このあとの英文は原作のいつくかのエピソードを組み合わせて物語の内容を紹介している。
Haru は結婚をして新しい生活が始まる。その時、自分の中で「男として生きること』について考え始める。
It was a beautiful autumn night in the emperor’s palace garden.
Under the moonlight, Haru was thinking about her life. Her strange destiny was to live life as a man, nor as a woman.
Haru の仕事仲間のNatsu。彼は好色な人物として描かれている。
Haru の妻となった四の君(Huyu)を今も思い、Haruの兄弟であるAkiのことも、きっと美人に違いないと思い続ける。またHaru に対しても、「もし彼が女であればこれほどの女はいないだろう」と憧れの視線を向けている。
At that time, there was someone watching her.
It was Natsu, her friend from work.
He always thoughts Haru was beautiful as a man, so he imagined his sister Aki must be really beautiful too.
You see,Natsu still wanted Aki.
Natsu asked Haru again to introduce him to his sister.
Haru said. “I’m sorry, my friend. But there is nothing I cna do for you. Nobody can change their destiny.”
After Haru left, Natsu thought to himself.
How can a perfect man like Haru be so afraid of the future?
He can have everything he wants in life.
常よりもうちしめりたるもてなし・気色、袖濡れわたるに、例しめたるにも似ず、世になき薫りなるを、「男の身にめでたく見ゆるを、ましてこの人の一言もかけよるむを、聞き忍ぶ人はあるじかし」とうやらましく、わが身はづかしけれ直衣ど、ひきとめてわりなきことを恨みいふも、いと艶にをかしうなまめきたるは、いとにくからず。
「(詩をくちずさんでいる)お声を聞きつけ、探し求めて来てみると、織物の直衣や指貫の上に、紅色の艶かかな上着を羽織って、たいそう小柄に見えるが、若く優美で、月の光に輝くばかりすばらしく見えた。
いつもよりしんみりとした態度や様子で、涙に袖も濡れているあたりから、常にたきしめているのとはちがった、めずらしい香が匂ってくるので、「男である自分でさえ魅せられるのに、ましてこの人のほうから一声をかけたら、知らぬふりのできる人はいまい」とうらやましく、気がひけるらしいが、宰相中将(Natsuのこと)が中納言(Haruのこと)をひきとめ、恋の恨みごとなど訴えているのも、優艶でまことに風情があって、なかなか好ましい」(桑原博史 「とりかへばや物語」全訳注 より)
Haruの美しさに見とれながらも、Natsuは自分の恋の悩みー Akiにあわせてほしいと訴える。
Haruは、その悩みに答えることができるはずはなく、自分自身の悩みの方に考えが沈んでいく。それを見て、Natusは勘違いをして自分流に考える。
この人の御身には、いといみじうありがたかるべきならず、いたくつつむことある人の、殊の外にあはれなるかな」
この人の御身からすれば、決して叶えられないことではない。それにしても心に隠し事のある人は、格別に情緒ある風情を見せるものだ』
二人がわかれたあと、Natsuは「好色家」らしく、次のように考える。
この「好色家」のNatsuが大事件を引き起こし、Haru, Akiの運命を大きく動かすことになる。