7月大歌舞伎

松竹座で7月大歌舞伎が始まった。 久しぶりに歌舞伎見物にでかけた。

見たのは夜の部。演目は、
「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」と
「恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)」のふたつ。
4時30分にはじまり、6時55分に終わるという予定。途中の休憩時間も20分が1回だけ。
歌舞伎の終了後に夕食がとれるという時間設定と思われる。
新型コロナウイルス蔓延防止のため、飲食は8時までとなっているからだろう。

どんな内容かと言うと、「歌舞伎美人」のホームページから引用する。

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)  主筋への義理で人を殺めてお尋ね者になった相撲取りの濡髪長五郎は、南与兵衛の家に住む、母・お幸のもとを訪ねて来ます。実は長五郎はお幸の実子で与兵衛は先妻の産んだ子であり、与兵衛とは異母兄弟です。そこへ、郷代官に新たに任命されることとなり、十次兵衛を名のることを許された与兵衛が代官所から戻ります。お早とお幸は与兵衛の出世を喜びますが、与兵衛に命じられた初仕事は、長五郎を捕縛することでした。実子と義理の息子の間で苦しむ母の姿を見た与兵衛は…。明かり取りの天窓を舞台装置として巧みに利用し、母と弟を救う兄の心情が胸をうつひと幕です。

南与兵衛後に南方十次兵衛 片岡仁左衛門
濡髪長五郎 松本幸四郎
平岡丹平 中村壱太郎
三原伝造 中村隼人
母お幸 上村吉弥
女房お早 片岡孝太郎

*以前にも見た演目だが、今回は市川染五郎が、松本幸四郎に襲名しての歌舞伎。
貫禄のでた演技だったと私には思えた。この作品は天窓ーここでは引窓といっているーがもう一つの主人公。旧暦8月14日の夜だからほぼ満月。満月の明かりによって水鏡となった手水鉢にうつる長五郎。引窓を引いてそれを隠す女房お早。長五郎に諭された母お幸が長五楼をしばるのが引窓の綱。たくみに利用されるのが引窓。
逃げ延びた長五郎の行く末は・・・気になる終わり方である。

二、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)  
雪の降りしきる大和国新口村(にのくちむら)。やってきたのは大坂淡路町飛脚問屋の忠兵衛とその恋人で新町の傾城・梅川です。実は忠兵衛は梅川を身請けするために商売の金に手を付け、追われる身となっています。死を覚悟した忠兵衛は父親に別れを告げるため、梅川とともに生まれ故郷のこの地に落ち延びてきたのでした。そこへ父・孫右衛門が通りかかりますが、罪人の身ゆえ、名のり出られない忠兵衛。一方雪道を歩く孫右衛門は、雪に足を取られて転んでしまいます。これを見た梅川が孫右衛門の介抱をします。梅川が忠兵衛の連れだと気付く孫右衛門ですが、こちらも表だっては息子に声をかけられません。そこで梅川は…。男女の悲恋と親子の情愛を描いた上方和事の代表作をご覧いただきます。

亀屋忠兵衛/父孫右衛門 中村鴈治郎
万歳 中村虎之介
才造 片岡千之助
忠三郎女房 坂東竹三郎
傾城梅川 中村扇雀

*これは「封印切」の後日談。300両の金は見受けに200両、これまでのお礼にと50両を使い、残った金はここまでのカゴ代と宿賃に使ってしまい残りわずか。
忠兵衛の父親との再会と別れがこの場面だが、傾城・梅川が本当に哀れ。雪の上で裸足で父親の世話をする・・・
別れの場面に降る雪の量は舞台の奥が見えなくなるぐらい。(片付けも大変だなあとつい思ってしまう)。
この二人の行く末も気になる。イヤホンガイドによると、忠兵衛は牢獄で死んだとか、獄門磔になったとか説があるそうだが、いずれにしても罪を負って死んでしまったらしい。傾城・梅川はもとの郭に戻ったという説と亡くなったという説があるそうだ。とにかく悲劇には違いない。あー、忠兵衛にもっと計画性があったら、と思うのは現代に生きる私だからだろうか。

写真は開演前の客席。 定員の半分の人数。花道側の座席は舞台向かって右の5列は空席。左は一番左側の座席のみ使っていた。 花道から2メートルは開けるという方針なのだろう。
入り口のチケットの半券は自分でちぎって箱に入れる。
20分休憩中の食事は禁止。
最低限の水分補給のみ許可、という厳しいものだった。
7時に終わるので、そのあと夕食を、という考え方なのかも知れない。

舞台終了後の道頓堀の様子。
かつてのような大人数でもないし、緊急事態中のような閑散した様子でもない。
人数は少いが、雰囲気は華やいだものが感じられる。
キャッチの若者たちが目につく、8時までの客を呼び込みたいのだろう。
警察官の姿も目に入る。ただよっているのは不安定な緊張感か。
コロナが終焉しない世の中を反映しているように思えた。