牛とジャガイモと移民

山下直子さんのアイルランドカルチャー講座。
今回のテーマは「牛とジャガイモと移民」

アイルランドの国土の50パーンとが牧草地で、人口が490万人いる中で、牛が700万頭、羊が400万頭、馬が10万頭いるというのだから、酪農の国ということがよくわかる。

この写真はダブリンの南にあるウィックロー山脈のそばを通っているときに撮したもの。いろんな色の牛がのんびりと寝転んでいる。

山下直子さんのお話によると、こんなにたくさんいる牛の90%は国外に肉として輸出されているそうだ。
しかしアイルランドの人は昔から肉食だったそうだ。肉の消費量として、世界平均は6.5キログラム。日本もそれぐらい。しかしアイルランドの消費量は19キログラムというから日本のおよそ3倍の肉を食べていることになる。

夕食に出たお肉の塊。骨付きだ。見た瞬間周りの日本人は「おーっ、大きい」という感じの声を出した。 私も「これは全部食べ切れないかも・・・」と思う。

これがその結果。おいしいのだが、、、食べきれない・・・・・。

私達ツアーの団体は二階のレストランでの夕食。窓から中庭を見ると、アイルランドの人たちが楽しそうにテーブルを囲んで食事を待っている。ゆっくりと時間をかけて食べるのだろうなあ。

広い牧草地でのんびりと草をはんでいる牛たち。
アイルランドの牛は「グラスフッド牛(草を食べている牛のこと)として知られている。この牛がアイルランドにやってきたのは6000年前のことだそうだ。ケルト人がやってきたのは2500年前といわれるから、ケルトの人たちがやってくる前からアイルランドにいたわけだ。
日本に牛や馬が、中国大陸から朝鮮半島を経て入ってきたのは、弥生時代のことだと言われている。しかしそれもはっきりとした証拠がないそうだ。魏志倭人伝には「(倭国には)牛馬虎豹羊・・・はいない」、と書かれているそうだがこれも真偽を巡っては諸説あるそうだ。ただ弥生時代の地層から牛や馬の骨が発見されているから、いたことは確かだろう。それが自然にいたのか、家畜としていたのか、まだまだわからないそうだ。
 アイルランドでは紀元前から馬による競技が行われていたそうだから、牛や馬は日本にくらべるとずっと昔からいた事になる。わたしが全く知らなかったことだ。

山下直子さんの講義では「牛」のあとに「じゃがいも」の歴史があったが、ジャガイモのことは次回のプログに回して、「移民」のことを書いておこうと思う。

ジャガイモ飢饉以前からアイルランドからはたくさんの人が移民としてアイルランドを出ている。移民先はイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで、その数は1000万人になるという。
アメリカの歴代大統領で、ケネディはアイルランド系とよく知られているが、それ以外にレーガン、クリントン、オバマなど約半数はアイルランドに関係があるそうだ。

上の写真はアニー・ムーアという女の子。二人の弟をつれて船でアメリカに移民したという。そしてニューヨークのエリス島に移民局が開局され、移民でやってきた最初の人物が彼女だといわれている。

上の写真は私が2017年に松本侑子先生企画の「若草物語とあしながおじさんの旅」で、ニューヨークに行ったときのもの。自由の女神像の見学はなかったが、サキスフォンを吹いている男性がいたので写真をとった。そのときにエリス島が後ろにあった。左に自由の女神像が見える。右のお城のような屋根が見える島がエリス島。ここに移民局があり、今はそれが博物館として残っている。

上の地図のような位置関係で写真を撮った。

エリス島の移民局は、アメリカの海外からの移民受け入れの入り口となった。

私はエリス島の見学をしていないので、中の様子はわからない。家のある本を調べていると上のような挿絵を発見した。 登録室の様子だそうだ。健康診断を受け、「運賃はどうやって支払ったのか? 親戚のところにいけるか? 無政府主義者か?」などの質問を受け、許可を待ったと書かれていた。
1850年から1948年の約100年間で、多い順に移民の数をしめすと、(1)ドイツ 606万4653人、(2)ユダヤ人 500万人、(3)イタリア 475万2835人、(4)アイルランド 459万7429人、(5)ロシア 330万人、(6)ポーランド290万5859人、(7)チェコ 100万人、(8)ノルウェー 80万人、(9)ハンガリー 66万2068人、(10)フランス 62万4561人になっているそうだ。(「Hopes, Love and Dreams in NewYork」NHK出版 より) 
アイルランドは4番めに多い。この中にアニー・ムーアの家族がいたのだろう。移民が許可されても、アメリカでの生活は楽でなかったことは想像される。
アニー・ムーアもその中のひとりだったそうだ。

しかし現在では全世界に散らばったアイルランド人のネットワークは8000万人になるという。アイリッシュネットワークだ。音楽、ダンス、アイルランド語が広がっている。アイルランドの中での自国文化の再評価が始まっていると山下直子さんはいう。移民が負の歴史に終わるのではなく、財産とする、という価値観の転換が起こっているのだろう。ただ私としては、リバーダンスの公演が大阪であっあのだが、新型コロナウィルスのため行くことができなかった。それがとても残念だ。