JAXA タウンミーティング

靭公園にある「大阪府科学技術センター」で、「JAXAタウンミーティング in 大阪科学技術館」という取り組みがあった。

内容は、
1.JAXAの事業説明を、
  JAXA広報部長の庄司義和さん
2.話題提供1「宇宙を使ってビジネスをしてみませんか」
 JAXA事業促進部長の松浦直人さん
3,話題提供2「宇宙探査オープン・イノベーションについて」
 JAXA宇宙探査イノベーションハブ計画マネージャの川崎一義さん

の3人の人たちからの問題提起を受けて、参加者との意見交流の会だった。

 私はJAXAの最新の取り組みの紹介がメインかなあ、と思っていたがそうではなく、
「JAXAの利用をもっとしてください」、というJAXA側から民間・企業へのアピールの場だった。話題提供も10分程度の短い時間で、時間のほとんどを参加者からの質問や意見を受けての説明に費やされていて、私の知らないことや考えてもいなかった取り組みなどが紹介されておもしろかった。

 左の写真は当日もらった資料よりとったもの。ISSのロボットアームが「こうのとり5号機」をつかんでいるところ。

 参加している層も私の思っていたよりも多く、大学や大学院の学生さん、JAXAに就職を希望している人、民間企業から来ている人、男性の方が多いが女性も10人近く、また外国人らしい人もいた。私のようになんとなく興味があってきている人など多様で、会議室がほぼ満員だった。

 意見交流の内容を全てではないが、印象に残った幾つかを紹介する。

「どうしてJAXAで働こうと思ったのですか」という質問から「国際宇宙ステーションの将来」まで質問の内容も多様だった。

国際宇宙ステーションの住み心地

 質疑応答から私が受け取った国際宇宙ステーションの住み心地は、快適とは言えないようだ。
たとえば睡眠。宇宙ステーションの中は様々な音で溢れているようで、静かな中での安眠はできないらしい。そこで快適な睡眠を約束する耳栓は商品価値がありそう。
またトイレが使いにくいことやニオイの問題があるのは予想通りだ。消臭のシャツ、靴下の開発はすすんでいるらしい。
ヤクルトとの免疫の研究や、季節感のある食べ物を宇宙食にしていくという研究は少しは進んでいるらしい。
宇宙食やJAXAブランドの商品は売れそうだが、商売目的を全面に出してできるのかどうかは、わからない。

 介護施設で働く人からは、宇宙飛行士の健康データが活用できないかという質問があった。無重力状態では寝たきりから起こるトラブルは解消できるのでは、という予想ができる。健康機器の開発にも応用できそうという感じがした。

 これまで500人ほどの宇宙飛行士が活動しているらしい。この人たちは専門の勉強と訓練をしてきた人たちだから、普通の生活をしている私のような人間とは違う。宇宙飛行士が我慢できることを同じように耐えることができるとは言えないだろう。一般的な人たちが宇宙旅行できる時代には、もっと住みやすい、生活しやすい機器や宇宙船の開発が必要になってくる。そのことを見越して、これまでのデータや経験を活かしての起業が必要、という意識がJAXAになるように思えた。

50年後の世界を予想して今何をする?

 上の写真も当日の資料からのもの。国際宇宙ステーションからの写真で、私たちが住んでいる地球の地上の明かりと、満天の星空が1枚の写真に収まっている。私の好きな写真の一枚。星空と地球の明かりが一緒に写っている写真は珍しいと思う。

 10分の休憩の後、JAXAからテーマが出された。
「50年後、月や火星で人類は何をしていると思いますか。どんなことが実現してほしいですか。皆さんの会社で取り組めそうな技術を考えてみてください」

 夢と技術をつなぐ面白いテーマだった。
私があれやこれやと考えている間に、会場からはいろんな意見が出た。
◯月面自動車が開発されているが、月面上に軌道を敷いて電車を走らせたらどうか。気密性や移動性を考えると電車タイプがいいのではないか、という意見。
◯小型ロボットをたくさん作って宇宙探査をしたらどうか。
なるほど、小型ソーラー電力セイルのイカロスのように、光圧や太陽光発電を利用すればできそうではないか。
ただロボットの宇宙空間移動には長い時間が必要になるので、耐久性が問題になるだろう。

◯金星探査衛星「あかつき」のカメラ故障の話題がだされた。
「あかつき』には5台のカメラが搭載されている。そのうちの2台が故障のため活動中止の状態になったそうだ。原因の究明と復旧作業がすすめられているそうだが、「あかつき」の耐用年数4年半を軽くオーバーする7年の運用のため、故障が起きるのもやむなし、というのが実態のようだ。太陽からの強烈な光や熱、放射線が「あかつき」に降り注いでいることを考えると、無理もないかなと思う。

◯土木工学や農業を研究している学生さんからは、自分たちの研究が役に立つのだろうかという疑問があった。JAXAの人たちから「研究所を建てるときにも、月面に基地を作るときにも土木技術は大いに必要です」、また「植物は宇宙旅行にはとても大事なものです。食料としても、精神衛生にとってもとても必要なものです」という説明があった。なるほど、地上で重要なものは宇宙でも必要なのだ。

 上の写真はこの大阪科学技術館の二階展示ルームにあるJAXAの展示。
小学生くらいの子どもたちが親に連れられて展示を見ていた。

 タウンミーティングで教育にかかわる話題もあった。

◯50年後には、宇宙で使う共通語が使われているのでは?
英語や日本語などにこだわらず、宇宙空間では共通の言語が発明されていたら便利だろうなあ。私が学生の頃にはエスペラント語が世界語として使われるのではないか、という話もあったが、そうはならなかった。JAXAの人たちも同じような経験を語っていた。「世界語よりも、人工知能が発達して自動翻訳がもっと正確になったら・・・」というのが現実的なようだが、50年後、宇宙開発が進んだ世界での教育のあり方も研究に値するのは確かだと思う。
宇宙開発や研究の分野ではやはり英語が主流だそうだ。ただヨーロッパでは英語よりも先にフランス語が学校で学ばれているという話は、とても興味深かった。

宇宙開発と原子力

 質問として「原子力発電所の放射性廃棄物をロケットに積み込んで、宇宙空間に破棄することはできますか」というのがあった。
これは私も考えたことがある。
JAXAでもそういう議論があったそうだ。
しかし「ロケットの打ち上げが99%の成功率であっても、1%の失敗の可能性があるのなら、ロケットに放射性廃棄物を積み込んでの打ち上げはできない!」というのが結論だそうだ。
ロケットの打ち上げ失敗によって放射性物質が飛び散る危険性は絶対にさけねばならぬこと、それは全世界共通の思いだそうだ。
以前原子力電池を積んだソ連の人工衛星が大気圏突入で大変な話題になったことがあった。アメリカでも太陽系探査衛星に原子力電池を積むことへの反対意見は根強いそうだ。

 ただ月の大地にはウランがあり、それを利用しての原子力発電は可能だそうだ。
水を月に運ぶのに何億という予算が必要な現在、月でのエネルギー確保の候補として原子力発電があることは事実らしい。

 悩ましい問題もあるが、人間の活動場所が宇宙に広がっているのは事実だ。

 月の土壌から金を採集する技術が確立できれば、サハラ砂漠から金が採れるというおもしろい話や3Dプリンタを使って月面基地を建設する研究があることや東京の御茶ノ水には実物の人工衛星などの部品が入ったガチャガチャがあるなど、時間がつきないほどに話題は豊富だった。

 JAXAの人が、「JAXAに就職することにしたという話を親に話したとき、『そんなわけもわからない会社になんで入るんだ』と母親に泣かれた」という話をすると、会場からは「JAXAに就職が決まったと話したら、母親は泣いて喜んだ、という自分の知り合いがいる」という話が出た。
時代は変わってきているなあと会場の参加者は実感。

 50年後、宇宙に足を伸ばしてきた人間はどうなっているのだろう?
この世界はどうなっているのでろう。
全く予想できない未来がそこにある、と感じたタウンミーティングだった。

 

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