枕草子を英語で

The Pillow Book

久々英語のラジオ講座のテキストを買った。

左の「Enjoy Simple English」だ。
「辞書がなくても読めた、聞けたを毎日体感!」というキャッチフレーズで売り出している。私も何年か聞いているが、毎日5分の英文をシャワーのように浴びるように聞くもので、内容が結構面白い。

しばらく忙しくて聞く暇がなかったが、今年はJapanese Classicsとして、「枕草子」が取り上げられているので、買うことにした。

枕草子を英語でいうと、The Pillow  Book というとは、そのままじゃないかと思いながら読んでみた。

For spring, 

春はあけぼの。やうよう白くなりゆく、山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。

ここは英語ではどのように表現されているのだろう。

 For spring, it is the dawn that is most beautiful.
The skies on top of mountains become lighter and lighter with the rising of the sun.
The long thin clouds that turn light purple are a sight to be enjoyed, too.

清少納言の書く「枕草子」は、短い文章で書かれているのが特徴。それを英訳するときには、言外に含まれている内容を言葉にして表現する必要があることがわかる。

「枕草子」の「春はあけぼの・・・」の段は、このあとに夏、秋、冬と続く。
350字ぐらい、原稿用紙1枚に満たない文章である。
Enjoy Simple English ではB5の用紙で1枚半ぐらいかけて英訳されている。

しかし本文を知らない日本人が読むと、その内容がよく分かるのは確かだ。
そこにこの Enjoy Simple English のテキストの面白さがあると思う。

Things that make your heart dance

「心ときめきするもの。雀の子飼ひ。乳児(ちご)遊ばするところの前渡る。
よき薫き物(たきもの)たきて、一人臥したる。唐鏡(からかがみ)のすこし暗きみたる。よき男の、車停めて、案内し問わせたる。 頭(かしら)洗ひ、化粧じて、香ばしう染(し)みたる衣(きぬ)など着たる。ことに見る人なき所にても、心のうちは、なほいとをかし。 待つ人などのある夜、雨の音、風の吹き揺るがすも、ふと驚かる。」 第26段「心ときめきするも」より

英訳を見てみよう。

Things that make your heart dance: Keeping baby birds as pets.
Passing by people playing with their babies.
Lying down alone in a room with incense burning.
When you look into a foggy mirror from a foreign country.
When you see a man of high rank stop his wagon and get his servant to ask someone something.
When you wash your hair, do your make up, and wear a nice-smelling kimono. Even if no one sees you all dressed up, your heart dances, and it’s a nice feeling.
The sounds of rain or the rattle of the house when the wind blows while you wait for your lover to come.
Those sounds make your heart skip a beat.

ここは清少納言の美意識が書かれているところで、今の時代にも通じるセンスを感じる文章。原文の短いセンテンスでは、現代の人には説明不足で、一読ではわかりにくい感じがする(私はそうだ)が、英訳のほうがなんとなく雰囲気がわかるような気がする。「ときめく」が
make your heart dance
と訳すとは、知らなかった。 

「枕草子」は、高校の時の古文で、いくつかの段を勉強したことがあるが、全体についてはよく知らなかった。
図書館や家にある本を調べてみると、大きくわけて4系統の写本があるそうだ。
左の本(NHK 出版 山口仲美著 「100分で名著ブックス 枕草子 清少納言 どうして、春はあけぼの?)によると、
①三巻にまとめられた三巻本系統
②歌人・能因のところに伝わった能因本(伝統因所持本ともいう)
③前田家に伝わった前田家本
④堺に住む僧に伝わった堺本系統
の4種類だそうだ。
その写本は、内容を見ると配列の順序が大きく違っていると言う。したがって「何段」といっても、写本によってその内容は違ってくる。現在の多くは三巻系統の本が多く使われているそうだ。

「心ときめき・・・」の段は、ここでは第26段と書いたが、それは左の本、
(角川ソフィア文庫 「枕草子」)によっている。

しかし講談社の 大庭みな子著 「枕草子」では第29段に分類されている。

日栄社 橋本 武著 「イラスト古典全訳 枕草子」では、第27段とされている。使っている写本によって段は違っているのがわかる。

したがって枕草子の場合は第何段といっても写本によってその内容は変わってくるのでその段の最初のいくつかの言葉をそえて説明するようだ。
第1段「はるはあけぼの・・・」
第26段「心ときめき・・」のように書かれていることが多いのは、そういう理由があらからということがわかった。

今回は Enjoy Simple English の1日分をとりあげた。残りの分は次回に書く予定。

 

 

 

 

 

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