メアリー・アニング

恐竜学をひらいた女性

図書館で新作や注目の本が紹介してあるコーナーで発見したのが左の本。

「メアリー・アニング」、私の記憶には全くない、と言っていいほど知らない。だからとても新鮮な名前だった。そして漫画の本だ。
パラパラとページをめくってみると、アンモナイトなどの化石がでてくる。恐竜の化石の発見の本かな?と興味がわいたので、借りることにした。
漫画だからとても読みやすい。本当に一気に読んでしまった。
約200年前のイギリスが舞台。貧しい労働者階級の娘、学校にも十分に行けていない。女性差別も現在よりも厳しい時代に、あたらしい学問分野を切り開いた女性の物語だった。私はとても興味がわき、図書館の本で「メアリー・アニング」に関する本を探してみた。

左の本は絵がたっぷりの本。メアリー・アニングが少女のとき、化石の採集を父と兄とで行うところが表現されている。

メアリー・アニングとはどんな人物なのだろうか。

「世界を変えた50人の女性科学者たち」というほんがあった。
その本によると「数々の貴重な化石を発見。化石コレクター、古生物学者。
メアリー・アニングは1799年、イングランドの小さな海辺の村ライム・レジスで生まれました。

家族はとても貧しく、彼女は父親が生活のために化石を集めてお金持ちの観光客に売るのを手伝いました。それは危険な仕事でした。崖は急だし、ときには海の激流で崖崩れを起こします。11歳で父親を亡くしたメアリーは、この化石ビジネスを引き継ぎました。▼当時はまだ恐竜の存在が人々に広く知られていませんでした。メアリーは12歳のときに、それまで誰も見つけたことのなかった魚竜の全身骨格を発掘しました。続けて、種として知られていなかった首長竜の骨格を2つ発掘しました。これらの化石は人々が慣れ親しんでいたどんな動物にも似ておらず、古生物が絶滅した可能性をはっきり示したのです!・・・・(略)・・・・学者たちはメアリーの発見やアイデアに敬意を払いましたが、彼女は女性だという理由で本や論文を出版することが許されませんでした。・・・(後略)・・・。」

この「世界を変えた50人の女性科学者」という本には、私の知らない女性花芽者たちがこんなにもいたのかとびっくりする本だった。
この「メアリー・アニング」以外に私の知っていた女性科学者は、
・マリー・キュリー
・レイチェル・カーソン
・キャサリン・ジョンソン
・ワレンチナ・テレシコワ
だけだった。あとの45人は全く知らなかった。どんなことをしたのかを読んで、なるほど、そんな素晴らしいことをしたのに、どうして知らなかったのだろうと逆に思ってしまった。
上のキャサリン・ジョンソンは、映画「ドリーム」で出てきたNASAの初期の時代に活躍した数学者で、かろうじて覚えていた。

「海辺のたから」と「海辺の宝もの」は同じ本。
翻訳の時代が違うのと訳者が違うが、原作は同じもので内容は全く同じ。
小学生ー中学生向きの本で、メアリー・アニングの子ども時代が中心になっている。

19世紀に活躍したメアリー・アニングは、身分差別と女性差別の中で新しい学問分野を切り開いたのだが、詳しい記録が残っていないので、正確な伝記本はないそうだ。

そんななかで今残されている記録を丹念に集めて、メアリー・アニング像を描こうと努力した力作がある。
それが日本から出版された「メアリー・アニングの冒険」である。

この本の表紙にある化石がメアリー・アニングが発掘した首長竜プレシオサウルスだ。そしてその下にある写真がメアリー・アニングの肖像画。
ロンドンのサウスケンジントンの自然史博物館にあるそうだ。

この博物館では、メアリー・アニングの服装をした女性が見学に来た人に説明しているそうだ。見学に来た子どもたちの大人気になっているそうだ。イギリスではメアリー・アニングは有名な人物のようだ。しかし日本では全く無名だと言ってもよい。
「メアリー・アニングの冒険」の作者の一人、吉川さんはスタジオジブリで働いていた人というからおもしろい。
逆境の中で輝くヒロイン像ではなく、時代をしたたかに生きる努力をしてきたメアリー・アニングを描こうとしているように思える。新しい地平を切り開いたメアリー・アニングは、どんな人物で、どんな生き方をしてきたのだろうか、興味は尽きないかもしれないが、確かに恐竜学の基礎を築いたということは素晴らしい人物だったと言い切れるだろう。

女性が輝く時代にーそれはメアリー・アニングから200年たっても大きな課題になっている。メアリー・アニングのことは忘れてはいけないと、自分に言い聞かせる。

 

 

エッシャーの絵を立体的に再現する

上の写真はエッシャーの絵「上昇と下降」を3次元に復元したもの。
原図は下の写真。
この絵の出展は下のホームページによる。

https://www.wikiart.org/en/m-c-escher

この図について、エッシャー自身は次のように言っている。

「この連続的な階段のテーマは私自身の発明ではありません。英国の数学者L・S・ペンローズ教授に負うものです。」

ペンローズについて調べてみると、

ロジャー・ペンローズSir Roger Penrose, 1931年8月8日〜)は、イギリス・エセック州コルチェスター生まれの数学者、宇宙物理学・理論物理学者。

ホーキング博士とともにブラックホールの特異点定理を証明した人ということだ。
エッシャーとの関係でいうと、「ペンローズの三角形」「ペンローズの階段」を考案し、エッシャーに大きな影響を与えたといわれている。

 

 

 

 

 

 

エッシャーの絵を立体的に再現する方法を本で見つけた。

この本には、理論的にエッシャーの絵を再現する方法が書かれている。
ただし、私には難しかった。
大学の講義でエッシャーについて研究されているようで、行列式を使って説明がされている

その理論的なところは飛ばして、私の理解できたところを紹介すると

「部分的に正しい絵を組み合わせながら、全体として矛盾を含む構造に仕上げることによって、描くことができる」

「だまし絵を作るためには、正しい絵の部品が絵の中で互いに無理なくつながるように、部品の大きさを調整することが大切である」

しかしこれだけでは上の写真「上昇と下降」のような、立体的な再現はできない。
ここに視点を動かす、視点を固定してみる、いいかえると「この場所からは、この視点からは、確かにそう見える」という場所を作り出す、見つけることがポイントなのだ。

一番上の立体的な「ペンローズの階段」は、「エッシャー展」の売店で買った本を組み立てたもの。

左の「トリック・クラフトBOOK」という本で、小学館の本だ。

表紙からわかるように、面白そうなトリック・クラフトが紹介されている。
目の錯覚を利用したクラフトで、アニメーションの原点といわれている「フェナキスティ・すコーブ」や「ゾートロープ」の型紙も入っている。
エッシャー風の「無限階段」や、「ねじれた矢印」や「不思議な道」という、これもエッシャー風の工作が紹介されていた。

では、この「無限階段」、エッシャーの「上昇と下降」の絵はどのようにして立体化されているのか。種明かしは下の写真。

赤い丸で囲んだ部分に注目。 ここはつながっていないのだ。 つながっているように見える場所を探し、そこでシャッターを切ったのが一番上の写真。

上の左の写真は、この本の表紙を拡大したもので、「不思議な道」と名前がつけられている。上に上がったはずなのに、下に下がっていくという道。
本の型紙でつくったのが、右の写真。どこにトリックがあるのかは一目瞭然。
これも視点か動かすことで、「不思議な道」を再現することができる。
この種の工作はよほど精密に作らないと、本の表紙の完成品のようには出来ない。

これは「エッシャー・マジック」の本を書いた杉原厚吉さんの本。
「超ふしぎ体験! 立体トリックアート工作 キットブック2」という書名の本。金の星社が出している。
そこに「無限階段」の工作がのっていた。
それを作ったのが上の写真。
これは階段が全部つながっている。最初の「トリック・クラフト」のように、どこかが離れている、というものではない。
見る角度、位置をいろいろと試してみて、本の表紙のようにみえるポイントをさがした。
この工作もなかなかシビア。完成したものをイメージしているつもりでも、つなぎ目の角度や階段の位置を決定するのが微妙だった。

こうしてみると、おなじ「無限階段」「上昇と下降」であっても、立体的に作るという方法はいろいろとあるようだ。エッシャーの作品の広がりを感じて面白い工作だった。

 

 

 

 

エッシャー展

ミラクル エッシャー展 in  ハルカス
 

あべのハルカスで「エッシャー展」が開かれている。
鑑賞に先立って、ハルカス大学の案内で知った特別講座があったので参加した。

資料場配布されなかったので、私のメモにたよって振り返ってみる。
メモもあとから読み返すと、知らない単語を書いているので、自分ながら理解不足にあきれてしまう(残念!)

印象に残った言葉を書いておこう。

①トロンプ・ルイユ・・・「だまし絵」のこと。現代で言う「トリックアート」のことで、エッシャーの「3次元では実際にありえない建物」を描いた作品など。このポスターの建物がそう。

②アナモルフォーズ(歪像画)・・・アナモルフォーシスとは、ゆがんだ画像を円筒などに投影したり角度を変えてみたりすることで正常な形が見えるようになるデザイン技法のひとつである。アナモルフォシスアナモルフォースアナモルフォーズとも。(ウィキペディアよりの引用)
「エッシャー展」にあったのか、なかったのか。会場は道頓堀のような多数の人でよくわからなかった。

③ダブルイメージとメタモルフォーゼ・・・左の絵(「空と水Ⅰ」)のように、鳥の絵と魚の絵が少しづつ入れ替わっていき、絵の一番上にあった鳥が、絵の一番下になると魚になっている。
メタモルフォーゼとは「変身」「変化」「転身」のことで、このエッシャーの絵が「メタモルフォーゼ」と「ダブルイメージ」の例である。

この絵は、下にかいてあるホームページからの引用。

https://www.artpedia.jp/escher/

「近代美術の百科事典」といホームページ。

④正則分割・・・「特定のパターンや法則性にのっとって、空間を1から数種類のモチーフでうめる。並進、回転、鏡映」と私のメモに書いてある。

上の写真がその例だろう。この「メタモルフォーゼⅡ」は必見の作品だと思う。 この写真は、「美術手帖」というホームページより引用している。ハルカスでの美術展開催の前、上野の森美術展での「エッシャー展」が紹介されている。

https://bijutsutecho.com/magazine/interview/18049

この「メタモルフォーゼⅡ」は、ポスターの裏面に載せられている。長さ3.7mの絵は、実際に見ないとその迫力が伝わってこないでろう。

 

「メタモルフォーゼⅡ」について、エッシャー自身は次のように説明している。(左の「無限を求めて」より引用)

「これはたくさんの連続的な変容過程からなる絵物語なのです。Metamorphoseメタモルフォーゼという単語自体が出発点になっています。面の中で水平や垂直に置かれたこの単語が、OやMの文字を交点にして交わり、次第に黒と白の方形のモザイクへと変容し、それが次第にトカゲの形に展開していきます。もし比較のための音楽を持ち出せるのなら、そこまでは四分の二拍子のメロディで書かれているといえるかもしれません。
 ・・・リズムが変化します。白と黒に加えて、青い要素が加わり、四分の三拍子に移行しました。形はしだいに単純化して正六角形に変わります。ここで観念の連合作用が生じます。六角形の形が蜂の巣を連想させるやいなや、蜂の幼虫が個々の巣の中で動き始めます。一瞬のうちに個々の成虫が成就した蜂にまで発展して、やがて昆虫たちは戸外に飛び出していきます。
 私の蜂の寿命は短いのです。というのは、その黒いシルエットの部分がすぐにほかの機能、つまり白い魚の背景の役目につながっていくのです。さらに相互の間で融合しながら、その境界から黒い鳥が生まれてきます。それから、白い背景の中で遠くの方から赤い鳥の影が現れます。次第にそのサイズが大きくなって、まもなくその輪郭線が、仲間の黒い鳥の輪郭線と接触します。白のままで残っていた部分もまた鳥の形に発展し、3つのとりのモチーフがそれぞれ特有のかたちと色を保ちながら、今度は面全体を完全にリズミカルなパターンで埋めていくのです。・・・再び単純化がおこります。個々の鳥は菱形に変容していきます。これは第二の観念融合を導きます。3つの菱形からなる六角形が、造形的な効果を生み出し、遠近法的に立方体のように見えてくるのです。
立方体から家屋までほんの一歩にすぎません。そして家からは町がつくられます。地中海沿いにある南イタリアの典型的な小さな町で、よくアマルフィの海岸で見かけるようなサラセン用式の塔が懐中に立ち、岸との間を橋が結んでいます。
 ここで3つ目の観念連合が生じます。街と海が左側に横たわり、関心は塔に集中していきます。そしてチェス盤の上のルークや他の駒が現れるのです。
 こんなふうにして,Metamorphoseが描かれた帯状の紙面は長さ3フィートにも達し、物語を終えるときがやってきました。その機会はチェス盤の白と黒の方形が提供してくれます。最初にはそれは文字から現れてきたのですが、今やそこから同じ単語Metamorphozeに帰っていくのです。」

 この本人自身の解説を最初に知っていたら、実物を見る時にもっと詳しく見ていたのに、と思うのはいつものこと。これも残念。

 

会場の入口にあるのは「出会い」という作品を拡大したもの。
実際の大きさは、55.1cm ✕ 65.1cm というもの。

この作品についてエッシャー自身は次のように説明している。

「右側の白いオプティミスト(楽天主義者)と黒いペシミスト(悲観主義者)のパターンが、・・・背景の灰色の壁の中で、この人物像は中心部分に近づくほど相互の間のコントラストがはっきりしてきます。白と黒のそれぞれの代表が壁面から身体を離し、床の丸い穴に落ち込まないように注意しながら、空間の中をあるき出します。ぐるっと回ると、自然に前景で出会わざるを得ません。そのあいだ中ずっと最後まで、黒のペシミストは警戒気味に指を上げてきましたが、白のオプティミストのほうは陽気にその出会いを迎え、その結果、彼らは握手するという次第になるのです。」

なんとなく不気味に見えていた絵が、エッシャーの思いを読むと「なるほど、だから入り口にこの絵をもってきたのだな」と考えるようになった。

ポスターにある不思議な階段のある部屋の絵は「相対性」という題がついている。
この絵は映画「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」に登場する。

写真はYouTubeからのもの。 映画では絵の中で登場人物が大活躍しているが、
絵の実物サイズは27.7cm ✕ 29.2cm。約30cm四方の小さな絵なのだ。
とても映画のようにこの絵の中に飛び込むことは出来ない。

しかしこの映画と同じ体験ができるサービスが「エッシャー展」にあった。
自分たちがこの絵の中で動き回る様子をスマホに撮ることができるのだ。
約30秒間のおもしろ動画がとれる。参加するのに列に並ばなくてはならないが、面白いのは確か。私はここで絵の中に入り、そのあとビデオを借りてみたが結構楽しめた。

「エッシャー展」も1月14日まで。残り少ない。まだ鑑賞していない人は是非どうぞ。ホンモノを見ておくチャンス。