セミと素数

8月も半ばになると、蝉の声も少なくなってきた。
私の家の周りには、いくつもの蝉の抜け殻があった。
庭木にはいつものようにいくつかの蝉のぬけがらがあった。
今年、びっくりしたのは門のコンクリートの下側に蝉の抜け殻があったこと。
また、台所がある壁にも蝉の抜け殻があった。
どちらも周りに木が植えられているからそこからやってきたのかもしれない。
でもその木の幹に登ればいいのにと思うが、コンクリートや家の壁にはりついて羽化したかと思うと、どうしてそんな場所でと考えてしまう。

二匹が並んで羽化しているのを発見した。
へーっ、こんなこともあるんだ。よっぽどここの場所が気に入ったのだろうか。
蝉は全世界で1600種類もいてるそうだ。日本には約30種類いるらしい。
アブラゼミが約6年間地中に幼虫の状態でいてることはよく知られている。
羽化してから約一ヶ月程度の短い寿命。その間に子孫を残すために懸命に鳴いてメスを呼ぶ。
そんなことを調べていると、アメリカに素数ゼミという日本にはいないセミがいることを知った。

これらの本によると、昆虫は今から3億年ほど前の石炭紀に誕生したらしい。 石炭紀から現代まで、いくつかの地球規模の生物絶滅期や氷河期を乗り越えてセミは生き延びてきた。
アメリカでは氷河が大陸の大部分を覆っていたため、セミの地中での生育期間がのび(セミは木の栄養を摂取しているため、木の生育に合わせて成長するそうだ)、日本のアブラゼミでは平均6年だが、13年、17年も地中で幼虫として生きているセミが誕生した。

アメリカのすべてのセミが13年や17年地中で生活しているのではなく、6年や8年などのセミはいるらしい。
しかし13年、17年地中で過ごしてきたセミが特定の地域で大発生するらしい。

上の写真は「17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る!」から引用したもの。 昆虫好きな人にはたまらない写真かもしれないが、私はちょっと引いてしまう写真。

たまたま同じ時期に借りていた左の本に、「セミは素数を利用している!?」という記事があったので、それを紹介する。

「アメリカには、正確に13年ごとに羽化する(地中にいた幼虫が地上に出てきて成虫になる)セミや、正確に17年ごとに羽化するセミが生息しています。13と17はどちらも素数であることから、『素数ゼミ(周期ゼミ)』とよばれています。
素数ゼミの祖先には、素数以外の周期で羽化するものもいたと推測されています。
異なる周期で羽化する群れ同士は、まれに同じ年に羽化することがありました。羽化する周期の最小公倍数に当たる年です。
羽化する周期の異なるメスとオスから生まれた幼虫は、羽化する周期が親とずれてしまうことがあったため、群れはしだいに小さくなってしまったのではないかと推測されています。
 素数は、ほかの数との最小公倍数が大きくなるため、13年あるいは17年周期で羽化する群れは、他の群れと同じ年に羽化する機会が少なかったはずです。その結果、同種の中でも13年、あるいは17年周期で羽化する群れだけが絶滅することなく現在にいたったのが、素数ゼミだと考えられているのです。」

羽化周期が違うセミからうまれたセミは、親とは違う羽化周期の子どもがうまれることはメンデルの法則から推測できる。そして親と同じ羽化周期の子どもセミの数は代を重ねるごとに減っていく。羽化してもまわりに交尾できるセミが数少ないことになるのだ。氷河期などの厳しい環境の中では、そういった親と違う羽化周期のセミは絶滅していったのだろうと推測されている。
13年の羽化周期のセミは13年ごとに出会うことが出来る。しかし12年の羽化周期のセミとは156年の周期、14年周期のセミとは84年周期(詳しい計算は上記の本を参照)にであうため、13年周期のセミが生き残っていった、と考えられている。
13と17、どちらも素数である。そのため「素数ゼミ」とも呼ばれているらしい。では19も素数だから、羽化周期19年のセミもいるのか?という疑問が出てくる。
可能性はあるが、地中で19年幼虫で生きていくのはかなり困難らしい。氷河期のように寒くて、木の栄養も少なかった時代を乗り切ることは難しかったと想像される。いても数が減少していき、現在の17年周期のセミが生き残ったのだろう。

セミと素数、たいへんおもしろい。素数についても、興味が湧いてきた。