The Torikaebaya Tale とりかえばや物語8

Haruが産み月近くまで宮中で働き続けるなんて可能だろうか。お腹が大きくなってくるのをどのようしして隠したのだろうか?と単純に疑問に思った。

「ちびまる子ちゃんの古典教室(集英社)」に、左の図のような服装の紹介があった。

こういったゆったりとした服装なら、体型の変化は隠せるのかも知れない。

さてEnjoy Simple Englishに戻る。

At that same time, people started to talk about Fuyu’s baby daughter.
She didn’t look like her father at all.
So some people said that Haru disappeared because he was hurt by this fact.

・・・世にはあらしくあさましき事をいひののしるあまし、
「権中納言の、女君に通ひ給ひけるを恨む。げにいみじくあはせし人にて、倦じて隠れ給ひにける」と世にいひ出でて、
「この生れ給へる君も、その子になむある」といいののしるを、大殿にも聞き給ひて、・・・・
世間では妙にあきれた噂をたてるあまり、
「権中納言が、女君にひそかにお通いになっていたのを恨んでいたそうだ。実際深く思慮の働く人で、耐えてはいたがいやになって姿をお隠しになっなのだ」と評判がひろがって、
「このお生まれになった姫君も、権中納言の子なのだ」と言いあっているのを、父左大臣も耳になさって、・・・・

Only Fuyu knew the truth and it hurt her, too.
She couldn’t eat and became thinner day by day.
Fuyu’s father was worried that his daughter might die, so he went to Haru’s father to ask where Haru was.
Haru’s father had no idea, either.

Fuyuの父親は右大将(Haruのこと)の失踪と、捨てられたように置いていかれた娘(Fuyuのこと)と孫娘のことをおもい、Haruの父親のところに相談に行く。しかしそこでこの噂を聞いてあわてて家に帰ってみると、乳母の誰かが噂の内容を、見つかるような形で手紙にして落としていたものが見つかる。
Fuyuの父親は孫娘の顔を見ると、たしかに権中納言(Natsuのこと)によく似ている。
Huyuの父親は逆上し、Fuyuを勘当してしまう。

一方、Haruの父親も思案を巡らす。

今は、恋ひ泣き給ひし事さへ絶えて、ほれぼれと臥し沈み給ひにたるを、殿のうち、またこれを嘆き扱ひ奉る。
今はもう、右大将(Haruのこと)を恋いしたってお泣きになる事もなくなって、ぼんやりと横になっておられるだけなので、邸内の人々は、右大将失踪の悲しみに加えて嘆きつつ主人の世話をし申し上げている。

Now he thought it was all his fault for allowing Haru to live as a man.
Look at the trouble it caused.
Tears fell down the face of the poor father.
Aki saw his father’s tears from far away.

Akiもまた考える。

殿の御身も、いたづらになり給ふべきなめり。わが御身は、限りある御身なれば、たづね求むべきにもあらず。
父君も、今度の打撃でお亡くなりになるやもしれぬ。父君ご自身は、身分上制約の多いお体だから、お出かけになってさがし出すわけにはいかない。

Akiが父親の涙を見たという場面は、原作にはないようだが、
父親の元気のない姿を見て、自分ができることを考え始める。

我、かくてのみあらじ。男の姿になりてこの君をたづね見むに、いかなるさまにても、たづね出でたらばもろともに帰り来む。
よし、私はこうしてばかりはいられない。男姿にもどって右大臣様(Haruのこと)を探し求めて、どんなお姿になっていようと、見つけられたら一緒に帰ってこよう。

He knew only he could save his father.
Aki decided to find his sister,Haru.
But Aki had lived his life as a woman, and women could not travel freely.
So he changed his clothes and his hair, so he looked like a man.
Aki was scared to go out into the world as a man, but he knew his sister was afraid, too.

田辺聖子さんの「とりかへばや物語」のこの部分付近を抜書きしてみよう。

「そうだ、わたしが男姿にもどって、春風をさがしにゆこう。どんな姿になっていようと、見つけたらいっしょに連れ戻してこよう。
待っていて、春風・・・」
・・・略・・・
秋月はこっそり母にその決心をうちあけた。
母はおどろいて、
「とんでもないこと。かよわい女として暮らしているあなたが、そんなこと、できるものですか」と心配して泣いてとめた。
「でもきょうだいがさがしてあげなければ、だれがさがすのでしょう。見つからなくても、このままではいられません。腹違いの妹ですが、あの春風は情が深く、わたしにもやさしかったのです。とてもこのまま、ほうってはおけません」
秋月は涙をおさえた。母も、それはそうね、と同意して、秋風の心まかせにすることにした。・・・略・・・・
乳母の子にたのんで、長い髪をばっさりと切らせ、もとどりを結い上げ、烏帽子をかぶる。狩衣や指貫をつけると、りりしい青年になった。
「まあ、ゆくえ知れずの春風さまにそっくり・・・父上にお見せしたらどんなにおよろこひになるか」
と、母も乳母も、やっと心なぐさめられた。
・・・・略・・・・
ときは六月であった。夜ふけの月のもと、親しい乳きょうだい三人、そのほか数人の武者を供として秋月は出発した。・・・」

Haruを探すために、男姿になったAki。
二人の新しい冒険がここからはじまる。
(上の挿絵は「山本容子の姫君たち」講談社から)