新型コロナと渋滞学

新型コロナウィルスへの緊急事態宣言は解除されたが、第2派がやってきそうな気がする。週末に久しぶりに友人とビールを飲みに難波に出た。
お店の入口には消毒スプレーが置かれ、店員さんもマスク姿。テーブルも間隔を開けて置かれ、斜めに座ったり、間を置いて座れるようなレイアウトになっていた。
広いホールの隅の方に席をとって乾杯をしていると、対角線の奥の方から大きな歓声や笑い声。手を叩く音、口いっぱい開けて喋っているような大声で話すグループがいた。学生のような若い人たちではない。
2週間後、難波の店からクラスター発生という文字が頭にうかぶ。
最後は一人ひとりの覚悟になるなあ・・・。

さて新聞記事は5月29日の朝日新聞に掲載されていたもの。
西成さんは「渋滞学」で私もちょっと興味を持っていた人。

車を運転していると急に渋滞に巻き込まれたり、渋滞をすぎると「どうしてここで渋滞していたのだろう。故障車もないし、作業をしているわけでもないのに」と思うことがある。
この渋滞を学問的に研究したのが西成さん。
そもそも渋滞がどうして起きるのかと言うと、新聞記事にもあるように。
「すべての車が40メートル以上の車間距離を維持すれば渋滞は起こらないのに『自分だけは早く到着したい』と割り込む人がいるから、入り込まれないように車間距離がどんどん詰まります。利己的な行動が、結果として無駄を生むのです。」

車間距離を適度にとって運転することが交通渋滞を起こさせない、それを数学的モデルで説明をした人が作者の西成さん。交通渋滞を起きにくい道路の設計、注意喚起の立て札やお知らせ、交通渋滞が起きそうな時にどんな運転をすればいいのかまで研究されている。

左の本はその「渋滞学」を図解で説明している本。

左のページは文字で説明、右のページは図・絵・グラフや表で感覚的にわかりやすく說明されている。
『渋滞させない運転のポイント』をみると、
1.3台以上先を見る&速度計をまめにチェック。
・3台以上先の車を見ることで、急ブレーキ、急加速を抑えられる。
・気づかないうちに減速していないか、速度計をこまめにチェック。

2.合流では譲り合いの精神を。

3.交通量が増えても車間距離を詰めない。40メ−トルの車間距離が臨界密度。これより短くなる渋滞が発生していく。

この2冊をよめば大抵のことが理屈を持って理解できると思う。

渋滞学のあとに出版されたのが「逆説の法則」2017年5月25日発行となっている。
「渋滞学」は2006年9月20日発行となっているから10年間の研究の成果だろう。
ここでは今話題になっている「同調圧力」への対処法も提案されている。
第3章「日本の進むべき道」では「教育こそ長期的視野が重要である」と説明が展開されている。

この長期的視野が新型コロナウィルスへの対処に必要だということを提起されているのが新聞記事だと思う。

「渋滞学」は、渋滞がいつも悪いのではない、渋滞を起こす必要性もある、と述べられている。森林火災やウィルス感染がそうである。
次々に広がっていかないためにどうするか。渋滞を起こせばいいということだ。
植林の時に木と木の間隔を防火の観点で考える。ウィルス感染なら人との接触を8割減らす、話する時は対面をさけ、できるだけ距離を取る。これが新型コロナウィルスの感染に渋滞をおこすー感染拡大を防ぐことになる、ということがよくわかる。

新聞記事を引用すると、「医療体制や災害対応など生命に関わることは、公的機関がセーフティネットになる必要があります。・・・略・・・結果的に捨てることになるものがあったとしても、『国民の命を守る』ということが、国家の最優先の使命、つまり『目的』。それが、社会で共有される必要があります。」
これが記事の表題になっている「公的機関は『100年の計』で」に当たる部分だと思う。
さらに記事は続く。「ちなみに、感染者への差別やパッシングは『無駄』という視点からもやめた方がいい。短期的には『発散』や『攻撃』という目的を達成しているのかもしれませんが、長期的には、自分がかかった時に首を絞めるだけの無駄な行為です。」

ウィルスは完全に消滅させろことはできないことはほとんどの人がわかっていると思う。人類はウイルスや細菌とともに進化してきた。これからもそうだろう。そうならば、人類の行く末を長期的な視野に立って考えることが必要だ。でも私にはなかなかできそうにもない。そうならば多くの人の意見を聞き、本を読み、自分で考える力を養っていかなくては、と思う。王道はないようだ。