたことが解決したことがある。

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IMG_20160501_0003 上の写真二枚は、左にある冊子
「第57回科学技術週間 57th Science & Technology Week 平成28年4月18日(月)ー24日(日)」(大きさはB6サイズ)からコピーした写真。

上の写真の解説は、「国際宇宙ステーション(ISS)滞在中に油井亀美也宇宙飛行士が撮影した地球の写真。写真の上中央あたりの白い丸が金星・・・」とある。

下の写真の解説は「油井亀美也宇宙飛行士が撮影した国際宇宙ステーション(ISS)から見た星空と地球の夜景の写真です。「きぼう」日本実験棟の下、写真中央右側にひときわ白く光っている星が、おおいぬ座の一等星シリウス、左側にはオリオン座の赤く輝く一等星ペテルギウスが写っています。」(でました、先ほどのペテルギウスが、、、)

見開きのページをコピーしているので、中央部に折り目があるが、説明はわかる。
二枚の写真を見て私は喜んだ。それは下の写真に満天の星が写っているからだ。

上の写真はよく見る写真。真っ暗な宇宙空間と金星のような地球に近くて光っている星が写っている写真。
私はずっと確かめたかったとことがある。それは「宇宙では満天の星が見えるのだろうか?」ということ。モンゴルで見た夜空のような満天の星、そんな星空が見えるのだろうか、と言う疑問だった。
JAXAやNASAの写真の多くは上の写真のような星の見え方。
この写真を持って講師の佐々木さんに聞いた。

「宇宙空間では満天の星は見えますか? 月に行ったアポロ宇宙船の飛行士は、宇宙船の窓から満天の星が見えたのですか?」

回答は「見えます。夜の側にいれば、月からも宇宙船からも満天の星が見えます。」
写真は露出調整のため、写したいものが写真に撮れるようにする。そうするとどうしても星の写りは悪くなる。星と宇宙空間と地球の明るさの露出差が大きすぎるのだそうだ。

アポロ宇宙船の中でも、船内を暗くすれば人間の目に星が見えるでしょう。ということだった。月面でも夜の側にいれば、満天の星が見えるそうだ。ただ満月の空だと月明かりで星が見えにくくなるように、地球がポッカリと浮かんでいるとまた見え方が違ってくるのは予想される。
人間の目のものを見る能力と、カメラのレンズの差がここにあるようだ。

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宇宙空間に浮かぶ星々は、人がそこに焦点を当てればこんなふうに見えるのだろう。

「ただ、空気がないために星はまたたきません。そして太陽は青白く光っています」ということだった。なるほど、またたくとまたたかないとでは、また人間の目の印象はまた変わってくるだろう。夜空に浮かぶ星々という感じではなく、真っ黒な空にはりついたような星々なのかもしれない。ここは実際行ってみないとわからないところ。残念だ。

二日間のサイエンス・カフェの様子は以上。
おもったよりも楽しかったし、収穫も多かった。これからは「科学技術館」に目が離せないなあ。

 

 

 

 

2016年1月1日 初日の出

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2016年の初日の出。
国立天文台のホームページでは、大阪の初日の出は7時5分となっているが、上の写真は7時21分頃のもの。 葛城山から昇ってくるので、それだけの時間が必要なのだ。写真の左端にあるのが二上山。

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左の写真は6時40分頃の写真。

上に見える星は金星。
明けの明星と呼ばれている。
日の出は7時5分でも、太陽の光は偉大。
写真で撮るともう東の空は明るんできている。

太陽が昇る頃には、最初の写真のようにもう金星は見えない。

金星といえば惑星探査機「あかつき」の奇跡的な軌道修正成功が昨年の年末の明るいニュースだった。
今年には「あかつき」による金星観測がはじまる。また「はやぶさ2」のスイングバイ成功も忘れてはならない。「はやぶさ2」は2020年のRygu(リュウグウ)到着まで、秒速約32km(時速11万5200km)で突っ走っている。

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1月1日の朝は、月に木星が接近していた。

月と金星の間には、火星が赤く光っていたが、写真にはうまく撮れなかった。まだまだ天文写真の腕は未熟なのを実感。

火星といえば、今年は火星が昨年よりは接近する年。最接近は5月31日。地球と火星の距離は0.503天文単位(天文単位は地球と太陽の平均距離を1とする。1天文単位が約1億5000万km)なので、地球ー太陽の距離の約半分ということ。
大接近は二年後の2018年7月31日だそうだ。その時の距離は0.385天文単位というからかなり接近することがわかる。

モンキー星雲

さて今年は申年。
星座で申年に関係するものはないかと調べてみると、あった。
「モンキー星雲」
この写真はインターネットの

http://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/obj?k=モンキー星雲

から引用させてもらった。
オリオン座とふたご座の間にある星雲だそうだ。(星としてはオリオン座に属しているらしい。)
どうしてこんな星雲ができたのだろうか。
ところで、十二支の名前を持つ星や星雲があるのだろうか、と疑問に思う。
牡牛座、牡羊座はあるなあ。
ネズミ座、トラ座はないようだ。
卯はウサギ座があった。
辰はりゅう座がある。
巳はへび座、みずへび座、うみへび座がある。
馬はペガサス座かな。
申はモンキー星雲を発見。
酉はニワトリ座はないが、鳥に関係するなら、わし座、はくちょう座とある。
犬はおおいぬ座とこいぬ座かな?
亥はしし座はあるが、イノシシではないなあ。
詳しく調べればもっとあると思うが、ざっと思い浮かんだものを書いてみた。

さて、初日の出といえば、日本は南北に長いので日の出の時間も場所によって違ってくる。以前のブログにも書いたが、今回は海上保安庁のデータを紹介しておく。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/hatsuh

初日の出昼夜境界線自分の住んでいる場所から見て、原則的には、南東の位置にあるところのほうが日の出の時間が早くなっていることがわかる(もちろん山や高地では変わってくる)

初日の出昼夜境界線

日の出の時間が季節によって変わってくる原因の一つが、地軸の傾き。地軸が全く傾いていなかったら日の出の時間も変わらなく、毎日が春分・秋分の日のような一年になることが予想できる。
試しに上の図を傾けてみた。

昼夜境界線が南北になるように動かしてみる。左の図は約23度傾けたもの。
地軸の傾きにほぼ近い。
そういえば冬至が12月22日だった。冬至から10日ほどたっているからこういう感じになるのかなあと思った。

今年の天文現象で気になるのは、
3月9日の部分日食、お昼ごろなのでお天気が良ければ見るチャンス。
3月23日、8月18日、9月17日の半影月食。地球の本影にはいる月食ではないので、はっきりとわかるかどうか?と言われている。
11月14日のスーパームーン。平均38万kmといわれている地球−月の距離が、35万6500kmまで近づく、68年ぶりの大きな満月になるという。

天界の星たちは、粛々と大宇宙を移動している。
地上の星たちに、平和が訪れることを祈らずにはいられない。

 

 

 

 

 

日の出とRyugu(りゅうぐう)

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10月16日の朝日。 二上山のほぼ中央から太陽が登ってきた。
私の家の隣の人が、毎朝ウオーキングで近くの池の周りを回っている。
「今日の朝日は二上山の間から登ってきたよ」、
と聞いたのでさっそく次の日に写真を撮りに出かけた。いい天気だった。
その時に撮った写真が上の写真。

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この写真は9月の秋分の日の写真。 同じ位置から日の出を撮っている。この写真と比べると、わずか一月の間に太陽の日の出の位置が南の方向にずっと動いていることが分かる。

昔の人は、この太陽の動きによって季節の移り変わりを実感し、予測していったのだろう。
太陽の影によって1日の時間の流れを把握しようとした1つが、日時計だと思う。
前回のブログで作った日時計のお昼前の写真がこれ。

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江戸時代には、携帯用の日時計があったそうだ。

明石天文科学館の展示には、全世界から集めた日時計のコレクションが展示されていた。
昔の時代の人達も、時間、時刻を知りたかったし、そのための工夫をしてきたのだろうと思う。

RYUGUをめざす
        「はやぶさ2」

さてこの大宇宙を日本のロケットが打ち上げた探査機が目的地に向かって飛び続けている。そのひとつが「はやぶさ2」。
「はやぶさ2」のめざす小惑星「1999JÙ3」の名称が決まった。
JAXAのホームページに詳しく載せられている。

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小惑星探査機「はやぶさ2」の目指す小惑星1999 JU3の名称決定について

                              平成27年10月5日

                    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 小惑星探査機「はやぶさ2」が目指す小惑星1999 JU3の名称が「Ryugu」に決定しました。

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成27(2015)年7月22日から8月31日までの期間、この小惑星の名称案を募集しました。ご応募いただいた名称案は有識者による選考委員会で選考させていただき、次の通り候補を選定しました。

1.選考結果

「Ryugu」

2.選定理由

  • 「浦島太郎」の物語で、浦島太郎が玉手箱を持ち帰るということが、「はやぶさ2」が小惑星のサンプルが入ったカプセルを持ち帰ることと重なること。
  • 小惑星1999 JU3は水を含む岩石があると期待されており、水を想起させる名称案であること。
  • 既存の小惑星の名称に類似するものが無く、神話由来の名称案の中で多くの提案があった名称であること。
  • 「Ryugu」は「神話由来の名称が望ましい」とする国際天文学連合の定めたルールに合致し、また、第三者商標権等の観点でも大きな懸念はないと判断したため。

3.応募状況

応募総数 7,336件(確定値)  「Ryugu」提案者数は30件 (類似した提案として、「Ryugujo」 5件、「Ryuuguu」5件、「Ryuguu」1件、「Ryugujyo」1件、「Ryugujou」1件、「Ryugu-zyo」1件)

4.選考委員会 メンバー

委員長 高柳 雄一 多摩六都科学館 館長
委員 渡部 潤一 国立天文台 副台長
委員 月尾 嘉男 東京大学 名誉教授
委員 津田 雄一 はやぶさ2プロジェクトマネージャ
JAXA宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授
委員 吉川 真 はやぶさ2ミッションマネージャ
JAXA宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 准教授

 

5.選定後、決定までの経緯

 選考された名称案は、小惑星1999 JU3の名称提案権をもつ米国のLINEAR(リニア)チームに伝えられ、リニアチームから名称決定権を持つ国際天文学連合に提案されていました。
 小惑星の名称は、通常、審査に3ヶ月程度かかります。今回、小惑星1999 JU3の名称「Ryugu」は異例の早さで審査を終え、太陽系内小惑星の名称を管理するMinor Planet Centerの小惑星リストに「Ryugu」として名称が掲載されました。

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「Ryugu」は「りゅうぐう」と読む。
玉手箱を手にして、地球に戻ってくる「はやぶさ2」の姿が見られるのは2020年末と予定されている。
そのための地球スイングバイが12月3日19時7分ごろ(日本標準時)に実施される。このスイングバイで「はやぶさ2」はスピードを上げ、進路を「Ryugu」に向ける。この時に日本から「はやぶさ2」が観測できるかも。でもとても暗いから私が持っている双眼鏡では無理。その日のテレビや新聞、インターネットに写真が載るかもしれない。これもたのしみのひとつ。
*スイングバイの詳しい説明はJAXAのホームページを参照されたい。

http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151014/

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左の写真は、JAXAのホームページにあった「Ryugu」と「イトカワ」の大きさ比べ。

こんな小さな小惑星をめざして飛んでいるんだと、あらためて驚いてしまう。

「はやぶさ2」の前に地球を飛び立って、観測の機会を待ち続けている探査機がいる。その最終ミッションもこの12月7日の予定。JAXAも忙しいだろうなあ。詳しくは次の機会に。

 

 

はやぶさ2宇宙へ飛び立つ!

挑戦が力を生み、継続が力を深める

はやぶさ2

「三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成26年12月3日13時22分04秒(日本標準時)に、小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)を搭載したH-IIAロケット26号機(H-IIA・F26)を予定通り打ち上げました。  ロケットは計画通り飛行し、打上げ後約1時間47分21秒に「はやぶさ2」を正常に分離した事を確認しました。(JAXAのホームページより)」(写真はインターネットより)

いやーほんとに良かった。
3度目の正直とはこのこと。2回の発射延長でやきもきしていたが、天候も回復し、計画通りの発射と飛行、「はやぶさ2」の分離が成功した。
これからが本格的な「はやぶさ2」の旅がはじまる。
この6年間、目が離せない。

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上の写真はJAXAの広報誌。 「はやぶさ2」の実物と、プロジェクトマネージャーの國中均教授のツーショット。
この写真で「はやぶさ2」の大きさが想像できる。
車1台よりも一回り小さい体に日本の最新の技術が詰まっている。思ったより大きいと見るのか、思ったより小さいと感じるのか、それは人それぞれ。
今回のミッションについてこの冊子に要領よくまとめられている。

はやぶさ2
基本設計は「はやぶさ」と同じ小惑星探査機。サイズは1✕1.6✕1.25m、質量約600kg。イオンエンジンは長寿命化、推力を25%向上、通信はX帯(8GHz)にKa帯(32GHz)追加。姿勢安定装置リアンションホイールも3台から4台に増設。化学推進系はトラブル回避を工夫。「はやぶさ」では「イトカワ」に着地できなかった「ミネルバ」は「ミネルバ2」として3機を搭載。タッチダウンの目標とするターゲットマーカーは5機を装備。光学航法カメラ、レーザー高度計、分離カメラなどミッション機器が運用を支える。再突入カプセルは信頼性が向上し「はやぶさ」ではなかった飛行環境計測装置も搭載した。

ミッション予定
2014年冬にH2Aロケットで打ち上げ後、太陽を1周し2015年11月〜12月に地球近傍をかすめるスイングバイを実施。その後太陽を2周し、2018年6月〜7月に「1999JU3」に到着。約18ヶ月間、小惑星とともに太陽を約2周するランデブー。サンプル採取は3回実施、「滞在」が長いため数多くの科学探査を行う。2019年11〜12月に小惑星を出発、太陽を1周した後2020年11〜12月に地球帰還。全行程は5年、約52億㎞。分離カプセルは「はやぶさ」と同じくオーストラリアのウーメラ砂漠に到着するが、探査機本体はさらに宇宙探査を継続。

科学目的
ターゲットは地球近傍小惑星「1999JU3」。直径約1kmの球形と推定され、自転周期は約7時間半、公転周期は約474日。有機物や水を含む物質があるとされるC型小惑星で、そのサンプルリターンにより太陽系の誕生と進化、生命の起源を探る。衝突装置(インパクタ)により小惑星の地表にクレーターをつくり宇宙風化を受けていない内部物質を得る大胆な試みも行う。近赤外線分光計、中間赤外カメラによる観測も実施。

今回の打ち上げはH2Aロケットなので、前回に比べて推力に余裕がありその力を利用して3機の小型衛星 ー 相乗り小型ペイロードが搭載されている。以下はウィキペディアよりの資料。

  • PROCYON(東京大学・JAXA)
    高さ63cm、幅55cm、奥行き55cm、重さ約65kgの超小型探査機[。複雑な宇宙探査を小型機でどれだけ可能かを検証する。超小型のイオンエンジン「I-COUPS」を使って小惑星探査を行い、小惑星から数十kmという接近距離から高速でフライバイしながら撮影を行う計画。
  • ARTSAT2-DESPATCH(多摩美術大学)
    各寸法約50cm、重さ約30kg。東京大学との共同開発。3Dプリンタを使い出力された、衛星そのものが「深宇宙芸術作品」となっており、地球脱出軌道に投入することで「深宇宙彫刻」となる。また搭載センサーから、独自開発されたアルゴリズムを用いて宇宙空間から詩を生成し、CWビーコンとして地球に送信する。そして世界のアマチュア無線家に協力を仰ぎ、送信された微弱電波を世界中でキャッチしSNSなどで共有するテレメトリ共同受信(協調ダイバシティ通信実験)を行う。
  • しんえん2(九州工業大学)
    直径約50cmの14面体の形状をした重さ約17kgの超小型人工衛星。太陽を楕円形に周回して約38万kmの距離でデータ通信の実験を行う。

宇宙彫刻やアマチュア無線など、ユニークな取り組みもあって楽しい。
また、「はやぶさ2」本体にはドイツとフランスの協力でできた小型着陸機MASCOTも搭載されていて、日本のミネルバ2とドイツ・フランスのMASCOTの活躍も楽しみだ。

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この写真は着陸の予想図。科学館の展示を写真でとったもの。

夢とロマンをのせて「はやぶさ2」は約52億kmの旅にでた。

こんな時にも「税金の無駄遣い」とか「宇宙のゴミになる」という発言がでてくる。人はパンのみにて生くるにあらず、未来を生きる子どもたちのために、そして明日を夢見て生きる私たちにとって、宇宙空間を全力で突き進む「はやぶさ2」は力を与え続けてくれる存在だ。

一番最初に書いた「挑戦が力を生み、継続が力を深める」はこの「はやぶさ2」のミッションのキーワードだそうだ。「はやぶさ2」プロジェクト・運営に関わる全てのみなさんにエールをおくりたい。2020年、「はやぶさ2」帰還まで応援し続けたい。