英語で楽しむ「あしながおじさん」その2

名古屋での2回目の講座。
英語で楽しむ「あしながおじさん」の勉強会。

この日の名古屋はいいお天気で、講習会場の中日ビル近くはたいへんにぎやかだった。

中日ビルは「名古屋のテレビ塔」のそばにある。テレビ塔周辺の広場では、たくさんの音楽ブースがあり、趣向を凝らした演奏が行われていた。
テレビ塔でもらったパンフレットを見ると、

NAGOYA  MUSIC DAYS
栄ミナミ音楽祭’11
全42会場,約460組のアーティストで 名古屋を盛り上げます!

と書いてあった。今年で11回目というから、歴史のある音楽祭なのだろう。

私たちは「あしながおじさん」の勉強があるので中日ビルに向かう。
上の写真はテキスト。松本先生の単語帳と文法事項の説明がたっぷり。
この日は、
「ジュデイが18年間のブランクを取り戻すために、世界の名作を読んでいるところ」
「ジュディがはじめてジャーヴィス・ペンドルトンにあったところ」そして
「夏休みにジュディが過ごす農場に、ジャーヴィスがくるところ」
の三つの場面のテキストをもとに学習した。

動詞の形容詞的用法

松本先生が強調される文法事項の一つがこの「動詞の形容詞的用法」。

①名詞+doing(今)〜している名詞                                                 four going at once     一度に進行している4冊(同時に4冊読んでいるということ)
②名詞+to do  (これから)〜する名詞                                                           rule: never, never to study at night    決して夜に勉強しないというルール(ジュデイが読書にのめり込んでいる様子がわかる)
③名詞+過去分詞 、 過去分詞+名詞 〜された名詞                   a properly assorted family  正しく組み合わされた家族(標準的な家族)、ジュディは孤児院育ちなので、普通の家族のことについて、こういう受け止め方をしているのだろう。                         written revews    書かれた練習問題、筆記試験。アメリカの大学での宿題や試験のことがわかる。

ジュデイは孤児院育ちなので、ごく普通の子どもたちが読んでいる本を、自分は全くしらないことに気づき、一生懸命に読書をする。
そしてお小遣いで「若草物語」を買う。
その時の描写がこれ、

I just quietly went and bought it with $1.12 of my last month’s allowance; and the next time somebody mentions pickled limes, I’ll know what she is talking about!

あたしはこっそり出かけて、先月のお小遣いで、その本を1ドル12セントで買ってきました。これからは、だれかがライムのピクルスの話をしても、あたしはすぐになんのことかわかります。(岩波少年文庫)

このpickled limes、なんで名作の本の説明で「ライムのピクルス」が出てくるのだろうと思ってしまう。
岩波少年文庫の「あしながおじさん」には、注がついていて「若草物語に出てくる話」とある。若草物語の中でこの「ライムのピクルス」が話題になっているのだ。

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「いまは、もうなんといってもライムなの。みんな、授業中にも机の陰でしゃぶってるし、休み時間には鉛筆やビーズの指輪や紙人形や、ほかにもいろんなものと交換するの」(「若草物語」岩波少年文庫 オルコット作・海都洋子訳 より)

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100年ほど前のお話だから、現在の日本の生活からは想像できないのが食べ物や服装のこと。こういったとき、翻訳された本が役に立つ。

でも「ライムのピクルス」って、そんなにおいしいの?
松本先生も、「いろいろと調べたけれど、ネットにも画像入りで多くの説明があるけれど、本当はどうなの?と思う。今度アメリカに行った時に、現地で聞いてみます。」と笑いながらおっしゃっていた。
こういうことも、このような講座だからわかることで、自分だけで原作を読んでいるだけだったらわからないことも多いと思う。

上の写真は、資料にあるreception room.
女子大の寮だから、男性親族はこのような面会室であったそうだ。
もちろん現在の大学は男女共学なので面会室はない。

Anyway, there he was, sitting in the reception room very proper with his hat and stick and gloves beside him;

それはともかく、その方がいらして、応接室で、帽子とステッキと手袋をそばにおき、しゃんと背を伸ばして座っていらっしゃいました。(岩波少年文庫)

なんのこともなく読み過ごしてしまいそうだが、松本先生の説明では、
hatはつばのある帽子のこと。ステッキは、当時の男性の最も重要なアクセサリーで、散策や礼装に欠かせないものだそうだ。帽子と手袋とステッキ、彼はジュディに会うために最高のおしゃれをして大学に行ったことがわかるそうだ。
なるほど、当時の文化的背景を知っていると、こんなことまでわかるという例の一つだ。読者の私たちには、彼ーペンドルトンがあしながおじさんと知っているから、ペンドルトンの気持ちがわかって、さらにこの話がおもしろくなる。

現在完了 have + 過去分詞 意味は3つ

もう一つ大事な文法事項が「現在完了」

①完了 肯定文・すでに〜した。  否定文・まだ〜していない          I haven’t told  anybody.  私はまだ誰にも話していない:
②経験 肯定文・〜したことがある。 否定文・〜したことがない。                          I have never heard of.     私は決して聞いたことが無い。
③継続 過去から今までずっと〜している。                                                   I’ve longed for an uncle ever since.   以来、私はずっとおじさんを切望している。(「あしながおじさん」の「おじさん」ではなく本当の親戚のuncleのこと)                                   he has been here ten days  彼は10日ずっとここにいる。(ジャーヴィスがずっと滞在しているとうこと)

松本先生の講義では何回も現在完了の説明がある。小説を通しての説明だと、登場人物の気持ちに寄り添って考えることができる。

左の写真は、大学の寮の学生たちの部屋のドア。

ジュディが部屋のドアに「勉強中」という札をかけて読書にふけることが書かれているが、たぶんこんなふうにドアにはいろんなものが貼られているのだろう。これも講義で紹介された資料。

ちなみに原文では、

and then I put an “engaged” on the door and get into my nice red bath robe and furry slippers and pile all the cushions behind me on the couch and light the brass student lamp at my elbow, and read and read and read…..

部屋に戻ると、ドアに「勉強中」という札をかけ、すてきなあかいバスローブを着て、ふわふわのスリッパをはき、寝椅子の背にクッションを積み重ね、真鍮の勉強用のライトを手元でつけ、読んで、読んで、読みまくるのです、、、(岩波少年文庫)

この時、松本先生から「バスローブといっても、裸でいるわけではありません。スリッパも日本のスリッパを想像してはいけません。今私がはいているような靴も含まれます。当時の靴といえば、編上げのブーツのような靴でした。スリッパというのはさっと脱げる靴もさしています。また日本ではお客さんには座布団は一つですが、アメリカではたくさんのクッションを用意するのが普通でした」という説明があった。

なるほど、ホテルに泊まるとたくさんのクッション、いくつもの枕が用意されているのはそういう習慣から来ているのだな、とおもう。

講義の最後に新しい翻訳本の紹介があった。

光文社古典新訳文庫の「あしながおじさん」だ。土屋京子さんの訳。
2015年7月20日初版第1冊と奥付にある。

「あしながおじさん」の翻訳本はいくつもある。この本にはたくさんの注が載せられています、と松本先生から紹介があった。
帰り道で、難波のジュンク堂書店でさっそく手に入れた。1冊しか残っていなかったのでラッキーだった。

岩波少年文庫の谷口由美子さんの訳とくらべてみると違った楽しみが出てきそうだ。翻訳による印象の違いというのがありそうでおもしろそう。このことは次の機会で書くことにする。

そうそう、slippers, gloves、二つあって一組だから複数形です、という説明があった。そうだそうだと思いながら聞いていたが、日本人の感覚ですぐわすれるのが複数形。
新しい発見のあった勉強会だった。次回は6月。

 

 

 

 

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