本物を聴く、見る

上方演芸特選会

1月の歌舞伎の後、観劇に行く機会が多かった。
まずは文楽劇場の小ホールであった「上方演芸特選会」。
たまたま知り合いで、チケットを購入したが用事ができて行けなくなったというチケットが、まわってきた。
文楽劇場へは、文楽を見に行くことはあったが、小ホールへ行くことはなかった。
小ホールは、繁昌亭ぐらいの大きさで寄せとしては手頃な大きさだと思った。
プログラムは右のポスターのとおり。
会場の雰囲気は、繁昌亭とはすこし雰囲気が違うような気がした。

落語の桂坊枝(かつらぼうし)さん、ああなつかしい。桂きん枝さんや、桂文珍さんたちが若いときに一緒に活躍していた人ではなかったか。ご本人には失礼だと思うが、久しぶりに聞く名前だった。しっかりとした古典落語で、妻が「ずーっと落語をやってはったんや」と感心した口ぶりで話していた。

奇術のキタノ大地さん、初めて見る手さばきに感心した。会場から万雷の拍手がわく。
マジックと言わずに奇術というのがいい。またバックの音楽がそれらしくシャレードなどが流れてきて雰囲気が盛り上がった。
私は目の前で鳩が出てきたときには、「あーっ、本物の鳩や!」と思わず声が出た。テレビや映画でマジックを見ることは多いが、自分の目の前で鳩が出たり消えたりするのを見たのは初めて。

ラストの海原はるか、かなた師匠の漫才は、テレビでネタだけのものをみたことはあるが、20分におよぶ本格的な芸を見たのは初めて。
さすが師匠の芸だ。話のはこびやボケとツッコミの見事さなど、「ああ、これが本物の漫才だ」と感心することしきり。
会場の大きな拍手がそれを証明していた。

リバティー・アートフェスティバル

リバティおおさかで、大阪市内の小中学校を中心とした子どもたちの演奏・演劇の発表会があった。私が見た演奏プログラムは以下の通り。

・平野北中学校軽部       「Believe」・「HEIWAの鐘」
・住吉川小学校芸能クラブ
   和太鼓演奏
・天王寺中学校夜間学級
   ウリマダン
・中浜小学校民族クラブ
   プンムル
・カッチコルム
   サムルノリ
・長橋小学校和太鼓クラブ
   和太鼓演奏
・中野中学校軽音楽部
   ハピネス・愛をこめて花束を

予定があったので途中で退席したが、このあとに演劇や教職員の演奏がプログラムにはあった。
久しぶりに子どもたちの(夜間中学校の生徒さんもいたが)元気な姿を見た。
小学校の低学年から和太鼓や民族楽器を使って演奏しているのは、見ていても清々しかった。学校でのいろんな課題や困難を聞く事があるが、そのなかで真面目に熱心に取り組みを進めている子どもや教職員がここにいる。
そしてその取り組みを交流し、演奏会をもつ機会がある。
そこで汗を流す人達がいるのを見て、まだまだすてたものじゃないとホッとした気持ちになった。

第45回淀工グリーンコンサート

1年ぶりのグリーンコンサート。
フェスティバルホールは大入り満員だった。
淀工吹奏楽部の演奏会には1年に1回ぐらいは来るようになってもう数年になる。来るたびにその人気の凄さに驚くが、今回もそう。でも見に来る人達の年齢層が高齢化しているような気もする。子どもがブラスバンド部だから、という時代から、孫がブラスバンドをやっているから来た、という人達が増えているからだろう。

指揮者の丸谷先生も、いつもお元気な姿を舞台で拝見するが、先生も歳を重ねてこられたなあと思うが、曲当てクイズで3階からの声を聞き分けるのはさすがだと思った。

曲目は恒例のものだったが、今回は第45回という記念の演奏会なので、淀工吹奏楽部のために作曲されたという、真島俊夫さん作曲の「コンサートマーチNumber1」からはじまった。
私がとりわけ印象深かった曲は、「大序曲1812年」。賛助出演として、岡山学芸館高等学校、三重県の皇學館高等学校のブラスバンド部が協力演奏をした。
総勢200人を超えると思う演奏は、フェスティバルホールを音楽の響きで満たした。この曲目は淀工の演奏会で何回か聴いたことがあるが、今年の演奏は圧巻だった。体温が上がってくるような感動を覚えた。

最後の「ザ・ヒットパレード」は、アルゴリズム体操やラジオ体操、そして稀勢の里の優勝を祝った三三七拍子など、笑いや手拍子のある、高校生ブラスバンドの若々しさのある演出だった。
最近感じるグリーンコンサートは、歌がうまくなったこととダンスが以前と比べてたいへん見栄えがするようになった。以前は「楽器は上手だが、このダンスは、この歌い方は?」と思うこともあったがこの数年はたいへん上手。これも中学校の体育でダンスが必修になったからか?と中学校教育の成果を見る思い(?)。

いつも感じるのは部員たちの姿勢の良いこと。演奏する姿、楽器を持っている姿、移動する時の姿勢の良さ。最初の「翼をください」の手話をする部員さんの立ち姿も良かった。それは淀工部員だけではない。協力演奏をした岡山学芸館高校、三重の皇學館高等学校の部員さんもそう。楽器を持ったらピタリとして動かない。演奏し終わった後もその姿が続く。

「山の頂上は、人にその道の険しかったことを忘れさせます。
 その最後のステージに立って、君たちは何を感じているのでしょうか。
 いろんな苦しかったことは、今は懐かしい思い出ですね。
 ・・・・・君たちの前途に幸多からんことを祈ります。」

卒業する3年生が舞台最前列にならび、演奏される「乾杯」はいつもながら感動を呼ぶ。

演奏会の後、喫茶店でお茶を飲んでいたとき、初めて淀工のグリーンコンサートを聴きに来た人が、「本当に良かった。私は思わず涙が出てきました・・・」と話されていた。本物は感動を呼ぶ、あらためて私はそのことを実感した。
3D映画、4Kテレビなど、高密度・高画質の映像やハイレベルの再生音が宣伝されていて、身近ですばらしい芸術作品が鑑賞できると言われている。ついその気になっていたがとんでもない。本物はやっぱり本物。本物の力は凄い。
機会を見つけて本物に触れるということをしなければ、と思わされ三つの舞台だった。