魔改造の夜 その2

技術者養成学校2

技術者養成学校の2回めの講師は「宇宙飛行士の大西卓哉さん」。
第2回めのテーマは、
「赤ちゃん人形に学ぶ ー 絶体絶命の失敗からの脱出」

大西宇宙飛行士は2016年にISS第48次/第49次長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISSに約113日間滞在した宇宙飛行士。実際iに国際宇宙ステーションにいくまで約7年の訓練があったと言う。その訓練と実際に宇宙に行っての体験をもとにした話だった。

NHKのホームページに次のような番組紹介がある。

魔改造の夜、新作が登場!「おもちゃ」「家電」を超一流エンジニアたちが極限のアイデアとテクニックで怪物マシンに大改造!今回は、かわいい「赤ちゃん人形」が綱を登る! 『魔改造の夜』は超一流の技術者たちの極限の格闘技、大人のヤバい本気が満載。お題は『幼児が遊ぶ“赤ちゃん人形”を魔改造し8mの綱をいかに速く登るか』3チームが対決!3Dプリンター駆使したモノづくり革命企業・Sライズ、下町工場の星・金属加工プロ集団Nットー、世界の自動車メーカー・N産。強い腕も動力もない赤ちゃん人形、各チーム苦悩の末、衝撃的な3者3様の“モンスター”に!世界で他にない究極の興奮と歓喜!

この赤ちゃん人形の綱登りの戦いで、優勝候補の人形が頂上寸前でストップしてしまう。その人形は上の写真の人形。(写真はNHKホームページより引用)
原因は頭につけていたセンサー。頂上に到達したとき、モーターが加熱しないようにセンサーによって電源ストップさせるという仕組みだが、そのセンサーに揺れる縄があたり、電源がストップしてしまったのだ。あと数センチでゴールというタイミングで。
次の試技までの改良はセンサーの位置をずらすという事だった。
さあ第2回めの試技。スタートスイッチを押すが少し動いて止まってしまった!
動かない。ピクリとも動かない。あーっとうずくまるチームの責任者・・・。
何があったのか? スイッチを押した指が電源コードにあたり接点から外れたということだった。なんという失敗。私はこの放送を見ていたが、本当に無念そうだった。

大西宇宙飛行士は1986年1月28日のスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故のビデオを学生たちに見せる。
爆発の原因はロケットの構造上の欠陥と言われている。
宇宙での事故は生死との隣り合わせだ。いかにその事故を防ぐか、それとの戦いだと言う。7年の訓練では、宇宙船がジャングルに不時着したときのサバイバル訓練もあったという。
また実際にISSで船外活動をしていた宇宙飛行士の宇宙服故障のため、ヘルメット内に水が溢れ、溺れ死にしそうになった仲間の宇宙飛行士がいた例も話された。

さて大西宇宙飛行士からの問いかけは、「このうずくまってしまった人にあなたなら、どんな声掛けをするか?」

いくつか意見が出たが、印象深かったのは「ロボコンで試合開始直前にロボットが突然動かなくなってしまった」学生の意見。
失意の瞬間にチームの仲間が「苦しいね。つらいね。でもあなたが最前線で戦ってくれた。チームの支えになってくれた。本当にありがとう」と言ってくれたという。その時胸のつかえが下りたそうだ。

大西宇宙飛行士がいう。「人間はミスをする生き物だ。いろんなミスがあり、その最後のミスにあたってしまった一人にすぎない。ここから新たなことを勉強することができる。」

質疑応答のとき、一人の男子学生が「自分の責任でミスをしてしまったとき、自分は落ち込んでしまう。どう考えたらいいのでしょう」
大西宇宙飛行士は「たまたまその(ミスをする)順番がまわってきたと、とらえることもできます。自分の失敗、ミスを仲間と共有すること。それが一人だったら自分だけに限られた経験・教訓になるものを、仲間と共有することになり幅広いものになる。その共有が大切だ」という。ポジティブにとらえながら次を目指す精神のたくましさだろう。
赤ちゃんロボットで失敗したチームでも「みんなががんばってきた」と彼一人に責任を負わそうとはしなかった。
失敗から学ぶということは、失敗を共有することからはじまる、ということなのだろう。