ハトはなぜ首を振って歩くのか

なんとも面白い本を図書館で見つけた。 「ハトはなぜ首を振って歩くのか」。
岩波書店、著者は藤田佑樹さん。

私はずっとこの「ハトの首振り」のことを疑問に思ってきた。家族に言っても、ただ笑ってスルーされるだけ。
でも私と同じように思っている人がいるはずだと期待していたら、実際に研究して本にしている人がいたのだ。私のように「ハトはなぜ首をふって歩いているのだろう」と疑問に思っている人がいたことに、ある意味感動した。
そして本を読むと沢山の人が同じように疑問に思っていたことがわかって、ほっとした。

たかが首振り、されど首振り

なぜ首をふって歩くのか、その答えはズバリ、、、
ここで書くのはやめておこう。
私と同じような疑問を持っている人は、この本を読んで納得することをおすすめする。著者が楽しんでこの本を書いているのが想像できるほど読みやすかった。

岩波書店のホームページに、この本で出て来る鳥たちの動画が紹介されている。

https://www.youtube.com/user/IwanamiChannel/videos

ハトの首振りの研究は世界的にみると、1930年代にさかのぼるそうだ。イギリスのダンラップとモウラーという人たちがハトの歩く様子を横から1秒間に30コマの撮影したことからはじまるそうだ。NHKがテレビの公開実験を始めたのは1939年。そんな時代にハトの歩き方の研究のために撮影をしたのだからたいへんな意気込みだったのだろう。映像に撮すことによってその謎の解明が始まったという。上の写真がその実験の再現といえるもの。

上の写真はアマサギ。首をふって歩いている。
すべての鳥が首をふって歩いているのか、そうでないのか。
そんなところまで考えたことがなかった。スズメは?
思い出してみると、ピョンピョンと飛び跳ねているスズメの記憶はあるが、さてどんなふうにして歩いているだろう。
最近町中でよくみるようになったカラスは?どんなふうに歩いているのだろう。
そこまで考えていかないと、学問的な研究にはならない。疑問に思ってもそこまで追求しないのがほとんど。そこを突き詰めて考え続けるのが研究者だろう。

ここで、この本の目次を紹介しておく。

プロローグ ハトが首を振る前に
1.動くことは生きること
 動くとは、どういうことか/死なないために動く/子供を残すためにも/運動に必要な構造/筋肉と骨格で体を動かす/動物たちの移動様式とその進化

2.ヒトが歩く、トリが歩く
 鳥とヒトの二足歩行/歩くことと走ること/エネルギー変換から見た歩行と走行/ケンケンやスキップはだめなのか/鳥たちは、歩く・走る・ホッピング/脚先はほっそり/ダチョウの足と脚/渉禽類の長い脚/キウィの大また歩き/ペンギンはヨチヨチ歩き/短足が最優先?/ホッピングする鳥たち/トコトコ歩くスズメの不思議

3.ハトはなぜ首をふるのか?
 首振りに心奪われた人々/頭を静止させる鳥たち/箱入りのハト実験/頭の動きと目の動き/ヒトは前を、ハトは横を/もっともよく見えるのは?/見る方向と動く方向/鳥の目はキョロキョロしない/眼球が動かないなら、首を動かせばいいじゃない/首振りで奥行きを知る?/首振りと歩き方/一歩に一回、その理由/一歩の長さと首の一振り/首振りと重心移動/頭の停止とゆっくり歩き/首振りで回転ストップ?/ハト首振りの謎、とりあえずのまとめ

4.カモはなぜ首を振らないのか
 体の作りがちがう?/まわりが見えていないカモ?/たまに振らないサギ、たまに振るカモメ/サギは「何となく歩く?」/謎はすべて解けた?/ハト近眼の可能性/カモはちょこちょこ歩いている/首振りの理由、今度こそまとめ/鳥類ハト化計画

5.首を振らずにどこを振る
 ホッピング時に首は振るの?/首を振らないチドリの採食/コアホウドリの奇妙な首振り/V字首振りの意味/意外に合理的?/コアホウドリと野球選手/泳ぐときに首を振るカイツブリ/首を上下に振る鳥たち/恐竜は首を振りますか?/セキレイは歩くときに尾を振る・・か?/「歩きながら」振ってはいない/なぜ「首振り」か「尾振り」なのか?/脚を振ったら歩いてしまう、翼を振ったら飛んでしまう/アオシギの体振り

エピローグ たかが首振り、されど首振り
      ー身近な動物観察のススメ

この目次を見るだけで、かなり力の入った研究だとわかる。
詳しい目次なので、目次を読むだけで「ハトがなぜ首を振って歩くのか?」、その研究内容と結果がおぼろげながら浮かんでくる。
でも「まわりが見えていないカモ」とか「脚を振ったら歩いてしまう、翼を振ったら飛んでしまう」などという表現から、著者が楽しんでいることも想像できるではないか。
パラパラ写真もついていて、ページをパラパラさせるとハトが首をふって歩く様子がわかるようになっているのも楽しい。

動画の「コアホウドリ」のV字歩きを見て、思わず笑みが出てしまう。
「これがトリの歩き方の原則」と一括りにはいかないことがよくわかる。あたりまえのことだが、それがわかるだけでも楽しい。

恐竜は首をふって歩いていたのか?

首をふって歩く鳥、振らない鳥、時々振ったり振らなかったりする鳥、尾を振る鳥、体を振る鳥、、、ハトから話はどんどん広がっていく。
首を振る代表的な鳥は、ハト、コサギ、ニワトリ、シギなど。
首を振らない鳥は、カモ、スズメなど。
でもサギやカモメも時と場合によって首を振ったり、振らなかったりするそうだ。
カイツブリは水の中でも首を振って泳いでいるとか、カワセミやコチドリなどは縦ふりするという。首をふって歩くのはなぜか?という問は、簡単ではないようだ。

究極の質問は「恐竜は首を振って歩いていたのか?」
うーん、こんなことは思いもつかなかった。ジュラシックパークの映画ではどのように表現されていたのだろう。

恐竜の写真、上からスーパーサウルス、左右にティラノサウルスとオルニトシムス。ウィキペディアからとったもの。
著者は「見たこともないものだからどちらとも言えない」というスタンス。でもハトの首振りから類推すると、ティラノサウルスは首は振ってなかっただろう。オルニトシムスは見るからに鳥の祖先という形だ。首をふって歩いていたのかもしれない。スーパーサウルスは長い首を振って歩いていたのか、あるいは長い首が体の重心移動に役立っていて、首は振っていなかったのか? 確かに現在にいない恐竜なのでなんとも言えないのはよくわかる。

著者は最後に言う。「鳥でなくたってもちろんよい。自分の目で見て、自分の頭で考える。それが、科学の第一歩だ。そんな簡単なことを、少し気をつけてやってみると、今まで気がつかなかった、豊かな世界がきっと広がることだろう」。

 

 

 

 

2 thoughts on “ハトはなぜ首を振って歩くのか

  1.  先日は当方の写真展に夫妻で時間をさいて頂き有難うございます。ブログを見て頂いているのでつい案内を出してしまいます。都合が悪い時はパスして下さいね。
     「ハトはなぜ首を振って歩くのか」は今、ピースボトートに乗っている岡山山岡さんなら何らかのコメントが聞けるのではないかと推察されます。帰国されたら是非聞いてみたいと思います。

    • ステキな写真展でした。
      大きな画面に耐えるような写真を渡しも撮りたいです。
      次回の写真展を楽しみにしています。是非案内をくださいね。

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