*お湯を貰いに行っていた女中、うばたけが戻ってくる。
The servant didn’t want to go, but the mother wanted a safe place and food for her children.
*ここで女中のうばたけが「大丈夫だろうか?」と不安になる。
しかし、母親は子供のことが第一で、この男の提案にのってしまう。
応化橋の下で山岡大夫に出逢った母親と子供二人とは、女中うばたけが欠け損じた瓶子に湯をもらって帰るのを待ち受けて、大夫に連れられて宿を借りに往った。うばたけは不安らしい顔をしながらついて行った。太夫は街道を南へはいった松林の中の草の家に四人を留めて、芋粥をすすめた。
“Thank you, sir for your kindness.
My husband went to Kyushu, so we are going there to find him.
Do you know if we should take a boat or keep walking?”
「自分は岩代のものである。夫が筑紫へ往って帰らぬので、二人の子供を連れて尋ねに往く。・・・・さてここまでは来たが、筑紫の果へ往くことを思えば、まだ家を出たばかりと言ってよい。これから陸を行ったものであろうか。または船路を行ったものであろうか。主人は船乗りであってみれば、定めて遠国のことを知っているだろう。どうぞ教えてもらいたい」と、子供らの母がたのんだ。
The man answered,
“Take the sea route.
There are many dangerous roads in the mountains.
I can help you find a boat to take you there.”
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さて、このEnjoy Simple English では、安寿と厨子王とその母、そして女中のうばたけの4人の旅である。この本の挿絵も、一番上のイラストのように4人である。
しかし、本によっては3人のものもある。
カラーの挿絵は「新・講談社の絵本 安寿姫と厨子王丸」からのもの。
左は「日本名作ものがたり2 あんじゅとずし王 」文・岡信子より。
もともとは江戸時代初期に「七郎正本」(寛永1年・1639年)や「佐渡七大夫正本」(明暦2年・1656年)という説教のテキストとして刊行されているもの。
簓(ささら)という楽器をすりながら説教を語る説教師たちが、神社の境内や辻堂などで語り聞かせていたのだろうと推測されている。つぎつぎと語りの場を移動していく中で、さまざまなバリエーションが生まれたのだと想像される。登場人物が3人だったり、4人だったりするのもそのためだろう。
森鴎外はこれらの説教を整理し、物語を再構成したと考えられている。
(参考『安寿姫と厨子王丸」解説・常光 徹)